昭和38年3月 北海道鉄道旅行写真帖

素晴らしい本が出た。昭和38年3月に小川峯夫さんと言う人が渡道して道内を回って主に炭鉱鉄道を中心に撮った写真。とは言っても炭鉱鉄道にとどまらず恐らく滞在した都市での他の鉄道写真も撮ったと思われ、札幌市電などはとても充実している。

参考資料 昭和38年3月 北海道鉄道旅行写真帖
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この当時は私は札幌に居てやはり市電は普通に乗っていたので懐かしく眺めると共に、時代の変遷によってこれに添付されている解説に不足部分や間違っている部分が見られるので、私が生きているうちにその辺の加筆訂正の記事を書いてみたい。

P20
1枚目 248形は3系統で豊平駅前行き。したがって駅前通りを南下している。
背後に雪印パーラーが見えているので北3条付近。
2枚目 208形は3系統で西保健所前行き。駅前通りを北上している。この頃は3系統は西保健所止まりだった。後年は医大前迄行く様になった。
背後に三和銀行が見えているので北1条付近。
3枚目 D1012形は1系統で円山公園行き。したがって南1条通りを西進している。
1系統なので解説の「西四丁目線道庁前」と言うのは誤り。背景右側に今はなき富貴堂の古い建物が見えるので西4丁目付近。電停としては西4丁目(当時は三越前?)。
富貴堂は札幌五輪の頃にこの場所から新しいビルへ移転した。ここは4丁目プラザになった。
P21
1枚目 215形は4系統で山鼻16条行き。
解説で「西四丁目線すすきの」とあるが、4系統山鼻16条行きが左折しているのですすきのではない。
建物の様子、手前にも架線がある様に見える事から恐らく道庁前。
2枚目 572形は3系統で豊平駅前行き。したがって駅前通りを南下している。
ここは背景に拓銀本店が見えるので大通公園を横切っている所。
P22
1枚目 564形は2系統の北24条行き。573形は2系統の学芸大学前行き。
解説では「札幌駅西側の通り」とあって、多分ここはまさに札幌駅前で手前に向かってやや勾配を登るのは恐らく「おかばし」のある西5丁目通りに向かっているから。解説では「札幌駅前~北25条間が廃止」とあるが、電停名は「北24条」
P24
1枚目 248形は3系統西保健所前行き。札幌駅前。
背後に札幌駅が見えるが、この頃に4階の上に5階を増築した。4階迄はアイボリー、増築部分は青で、やがて全面青に変わった。
2枚目 554形は2系統の区間運転で山鼻16条行き。579形は3系統の西保健所前行き。
駅前通りで札幌駅前との事だが確証が持てない(未確定)。北方向への電停が見えてるので札幌駅前ではないのではないか。同ページ1枚目では北方向の電停はまさに駅の前にあるのが分かる。
P25
1枚目 322形は6系統の丸井前行き。609形は1系統の円山公園行き。
南一条通りで、大和証券のビルのさらに後ろに「越」の文字が見えるのでそれは恐らく三越百貨店。さらに遠方に丸井百貨店が見える。したがって西四丁目で三越前より西側。
P26
1枚目 608形は1系統の一条橋行き。
南一条通りなのは確かだが、ビルが少ないので解説にある「西四丁目~丸井前」ではない。三越前より少し西ではなかろうか(未確定)。
2枚目 241形は3系統の西保健所前行き。243形は2系統の学芸大学前行き。
P24の1枚目とほぼ同じ場所。右側にフロントガラスが2枚の国鉄バスが見える。恐らく駅東側にある国鉄バス乗り場から出た手稲町行きと思われる。
P27
1枚目 560形は3系統の豊平駅前行き。
単線で右折しているので恐らく豊平駅前で36号線から駅前の折り返し線に入る場面。
右側に手前から「理容タナカ」「北洋相互銀行」「金子呉服店」が見えるのでそれで合っていると思う。
P28
1枚目 227形は4系統。行き先は見えないが右に運転手が居るのが見えるので駅前通りを北上中。多分苗穂駅前行きか。
場所は駅前通りが北1条通を横切る場所。右に「北海道総鎮守 北海道神宮」碑が見えている。この当時は北1条通は真ん中に走行車線、両側に細い車線があった。三井銀行の後ろに見えているのは古い札幌中央警察署。
2枚目 584形は3系統の西保健所前行き。
駅前通りで、左の信号の上に●が見えて多分あれは三越のマークではないか。右に建設中の大きなビルは北海道銀行と思われる。したがって場所としては拓銀本店前付近。
北側から南方向を見ている。
P29
1枚目 234形は4系統の山鼻16条行き。
一つ前とほぼ同じ場所。ピューゲルの傾きから二両とも南下(写真奥)へ進行している。

記憶を頼りに書いたので間違いはあるかもしれない。
その場合はTwitterのアカウントへコメントを。

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いつの間にかコミックスのKindle化が進んでいる・今期アニメのKindle化状況

Kindleが日本で始まって間もない頃、未だ未だ登録されている本が少なく、特にスキャンするだけ或いはイメージ変換するだけなんじゃないの?と思われたコミックスですら少なかった。まあ当初は仕方ないかなとも思った。ところがしばらく経ってもなかなかラインナップが充実しなかった。

コミックスが原作の作品がアニメ化された時、アニメが面白いと見た直後に「コミックス買って読んでみるか」と思うのは自然の流れであり、その時の気分は今見たアニメの印象を残して今すぐにコミックスを読んでみたいと言うものだ。Amazonに注文して翌日以降に見たいと言うのとはちょっと違う。

ところが昨年辺りだとなかなかこの気持ちが満たされなかった。例えば「神様はじめました」を見てコミックスを読んでみたいと思ってもKindelに無かった(これは今でもそう)。こう言うのが何度かあって、ちょっと諦めていた。

しかしあるタイミングでKindleに「日常」があるのを見つけて「日常」を買い始めるとおすすめに色々出てくるじゃないか。今期で言えば「ゆゆ式」も「あいうら」もある。あれ?ひょっとして知らないうちに随分Kindle化された?

そう思って今期見ているアニメでKindle化されているのを調べた結果が以下の表。
(注:リンク先は全てAmazon)

アラタカンガタリアラタカンガタリ~革神語~(1): 1 (少年サンデーコミックス)
ゆゆ式ゆゆ式 1巻
あいうらあいうら(1) (角川コミックス・エース・エクストラ)
断裁分離のクライムエッジ断裁分離のクライムエッジ 1 (コミックアライブ)
レッドデータガールRDG レッドデータガール(1) (角川コミックス・エース)
はたらく魔王さま!はたらく魔王さま!(1) (電撃コミックス)
フォトカノフォトカノ Sweet Snap 1 (電撃コミックス)
デビルサバイバー2デビルサバイバー2 -Show Your Free Will- (アース・スターコミックス)
変態王子と笑わない猫。変態王子と笑わない猫。: 1 (コミックアライブ)
よんでますよアザゼルさん。よんでますよ、アザゼルさん。(1): 1 (イブニングKC)
波打際のむろみさん波打際のむろみさん(1)

半分以上Kindle化されてるじゃん!こうでなくちゃね!
知らない間に期待していた時代になっている。

これは副産物も生んで、ひょっとしてもっと色々出てるんじゃない?とKindleコミックスを探したら出て来た出て来た。過去にアニメを見て面白かったなあと感じた作品で「てーきゅう」「キルミーベイベー」「ゆるゆり」「GA芸術家アートデザインクラス」「スケッチブック」「うさぎドロップ」「じょしらく」と芋づる式の様に見つかった。

これはヤバイ。マジでヤバイ。
いくら買っても読む時間が足りないよ。

しかも表紙ではない中のカラーページは紙の本の中のカラーより綺麗だと思う。
参考資料
場所をとらないし、老眼に優しく、拡大可能。良い事づくめですな。


と思ったのだが、今のKindleコミックスの取りこみ画像って画素数粗くない?
拡大すると荒れるんだけど。

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「るん」と言う名前の女の子

るんちゃんと言えばAチャンネルの主人公のるんちゃんを思い出す。
参考資料

でも「るん」って名前はアニメではいいのだが、これが実世界だったらどっちかと言うとキラキラネーム()だなと無意識に思っていた。キラキラネームと言わなくとも普通は無いよねと。

しかし私があさはかでございました。
参考資料

これは随分前に読了した本で「歴史人口学で読む江戸日本」と言う中で美濃国安八郡西条村西松家文書の中の宗門改帳の一部。当時の名前に「るん」と言うのがあった。そうかその時代(天明元年(1781年))につけられる様な由緒正しい名前だったんだ。るんちゃん、ごめんw

もっとも、キラキラネームがキラキラネームたる所以は漢字を無理に読ませていると言う点にあるのだけれど。

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またも争奪戦になるのか電撃Gs Festival

電撃G's Festival! COMIC Vol.14はAngel Beats!の天使ちゃん抱き枕カバー付きで2,600円。ゆりっぺに引きずられたのか露出が多くなったなあ。どうなんだろうこれは。ちょっと微妙さがあるかもしれない。
ついでと言っては何だが、同時期に出る電撃G's Festival! Vol.18は「恋と選挙とチョコレート」千里抱き枕カバー付きで3,200円。こっちはマウスパッドとメガネクリーナーも付くのか。メガネ、どこで拭く事になるんだよ。

先月のゆりっぺが付いてくるやつはAmazonで注文しようとずっと待っていたらいつのまにか一時的に在庫がありません状態になってあやうくKonozamaになるところだった。

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あかねこの悪魔(竹本泉)・第1巻

竹本泉と言うといつもいつも同じ様な傾向の本なのだが(をいw)、今回のメイン登場人物の一人「つじつまの悪魔」は竹本泉キャラには珍しく傍若無人。竹本泉本人も「今回微妙に登場人物がパワフル」と書いている。本の内容がどうであろうと辻褄が合っていればその中に世界があると言う設定も面白かった。

本の中の世界に行ってる時は図書館でつっぷして寝てる状態w

あー、竹本泉はコマがでかくて絵もでかくて、老眼に優しくていいな。

図書館と言えば、今月号の新建築で武蔵野美術大学の図書館が載っている。これが面白い図書館なのだ。既にネット上でもこの図書館を紹介しているブログがあるが(参考→新図書館潜入レポートその2 - 美大日記::ムサビの手羽)新建築の写真を見てると実際に見てみたいなあと思う。国立大学なら図書館は一般開放されている筈だが、私立だとどうなんだろう。ダメかな。
参考資料:
で、新建築の写真のひとつにこんなのが(あまり大きくすると引用から逸脱するので小さく)。

つじつまの悪魔にやられたかw

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書評・痛モノ工房

痛車・痛チャリ・痛PC・痛電(模型)の作り方。痛車はシールを貼ると言うのだけは知っていたが、普通に買えるカッティングマシンと言うのがあるのは知らなかった。どのみち痛車全体を覆う程の大きさには使えそうにないが、例えばノートPCの天板用とかには使えそうだ。痛車は水貼りしてるのか。そう言う事が出来るんだ。

痛チャリのホイールにあれだけの工夫(車輪が回っても絵が回らない)がされているとは知らなかったが、これはこの人だけの工夫か。2kgも重量が増えるのはかなりきつそうだが。

痛PCはノートを生け贄にして絵を貼っているが、まあノートの方が完成度が高くなるからね。一方でキーボードならデスクトップのキーボードの方が幾らでも替えがきくのでその気になればすぐ出来そうだと思った。但し、一枚一枚キートップに貼る根性が必要。

本のかなりの部分が貼れる状態にする為のCGの処理の話になっている。拡大とか、回転とか。日頃画像処理ソフトを使っている人には不要な部分でそれを差し引くと値段が高く感じる。一応、サンプルCGがCD-ROMに入っているが、それはPSP用のもの。どちらかと言うと、痛車に貼るぐらいのCGってどれだけの解像度?と言うのが分かるファイルが一つ入って欲しかった。

気泡が入ったらカッターで穴を開ける勇気、と言うのが参考になった。そうだよね、ちょっと空いた穴なんて余程目をこらさないと見えない。それより気泡のでっぱりを無くす方が大事。


夏コミのサークルスペース用に痛電卓でも作って持ち込むかな。

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書評・聖地巡礼NAVI

聖地巡礼NAVI―アニメ&コミック
聖地巡礼NAVI―アニメ&コミックドリルプロジェクト

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タイトルどおりアニメの聖地巡礼の為の本。今回買ったポイントは過去にあった類似本とは違って対象作品を100にまで一気に引き上げた為。これだと見た事のある、或いは行った事のある作品も含まれて実感が沸くと言うものだ。採録された100作品の一覧をあげておく。ついでに私が見たかどうかも。
番号作品名見た
1Kanon
2最終兵器彼女
3魔法遣いに大切なこと~夏のソラ~
4かんなぎ
5釣りキチ三平 
6ラブひな
7らき☆すた
8魔法先生ネギま!
9となりのトトロ
10おおきく振りかぶって 
11灼眼のシャナ
12DARKER THAN BLACK -流星の双子- 
13クレヨンしんちゃん
14ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~ 
15浦安鉄筋家族/元祖!浦安鉄筋家族 
16R.O.D 
17エルフを狩るモノたちリターンズ
18かなめも
19ナイトウィザード
20ミラクル☆トレイン~大江戸線へようこそ~ 
21雲のむこう、約束の場所
22シティーハンター 
233月のライオン 
24美少女戦士セーラームーン
25大正野球娘。
26フタコイオルタナティブ
27サザエさん
28魔法遣いに大切なこと/魔法遣いに大切なこと~夏のソラ~
29もやしもん 
30しおんの王
31万能文化猫娘
32デジモンアドベンチャー 
33のだめカンタービレ
34時をかける少女 
35デュラララ!!
36まんが道 
37とらドラ!
38R.O.D-THE TV-
39逮捕しちゃうぞ
40キャプテン 
41あしたのジョー 
42フダンシズム ~腐男子主義~ 
43東のエデン
44こちら葛飾区亀有公園前派出所 
45マリア様がみてる
46とある魔術の禁書目録
47とある科学の超電磁砲
48げんしけん
49図書館戦争
50あたしンち
51耳をすませば 
52めぞん一刻 
53フルメタル・パニック!
54ゲゲゲの鬼太郎
55姫ちゃんのリボン
56CLANNAD
57君が主で執事が俺で
58N・H・Kへようこそ!
59彼氏彼女の事情
60天体戦士サンレッド 
61美鳥の日々
62うたかた
63エルフェンリート
64ふたつのスピカ
65スカイガールズ
66新世紀エヴァンゲリオン
67イリヤの空、UFOの夏 
68おねがい☆ティーチャー/おねがい☆ツインズ
69咲-Saki-
70サマーウォーズ
71true tears
72ひぐらしのなく頃に
73苺ましまろ
74半分の月がのぼる空
75けいおん!
76あさきゆめみし 
77お~い!竜馬 
78陰陽師
79風光る 
80バガボンド 
81七人のナナ
82龍-RON- 
83AIR
84涼宮ハルヒの憂鬱
85Fate/stay night
86忍たま乱太郎 
87アベノ橋魔法☆商店街 
88びんちょうタン
89天地無用!魎皇鬼
90朝霧の巫女
91かみちゅ!
92奥さまは魔法少女
93マイマイ新子と千年の魔法 
94瀬戸の花嫁
95海がきこえる 
96スケッチブック~full color's~
97sola
98ガンパレード/マーチ~新たなる行軍歌~
99秒速5センチメートル 
100ストラトス・フォー
この100作品はどうやって選んだのかなあ。作品によってはあまり大挙しておしかけても迷惑がかかりそうな場所だからと外された物があるのだろうか。でもよくわかる現代魔法の岩手銀行中ノ橋支店(旧盛岡銀行本店)とか銀座とか別に問題なさそうなので、作品力で落とされたのだろうか。しかしこう言う本を買う層なんて絶対マニア層なんだからサザエさんを載せる位だったら現代魔法を載せた方が良かったのに。まじぽかも練馬区役所とか石神井公園とか公共の場所なので全然問題なかろうに。

100作品を新書ぐらいのサイズの本にまとめているので1作品あたりは大体2ページで紹介される。おおざっぱな地図と作品紹介、そして作中の場所の簡単な紹介となる。写真もあるが、いわゆる聖地巡礼サイトで行う様な元作品のキャプチャとの比較は無い。多分、書籍でそれをやると版権が大変な事になるからだろう。しかしこの形式の本なら比較研究対象の引用扱いでも良いと思うのだが、世間のしがらみとかでそうも行かないのだろう。

この中の未訪問の地域としては美瑛(夏のソラ)・尾道(かみちゅ)・萩(奥さまは魔法少女)は行ってみたい地だなあ。

<追記>
この記事を機に左側のカテゴリに「舞台探訪」を新設した。多分最初にその手の記事を書いたのは「GIRLSブラボー・ロケ地訪問」(旧タイトル)と言う記事だと思うが、当時はまだこう言うジャンルが確立されていなかったのでそのままずっと専用カテゴリを作らずにここまで来てしまった。だから記憶とGoogleを頼りに改めて該当記事にカテゴリ打ちしたのだが、漏れがあるかもしれない。最初の頃はロケ地訪問だったんだよね。

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本/書籍の電子化

AmazonのKindleが出て以降またも盛り上がって来た本の電子化の話は、iPad上陸が目前となって俄然勢いがついて来た。特にiPadの場合は嫌でもデバイスが書籍電子化よりも先に大量流通する為、デバイスがあるなら中身もと引きずられる可能性が今迄以上に大きい。

それを見越して先週話題になったこう言うサービスも昨日(4/19)開始した。
BOOKSCAN(ブックスキャン) 低価格・書籍スキャンサービス - 大和印刷

本を送りつければ100円でスキャンしてPDFにしてくれると言うもの。PDFにさえなれば(PDFが良いと言う訳でもないが)色々な電子デバイスで読める様になる。そして電子化さえすれば場所をほとんどとらない。せっかく始まったもののBOOKSCANは個人の複製の域を超えていて早晩出版社から差し止めを喰らうのではないかとも言われている。だが、それとはまた別にとにかく電子化需要が極めて高いのは確かなのだ。

そしてこれまた昨日(4/19)、Yahooにこんな記事が来ている。
蔵書2万5000冊の男が断言 小飼弾「紙の本は90パーセント消えます」

私も万を超える書籍をかかえているから同じ気持ちだが、とにかく本を所蔵するのは大変なのだ。今のマンションで5.5畳の部屋に櫛状にラックを並べて本を置いているが、全然足りずに他の部屋とか廊下にはみ出している。R.O.Dか、はたまたささめきことの風間家の様に。

90%と言うと妄言の様な気もするがどうだろう。実需要的には紙を求める人が10%しかないなんて事はないと思う。音楽の様に圧縮ファイルを極端に嫌う人間以外ならダウンロードでも全然問題ない世界であれ、所有欲を満たす為にCDを買う人はまだそれなりに残っている。ましてや出力デバイスが音楽とは全く異なり、紙と電子デバイスでは全然異なる本の世界では紙を求める人は多いだろう。だが、本は商業ベースで出版される。今の需要の40%であれ電子書籍側に流れた場合、紙の本の流通が崩壊する可能性はある。崩壊してしまったらごく一部のベストセラー以外は紙媒体での流通が消滅するかもしれない。それが90%消えると言う結果に結びつくかもしれない。

電子化の恩恵はスペースだけではない。蔵書の中から「あれはどこにどう書かれていたっけ?」と言う検索が紙では非常に難しい。おかげで何度も何度も歯がゆい思いをした。これが電子化されれば蔵書内の検索が出来るのだ。但し、BOOKSCANの様にあとからスキャンしたのではダメだが(一応OCRのメニューはある)。

所有欲とか手触りとかそう言うものを除いた場合は書籍電子化には長所ばかりが思いつくのだが、先日叔母と本の話をした時に全く違う側面から電子化した時に失われる物がある事に気がついた。

祖父は蔵書家と言う訳でもないが、戦前・戦中の本を田舎の家に捨てずに随分溜めていた。叔母は子供の頃にそう言う本を見て本の感触を味わったと言う。そう言えば私も夏休みに遊びに言った時につらつらと眺めた記憶があるし、ごく一部は手元に持って来ている。エリヒ・フォン・ファルケンハインの「ドイツ最高統帥論」はその一つだ。私が高校生になる前に祖父母の身体が弱って田舎の家を封印して去ってしまったから中坊の目でしか物色出来なかったのが残念だが。そして父も祖父ほどではないが、まあまあ本を持っていた。これまた中学生の頃に父の本棚から見栄えの良い本を取り出して(ずらっと並んだ六法の本は景色だけ楽しんだw)訳も分からずカタストロフィー理論の本を眺めた(到底読んだとは言えない)記憶がある。眺めただけ。そう、はなまる幼稚園の柊に劣る中学生だ。
参考資料

こう言う体験が電子化されると失われる。
ヒトは哺乳類であって、子を養う親の影響を受ける。蔵書に触れる体験は子供が育つ上でのほんの一部の体験ではあるが、文字が生まれ印刷が普及して以来の貴重な体験だと思う。それがすっぽり抜け落ちた時代はあまり良い時代とも言えない気がした。

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PHP新書『ネットビジネスの終わり』を読了したんですけど

内容は本人が書いている通りw
【再】PHP新書『ネットビジネスの終わり』を上梓したんですけど: 切込隊長BLOG(ブログ) Lead‐off man's Blog

中身から装丁の件まで全くその通り。なんでハードカバーなんだ。これ、普通の新書の装丁でいいじゃないか。つか固くて読みにくいったらありゃしない。アニメに出るギリシャ語とかそう言う何度も何度も使う物と違うんだぞ>PHP。(「アニメに出るギリシャ語」と言う本は実在しません)

どちらかというと、理知的で後ろ向きだけども、思想やここ十五年ぐらいの金融の流れを背景に「そんないいことばかりは続かないですよ」という意味合いの事例をたくさん書き連ねております
読後感はこんな柔らかい印象ではなく、もう何もかもダメだよ日本は、と言う感じ。

特にその通りかと思ったのが狭い層だけ狙ったアニメ・ゲーム産業なんて世界をリードするどころか国内市場ですら沈没する運命だと言うくだり(かなり語弊あり)。コアなオタ層が部屋の中をアニメとゲームのキャラのポスターで埋め尽くして「どれだけ金がかかったんだ」と言われようと、ちょっとリッチな層が車を1~2台買っただけでそんな金額はあっと言う間に凌駕してしまう、そんな絶対的な購買金額の少ない世界で汲々としている産業がどうにかなる訳はない。そう考えてしまうとどちらかと言うとアニメ・ゲームで外貨を稼ぐのではなく、海外の少なからぬ連中を日本文化に洗脳してシンパにした結果、その中から偶然その国の指導者層が出てくる僥倖を待った方がいいんじゃないかと思われてくる。なんだか社会主義者の連中がやりそうな手口だw

と言う訳でタイトルに釣られて買ってはいけないが、ネットビジネスに絡んだいくつかの業界が「どうしてこうなった」と言うのを読むのにはいいと思う。

ネットビジネスの終わり (Voice select)
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Google Book Search が実は黒船だったと今頃気づいた

以前から著作権者側とGoogleが揉めていたり和解したりでも日本の著作権者は拒絶していたりと騒がれていたのだけは知っていた。ただ、何となく対岸の火事と言うか対岸の祭と言うかそんな感じであまりまともに見た事がなかったGoogle Book Search。

ところがTechCrunchのこの記事を読んで俄然意識が変わった。
持っている本を登録すると、Googleで本の中身が検索できる

へ?
持ってる本を登録?
中身をGoogleで検索?

それは私が長年やりたかった事ではないかね、ヤマトの諸君。

そうやってiGoogleのメニューをちゃんと見てみると「その他」のメニューの中に「書籍」がある。頭の片隅では未だ米国でしか和解が済んでいないと言うのがあったので専門書を検索してみる。おお、あるある。登録できるじゃん。ブローデルの地中海が登録できたよ。自分の書籍リストが出来ちゃったよ。しかも中身が読めるよ(一部)。米国ったら、そうか、「STAR TREK」とかありかも。あるある。ああ、読めた。こりゃあ日本の著作権者が強烈なアレルギーを起こすのも無理はないかも。読者的にはもの凄い便利なのだが。

日本でどんな人達がどんな反応していたのかITmediaで記事検索をしてみたら日本国内でもある出版社が歓迎表明をしていると言うのがあった。

「知の共有が前進する」――Googleブック検索和解案を歓迎する出版社

ポット出版と言う出版社。そこでこの出版社の本を検索してみたらあった。Googleに許可をした出版社の本は和書でももうあるって事だ。しかも中身の検索ができる。中身検索はまだちょっとと言う感じがするが、私の夢まであともう一歩だろうか。黒船がもう浦賀沖まで来ているって感じだ。

日本の出版社、早く和解しろよ。

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