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透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。・第9話

余命半年、だから自分の事は忘れてと冬月に言われてしまった空野。もうどうにも出来ないじゃないかと絶望感にかられて病院の屋上。

隣に腰掛けた人がタバコを吸い出した。言っておくけどここって喫煙エリアだからと言われたら、そりゃ副流煙とか言えないなあ、自分で喫煙エリアに座ったのだから。

彼は冬月の主治医(三浦)だと言う。それで星野は聞いてみた。聞いてよいかと言われて三浦は記憶の事か?とすぐに察する。でもこのあとの会話はちょっと光明が差した。

そもそも転移先は脳ではなく、肝臓なのだ。だから癌の転移で記憶に影響が出るとは思えない。抗癌剤治療の可能性はゼロではない。ケモブレインって以前冬月が言っていた。記憶が怪しくなった時があったと。ただ三浦はどうもケモブレインの症状には見えないと言う。何か精神的な理由。自分で記憶に蓋をしているのではないか。記憶を刺激したら復活するかもしれない。

星野は一番気になる事を聞いてみた。冬月の癌は治るのか。三浦曰く5%。ああ、それ治る方か。今年一杯命が保つ確率と言われてしまった。絶望的な数字だけど、この主治医、言って見せる。治すけどね。
参考資料

ここまでの三浦の言葉だと、確率はおいておいて
治る確率はゼロではない
記憶が戻る可能性はある

微かな光明が差したではないか、星野。
と言っても現実はそう簡単には行かない。

例のテラス席に居たらあの花火研究会の琴麦が来た。今日は彼女は居ないの?そこからの琴麦の言葉は星野からしたら鬱陶しい会話だった。いや待て待て、ちゃんと考えるんだ。三浦は言っていただろう。刺激で記憶の蓋が開くかもしれないって。花火は鍵になりそうじゃないか。

琴麦のぼやきの中では例の学祭の花火が中止になったせいで実行委員と花火師の間で費用負担で揉めているのだそうだ。ほら、未だあがっていない花火があるだろ。なのにまあ釣りの話までされたらそりゃもう良いよって気にはなる。

でも最後に琴麦が決定的な物を出す。あの風に飛ばされてしまった冬月の栞。点字でやりたい事リストを書いたと言う栞。今迄鬱陶しいと思っていた琴麦にマジ感謝。

それで星野は点字の解読に向かうが、図書館かよ!
いや、今どきはネットにあるだろう。それどころか多分出来るだろうと思ってGrokに「写真撮ったら点字をカナに出来るか?」とプロンプトしたら「出来る」って出たぞ。まあそれでは物語にならなくて、星野が本から一生懸命探すのが大事だろうけど。

それにあれは単なる「やりたい事リスト」ではなくて「死ぬまでに」「やりたい事リスト」なのだ。あの時に示唆されていたのだ。

その結果、既にあれが登場した時に調べてはあったが、飲み会に行く、サークルに入る、友達を作る、買い物に行く、花火をする、恋をする、これって当時解読した時は順調に進んでいたから、なんだ全部叶いそうじゃないかなんて思っていたのに。
参考資料

だったら叶えてやれば良い。そうして空野は電話した。多分早瀬だろうとは思った。

次のキッズタイム。早瀬が絵本を読んでいるけど、後ろでは冬月が凄く具合が悪そうにしている。一応その日はピアノを弾けたが、翌日からキッズルームに来なくなった。

星野は冬月が具合悪そうに廊下を歩いてるのを、その時は心配であとからついて行ったけど、結果的にストーカーで部屋が分かった。因みに、病室の入口は個人情報の関係で昔みたいに入院患者の名前は掲示していないけど、掲示モニタがあるのだ。当然普段は消えてるが、モニタの種類で操作方法があって、それをやったら見られる。これが無いと看護師も困るから。まあ病院次第かもしれないが。

思わず扉を開いて中を見たら冬月の母(陽華)が見えた。あちらに気づかれたけど、あの冬月の母なのでおまえは誰だと詰問する事もなく、別の場所で話をしてくれた。

同じ大学の者だと言うと、陽華の食いつきが予想外だった。小春はやはり大学に行ってたよねと。小春があまりに強く自分は大学なんて行っていないと言うから自分の方が不安になっていたと言う。
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最初は冗談も飛ばせる陽華だけど、やはり辛いのだ。そりゃ自分の子供の事だから。でも自分が辛い顔をしていては駄目、隣で笑ってあげないと。だから星野も笑ってそばにいてあげて欲しい。

さっき言っていたが、小春は髪を切る。そしてヘアドネーションする。髪が抜けて悲しむ子供達にあげたい。

さて花火の件。琴麦が詳しく言ってくれたが、大学の敷地だったら一定程度の量以下なら大変な申請は要らない。それで単に花火をあげるだけでなく、子供達にどんな形の花火を上げたいか書かせてそれを実現すると言う方式にした。

小春の病室に行ったら陽華が出て来た。ああ、化学療法が開始されて免疫機能が低下してるのか。マスクと消毒がきつくなってる。中に入ったら小春が寝ていた。思わず窓を閉めてしまった星野に小春が気がつく。

誰?まさか嘘をつく訳には行かないから星野だと言ったら血相を変えてナースコールしようとする。陽華にも頼まれたからと言うと、母と会ったのかと声が荒くなる小春。と同時に頭に痛みが。

どうしたら忘れてくれるのかと言う小春。きつい状態で水を飲んでも吐く。だから点滴してると言う。そうなんだよ、口から水分を補給出来ないと点滴で補給するんだよ、私もそれで24時間点滴してた。

来週からは髪の毛が抜け始める。それが一番嫌だ。死にたい。
星野、なんとかしたいと手を添えて子供花火の事を話す。小春も絵を描かないか。打ち上げは9月末になると思う。それまでに頑張ろう。体調よくしようと頑張ろう。

でもそれに対して小春が怒鳴る。
何故そんな事を言うのか、辛いって言ってるのに。
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これ、多分私がこう場面で怒鳴る時とは違う、もっと別の意味があると思うが、一方で病気で途方もなく辛くて快癒の見通しが自分では全く想像出来ない時に第三者から「大丈夫、よくなる」と言う根拠の無い言葉は本当に腹立たしいのだ。

小春は違うとは思うが。

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