透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。・第8話
冬月の様子がおかしいと思ったら衝撃的な事を言われてしまう。
どこかでお会いした事がありましたか?
空野は冬月のがん治療の話は聞いていたから衝撃ではあるが、受け入れざるを得ない。
「はじめまして」
これ、冬月の目が見えていたら空野がどんな苦悶の表情で声を出したのか分かるのだが。
空野も早瀬もこの気持ちをどこかにぶつけざるを得ない。石を投げるしかない。
そうして寮に戻ったのだが、鳴海はあっけらかんとして餃子の準備をしていた。まあね、これで全員が深い悲しみの状態に陥ったらもう何も手が付けられない。第1話で陽気で適当なヤツと思った鳴海だけどこう言う場面で次どうするかを考える助けになる。早瀬は凄い怒ってたけど。
ただ、何が出来ると言うのか。そもそも根本的な原因は癌なのだろうと思うけど、そこから今の事態に何が作用して、それはどうにか出来るものなのか。このあと分かるが比較的短期(と言っても一年程?)の記憶を冬月は失っている感じがする。家族ではないからその辺を聞けないんだろうなあ。今となっては冬月がいそいそとデートに出かける頃に、冬月母とのコンタクトがあればどう手助け出来ますかとか聞けたと思うが、それはない。
その後もキッズルームでの様子を見に行く空野。いや、だから、病棟はナースステーションで許可貰わないと今どきは入れないんだけど、まあそれを言ってしまっては、話にならないか。
冬月は14時に歌のお姉さん活動をしているのが分かった。今回は冬月はパジャマみたいなので、前回は通院して来てるのかなと思ったけどこれは入院してるね。
軽く声をかけても完全無視で分かって貰えない、記憶から本当に無くなってしまったのか。それが辛い空野。
そう模索してる時に早瀬が見つけた。あの病院でキッズルームでのボランティアを求めていると言うのだ。これでボランティアに入れたら冬月との接点は出来る。でもそんな下心でと思う空野に早瀬はボランティアは本気でやると言う。流石、これも最初の設定であった早瀬はボランティアを本気でやる子だからこそだ。
ボランティアの面接はすんなり通る。やはり早瀬の実績は大きいし、東京海洋大学は名の通った大学だから(ごめんなさい、この作品まで知らなかった。でもこの地域の病院なら当然知ってるか)。
その後、「病院に」ボランティアに入ると言う事で抗体検査とか色々あったらしい。そうか、そうだよね、ボランティアが感染源になったら洒落にならない。そして前提知識も入れられる。キッズタイムにボランティアに入るが、その時に子供は病気の辛さから離れる様にしたい。だから病気には絶対ふれるな。つまり冬月についても聞くなと言う事だ。
ところで私は学齢期前に長期入院した。つまり昭和30年代なんだけど、当たり前ながらそんな時代にそんな仕組みは無かった。大きな大学病院だったけど。なので私は増築を繰り返した大学病院の構造を見て回った。その時の記憶が今でも残ってる。
そして冬月への紹介。入院している患者さんですが、キッズルームでピアノを弾いてもらってます。改めての正式な紹介だった。
と言う事でボランティア開始で、まあ子供相手は大変だよね。遠慮無いし。子供は次々と冬月にも折り紙を要求するけど、手元に折り紙の用紙が無くなっても誰も渡さない。でも空野はそれを分かる。さりげなく紙を渡せる。これかな、目が見えてないのをさりげなく助けられる人と言う認識をして貰える。
6月が終わって梅雨が明けるが、でも冬月と会話は出来ない。むしろ避けられている気がする。だがそんな時に冬月から話しかけて来た。
何の話かと思ったら、大学の出席日数は大丈夫なのかと。早瀬が代弁して、いや駄目だろ。それより冬月の出席日数は大丈夫なのかと聞いたら、それは何の話かと言われてしまう。自分は大学に行ってない。そこまで記憶を失ったのか。
空野、ここで限界を迎えてしまった。
気配を消したと言う冗談もきかない。
思わず声が大きくなってしまう空野。冬月の方が気を使ってくれる。そこまでは気を許してくれたのか。でも歩く時の冬月は単に捕まっているだけ。
屋上で二人だけで話をする事で、やっとこの記憶の行き違いの整理がされる。空野の言いたい事情は分かる。でも冬月は自分にどうして欲しいのかと尋ねる。記憶を取り戻してほしいのか?それは迷惑だ。
迷惑とは?空野達との思い出は迷惑なのか?しかしその驚きにさらに冬月が畳み掛ける。だって自分はあと半年の命。
癌が肝臓に転移してる。半年で死ぬのに下手に記憶を取り戻しても悲しいだけだ。だから空野も余命短い自分にあまり関わらない方が良いと。
化学療法が始まって、あと一週間もしたら病室から出られなくなる。
だから忘れて。
どうするのよ、空野。
いや病状はもうどうにもならないとは思うけど。

