幼女戦記Ⅱ・第8話
帝国の現状を見せつけられたデグレチャフ中佐。戦争を終わらせるにはもう軍事クーデターしかないのか。先日のイルドア王国が仲介してレルゲン大佐が準備した以上の講和条件が得られる勝利などありえまい。
そんなまんじりともせぬ夜に参謀本部から緊急の呼び出しがあった。夜中に休暇中の部隊長に緊急の呼び出しなど、ロクな話ではあるまい。
果たして参謀本部で聞かされた内容は南方大陸からの撤退の護衛任務だった。レルゲン大佐が言っていた。もう南方大陸の戦線を維持する体力が帝国には無い。だから撤退だ。其の為に輸送船団が組まれ、イルドア王国への航路を通ってイルドア王国を通過して帝国に戻る、筈だった。
しかしイルドア王国はへそを曲げていた。折角講和の準備をしてやったのに帝国はそれを蹴った。ならば分からせてやろう、帝国軍の通過を許可しない。
しかもこれは連合王国からの要請でもあった。通過を許可しない。寄港するにしても24時間以内。満面の笑みを浮かべる連合王国のホワイトホール。海上では圧倒的な強さを持つ連合王国は、これは歓迎会をせねばと軽口を飛ばす。あ、これはしっぺ返しを食らうフラグだ。
そこの護衛を命じられた第二〇三魔導大隊は、他のサラマンダー戦闘団の部隊とは違って出撃をする事になる。作戦名はバルバロイ。帝国軍の通過を拒否した風見鶏共の眼の前で連合王国軍を叩く。少しは目が覚めるだろう。
と申しましても、圧倒的海軍力に対してどうするか。その作戦はレルゲン大佐から開示される。凄い嫌そうな顔をしているレルゲン大佐。
それもその筈、デグレチャフ中佐達には無理をして貰う事になる。また無理が来たか。そして背後に何かあるのが気になる。これを説明する人物がやって来た。あ、マッドサイエンティストのお出ましだ。ドクトル・シューゲル主任技師。
そうして開陳したのは決戦兵器V2。今回は魚雷。あー、人間魚雷回天かい。こちらは一応乗組員は生還する筈の設計なんだけど。魔導部隊でなければ操縦出来ない誘導魚雷。
すぐに気付けよデグレチャフ中佐。回天を知ってるだろう。
海軍のマヌケ共が作った不備の多い魚雷とは違う。これは私が注力した私の、と言う所で言葉を詰まらせるシューゲル。てっきり神の恩寵で完成したとか言うのかと思ったら違った。デグレチャフ中佐が墓穴を掘っていた。以前、戦況をどうにかする為にと前線の意見を兵器工廠の技術者達に問われ、いくつか意見を述べたがバカな技術者が素人の考えだとせせら笑っていた最後にデグレチャフ中佐はこの魔力による誘導魚雷を提案したのだ。
いや、気づけよ。魔力による、って所はもう絶対そのお鉢が回って来るのは第二〇三魔導大隊だろうが。
南方大陸では帝国軍が乗船して撤退の準備をしていた。あ、ロメール中将登場だけど、漫画版、東條チカさんの描いたロメール中将はもっと精悍だったぞ。こんなに丸くない。まあセレブリャコーフ中尉がアレでは仕方ないか。
デグレチャフ中佐達が乗った潜水艦の艦長(バルヒェット)は良識人らしい。敵連合王国艦隊を発見したが、日没で視界が視界だから普通の魚雷ではと言う。しかし、それではバルバロイ作戦にはならない。単に守り抜くのではない、連合王国艦隊を叩く。そしてイルドア王国のお友達の目を覚まさせる。
十二本のV2。したがって十二人の魔導師。部下に改めて目標を下すデグレチャフ中佐だが、まあやはり部下には不安はある。見えない敵はどうするか。魔導師ならこれで行ける。酸素はどうするか。酸素の薄い高高度で戦っている。
魔導師が搭乗するからコックピットが囲まれていると言う訳じゃないのか。本当に大変だな。完全に魔導師にしか出来ない。
その頃の連合王国第二戦隊、兵士の気持ちが緩みきっている。これまたフラグが来たな。これは作戦成功の流れだ。
第二〇三魔導大隊が誘導するV2は連合王国第二戦隊に肉薄。ここでと言う所で魔導師は離脱。誘導魚雷は敵艦の真下で炸裂した。魚雷は直接当てるのではなく、真下で爆発して戦艦を折るって聞いた事がある。
戦艦と空母が撃沈されて行く連合王国第二戦隊。狼狽する兵士達の前に連合王国の魔導部隊が来援して、助かったと思ったのも束の間、第二〇三魔導大隊が海中から出現して連合王国の魔導部隊を撃墜する。まあただの魔導部隊では第二〇三魔導大隊の敵ではない。
第二〇三魔導大隊を回収した船長(エルム?)から手紙を受け取るデグレチャフ中佐。イルドア王国の入国証だった。これは戦果を携えて凱旋して来いと言う事か。そう理解した。
そのデグレチャフ中佐を迎える準備を整えているカランドロ大佐。立ち会うレルゲン大佐。レルゲン大佐が含まれたのは今回のイルドア王国への嫌味としてのデグレチャフ中佐の表敬訪問。そのとおりにカランドロ大佐の気持ちは重かった。以前東方戦線で誼を通じていなければとても耐えられないだろうと。
イルドア王国としては裏口で潜水艦をこっそり迎え入れるつもりだった。つもり。レルゲン大佐もその程度にしかなるまいと思っていた。その程度。
でもやってくれる。デグレチャフ中佐は満艦飾で盛大に入港して来た。
あ、レルゲン大佐、また胃を押さえてる。

