天幕のジャードゥーガル・第3話
何もかも失ったシタラ。もう兵に撃たれてしまえばとフラフラと出た所を通訳の少年シラに呼び止められる。エウクレイデスを取り返したくないか。シラがここまで積極的なのは理由があった。シラはサマルカンド出身で当然の如くモンゴルに捕らえられたが、生き延びる為に必死なのだ。黙っていると最前線の兵として送り出されてしまう。だから懸命にモンゴル語を覚えて通訳となった。この先、モンゴル王族にも取り入って無事に生き延びたい。
さて、トゥースを襲撃したトルイが戻る。そこには何とオゴタイとチャガタイとジュチが居るではないか。びっくりだなあ。世界史でオゴタイ汗国とかチャガタイ汗国とかその版図の地図とかは見たけど、オゴタイやチャガタイがこうやって動いて登場するのはびっくりだ。
ここでトルイが原論を開陳。あんなに固執してたので「へートルイが原論をね」と思ったけど、やはり読めない理解出来ない。なんでまたと思ったら妃のソルコクタニ・ベキが遠征みやげに欲しいと言ったからだそうだ。ただソルコクタニも読めない。
この経緯をシタラはシラから聞く。そんな事の為に、読めもしない本の為に奥様ファーティマは殺されたのか。どうしたらよいのか先の事を全く失ったシタラはムハンマドの言葉を思い出し、シラの話に乗る事にした。
シラはシタラを売り込む為に王族に近づける様にもう少し身分のありそうな名前にしようと言ってシタラが決めたのはファーティマ。奥様の名前だ。復讐の為の名前。
シラの売り込みでトルイの前に出るシタラ。あれ?途中の通訳が入ってるぞ。ファーティマを襲った時はシラが直接話してなかったか。ただ、こう言う世界だとある言語から別の言語に一旦翻訳して、そこからさらに翻訳と言うのは全然普通なのだが。
トルイはシタラの事を覚えていた。あの場面に覚えがあるのは逆に名家の令嬢だと言う売り文句に納得性をもたせたかもしれない。
天幕の外に出たシタラが見かけたのは身分の高そうな女性。だがあれはトルイの妃ではない。シラからモンゴルでは遠征に奥方を連れて行くのは普通だと言われ、シタラはここでモンゴルの文化が大きく違う事を知る。そしてそれを理解しようとした。王族に近づく為に。
因みに後から彼女はオゴタイの妃ドレゲネと分かる。しかもドレゲネはオゴタイを敵として見ている。ここにも復讐を誓った女性が。
モンゴルへの長い旅の途中、突如一旦止まって何をするのかと思えば大汗の賓客が西に向かうのでそれを迎えるための宿営をすると言うのだ。
移動しながらシタラはモンゴルの習慣などを吸収していた。天幕は必ず南向きで建てられる。時間をちゃんと把握している。時間なら大抵は日時計だろうと思ったが、天幕の明り取りから入る陽の向きで把握してる様だ。
女達で「賓客」の噂をしていた。不老不死を知っている東方の賢者だとか。そこに近くのウイグル人がやって来て賢者に捧げ物をしたいから案内して欲しいと言われた。他の女はみな怖気づいたが、半分仕方なくシタラが案内する。これは機会になるんだけど。
ウイグル人は賢者の天幕の近くにいるチンカイと言う男と顔見知りだった様だ。さっそく献上品を差し出す。チンカイに同行者だと思われてシタラは天幕の中へ。中には200年位は生きてそうな賢者長春真人が居た。その長春真人は5月1日の日食を見た人は居るかと尋ねて来た。
さあここだ。モンゴルは中国北方から既にホラズム迄を征服していた。だから東西に長い距離によって日食の見え方も時刻も違うのだ。賢者、日食の発現の仕方を考えていた。それをあの天幕の時計で正確な時間を言える。だからチンカイから賢い子と認められる。ムハンマドの教育の成果か。
さらに数ヶ月。とうとうモンゴルの中枢に着いた。ファーティマと言う娘は居るか。そう呼ばれてとうとうシタラはソルコクタニの天幕に導かれる。

