あかね噺・第5話
朱音は学校で担任の岩清水先生から進路相談を受けろと言われていた。忘れていた訳だが、でもあの場面はホームルームが終わってそう時間が経ってない気がするから「忘れていたのか」で責めるのはいかがなものか。
ともあれちゃんと進路は大学か就職かと聞かれて、朱音は即答で落語家になりますと答える。まあそうだろう。でもそれを聞いた岩清水は全く聞く耳を持たない。ならば落研のある大学はこれだと言うのだ。あ、聞いてない訳でもないか。しかし朱音が考えているのは高校を卒業したらすぐに落語家の道に進む、いやもう進んでるんだけど、そう言う方向なのだ。
実は岩清水、落語家と聞いた時に妙な反応したんだよね。それは後の話。朱音に対してそんな不安定なよく分からないモノになろうとしては駄目だと言う。そこでちょっとムッとした朱音があの二ツ目二人会のチラシを渡した。と言うか、置いたのだが。落語を見た事が無いのならこれを見に来てくれと。
この時点で思ったが、朱音に関してはもう落語家の師匠とは話がついてるし親も認めている。それをちゃんと話したらいかな岩清水でも理解するのではと思った。
ちゃんとした進路調査を出さねば出すまで放課後進路相談すると言われてしまった朱音。それじゃちっとも練習の時間が取れない。そのグデっとした朱音に尾崎が声をかけた。なんて顔してるんだと。
尾崎もやはり師匠と親に認められているんだから気にするなと言う。その場面を岩清水が見かけていた。
でも朱音は普通に説得する方向で考えた。岩清水と仲良くなって話をちゃんと納得して貰う。それには習得した気働きだ。
でもそれでお昼に岩清水の所へ行った朱音、それは全然気働きになってないのでは。無理に趣味を合わせようとして墓穴を掘ってしまう。その場にあったからと宮沢賢治を選んだのはあまりに失策。そこにあったと言う事は岩清水が読んでいたと言う事で内容に突っ込まれるのは必至。朱音ってラノベとかも読んだ事ないのかな。岩清水の知らなそうな所で、ってそれじゃ共通話題にならないから駄目なのか。そのあとに落語が好きなのかと言われて饒舌になるので「古典落語」の本読んでるでも良かったんだけど。ただ、この時の熱弁は無駄じゃなかったのでは。
尾崎も進路相談を受けていた。そこで岩清水は尾崎に聞いてみた。自分が桜咲に言った事はきつすぎたのではないか、様子はどうなのかと。その時に尾崎は岩清水の考えを知る。岩清水はその時の気分で短絡的に落語家を決めてるのではないかと。だから止めた。
でも違うんだよ。尾崎は知ってる。朱音は父の件を乗り越えてなお落語家になろうとしてる。その時の気分で短絡的に決めたんじゃない。だからそこに置いてあった二ツ目二人会に行ってみてくれと強く勧める。これ、つまりは岩清水は桜咲家の過去を知らないと言う事だな。そこまで家庭事情を遡らないか。今の両親の職業程度で。
ただ岩清水にも理由があった。昔担任していた生徒の中で芸人になりたいと言っていた生徒が居た。彼女はそれを聞いてそちらにすすめてやった。だが或日TVで知る。「都内の激狭物件」に住んでる人にインタビューしてる中で「夢やぶれて極貧生活」として出ているのがその生徒の今。お笑いの道に自分は合ってなかったと言う。送り出した生徒が極貧生活と言うのはこたえるな。爾来岩清水は堅実なコースしか認めなくなった。
ともあれ尾崎にああやって勧められたので岩清水は二ツ目二人会にやって来た。
あのパンフには阿良川享二と阿良川剣びししか載っていない。当然岩清水はこの二人を見てどうなんだと思ったのに、最初に出て来たのはあかね。
あかね、早速「転失気」を語り始める。転失気の内容は作中で語られたとおり。
オチ、あれだったっけ?調べてみたらサゲのバージョンが多いらしい。
岩清水には分かる。教師だから分かる。前回私は社内教育の講師をやっていた時期があったと書いたけど、教育者なら聞く人にどうやったら届くかを考える。そこは落語家に通底するものがある。
理解した岩清水にこれまた凄い進路調査を出した朱音。
不安など屁とも思いません。
そこで岩清水は学生向けの落語選手権のパンフを渡した。
可楽杯。今年の審査委員長は阿良川一生。
思わぬ方向から試練が来たな。
今回の尾崎の語りで一生は全員破門事件で一度は非難を浴びたけど、その芸によって全部黙らせた程の大家になってる。何かあっても世論は味方にはならない。

