自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。・第6話
バーティアが階段から落ちた。
急を聞いて駆けつけたセシル。
バーティアは当然誰かのせいとかにしない。生徒会室から荷物を運ぶ時にしくじった。荷物が多くてファンニル・ロード伯爵令息(前回バーティアを見て微笑ましい感じでニコっとしていた男子だ)が手伝ってくれたのだが、階段の所で誰が背中にぶつかって落ちてしまった。でもクロが魔法で守ってくれたから大事無い。
セシルはすぐさま誰かに突き落とされたと理解した。だから開口一番犯人のと言いかけたがそれを引っ込めて誰とと言い換えた。バーティアは最初は口を濁していた。だってそれが誰なのかを言ったらセシルがどうにかしてしまう。それでもセシルから迫られて、髪の毛と背格好がヒローニアに似ていたと告げる。その手は震えていた。
そんなバーティアを見て黙っていられるセシルではない。側近候補とかを集めて個人的な報復を手伝って貰えるかな。みんな勿論と立ち上がる。ショーンはそれでは早速ヒローニアをと言うけれどもセシルの見立てではこれはヒローニアではない。
以前はヒローニアは悪口とかでバーティアの評判を落とそうとしていた。だが最近は直接的な嫌がらせになっている。手口が違う。真犯人はイーリン・シルベルツ子爵令嬢。
それから一週間後。
ヒローニアがバーティアに文句をつけていた。どうして自分がバーティアを階段から突き落としたと言う噂が広まっているのか。ヒローニアの行動はセシルの仕込みではなかったが丁度良い。ここで決着をつけよう。
あの階段からバーティアが落ちた日、手伝ったのはファンニル。そのファンニルを調べたらイーリンが片思いをしていた。なのにファンニルはバーティア様を愛でる会に入っている。それでバーティアに悪意を持った挙句にあれだ。
文句をつけているヒローニアに所へ向かうセシル。みんなが気遣ってバーティアにはヒローニアの噂すら伝えていない。だからバーティアが流した筈がない。さあ、ここで答え合わせと行こう。みんな聞いてくれ。
あの事件の時にバーティアはヒローニアの髪色に似た人とぶつかったと言ったがヒローニアだとは言っていない。いや、言ったらバーティアが望む「悪役令嬢」としての役割が出来たのに。これは最近バーティアにつっかかるヒローニアに化けて利用した誰かがやった事。それを聞いて逃げようとしたイーリンをファンニルが止める。ありがとう、ファンニル、とセシルはイーリンにヒローニアに化けてバーティアに危害を加える気持ちはどうなのかと。
当然イーリンは何の証拠があってと言うが、この一週間ジョアンナ達がイーリンを見張っていたのだ。ある部屋にイーリンが入ったかと思ったらその直後にヒローニアみたいな人が出て来て、でもその部屋を見てみたらもぬけの殻。
イーリン、そんなのは単なる見間違いではと、まああまり直接的ではない目撃証言は証拠としてはちょっと弱い。
そして次。ここでネルトの薬品研究の成果。苔と薬草からネルトが抽出したマスリート液とアルカリ液。マスリート液は無色透明。でもアルカリ液と混ぜると変色する。マスリート液をバーティアの私物のある場所にまいておいた。バーティアの私物がやられた後は消しておいたから工作した人以外が踏む事はない。
さて、ヒローニアとイーリンの靴にアルカリ液をかけてみましょう。ヒローニアは自分が犯人なんて事は無いといきり立って靴を脱いだ。ヒローニアにそうさせられたらイーリンも靴を差し出すしかない。その結果、イーリンの靴が変色した。
これは罠だと言うイーリン。それを追い詰めるセシル。今日は寮の一斉掃除の日。大切な物は持ち出している。あ、イーリンがずっと膝の上で握っていたのはそれか。クールガンがそれを奪い取ると思わずイーリンは言ってしまう。それは「私の」大切な物。そう、あのヒローニアに化ける鬘はイーリンの物。
何もかも明るみになって、ファンニルはイーリンを心の底から軽蔑。
この件に関してはヒローニアも被害者。あらぬ疑いをかけられたから。これもバーティアが悪い。しかしここで妙な事を言った。
「なんでライバル令嬢を引き連れて攻略対象との仲を取り持つのか」
あれ?ライバル令嬢とか、攻略対象とか。
さらに加える。
「セシル殿下は私とでなければ幸せになれない」
何か不吉な事を口走ってるな。
そして今迄確かにバーティアはセシルがヒロインと結ばれねばならないと固執していた。何かあるな。ヒローニアは自分が運命の乙女。これは自分が輝かねばならぬ世界。
これを聞いて気を失うバーティア。ヒローニアの指摘もそうだし、突き落とされてからろくに眠れず憔悴していた。
ベッドにはセシル以外の皆もかけつけて、それを知ったバーティアは頑張ると言う。何故みんなが自分を心配してるのかを理解する所から頑張る。
二ヶ月後。ハルム学院中等部の文化祭が開催される。ショーンは中等部の生徒会長だけど、あれ?ここで初めて気がついた。バーティアとかも中等部だったの?後夜祭にベストカップルを決める投票が行われる。でも対象は中等部の文化祭だから中等部の人間でなければならない。だから二人共高等部なチャールズとアンネは対象外。逆にそれ以外のカップルは少なくとも片方が中等部であって、自ずとバーティアは中等部になる。
その後夜祭のベストカップル賞の発表。三位はバルトとシンシア、ネルトとシーリカ、二位はショーンとジョアンナ。当然これで一位はセシルとバーティア。読み上げてからバーティアは真っ赤になって固まった。あのお茶会のクリームを拭う様とか票集めに買ったのか。
学院全体からセシルとバーティアはベストカップルに認められた。
ただ、バーティアからしたら卒業時にぎゃふんと言わされてしまうから文化祭では楽しい思い出だけにしたかったのに、ここでセシルとの思い出が出来たらぎゃふんの時にセシルを思い出す暗いイベントになってしまうと言うのだ。あくまでもシナリオ重視。

