霧尾ファンクラブ・第4話
藍美がやつれている。霧尾と繋がったから。
また妙な事を言い出したなと思ったら、これは理由を理解出来た。繋がったけど霧尾から現時点で全くメッセージが来ていない。これ即ち霧尾が自分の事を何も思っていないからだ。今迄は繋がっていなかったからメッセージが来ないのは当然だった。しかしその防御が無くなった今、来ないのは切実な問題。
しかし波の返しも鋭い。藍美だって霧尾にメッセージを送っていないじゃないか。送ろうどうしよう、そう思っていて送れていない。成程!じゃあ両思いなんだとする藍美。またズレたな。まあ解決したら良いのだけど。だったら自分から、いや、どうしようと思っていた藍美を尻目に波はさっさとメッセージを送ってしまう。
それを見た藍美がまた突拍子もない行動に出た。何を数えているのか。メッセージを送って何秒で既読が付くのか。自分が送った時とどう違うのか。暫く経って既読がついた。またも数えだす藍美。今度は何秒で返信が来るのかだった。面倒なヤツだな。果たせるかな霧尾から返信が来た。スタンプも来た。なんだこのスタンプ。こんなのに霧尾はお金を出してるのか。LINEを使ってないから分からないけどスタンプって全部有料なの?
藍美も霧尾にメッセージを送る。あのスタンプ付きで。しかしミスったかもしれない。あのスタンプは霧尾の知り合いが作ったものらしい。それを藍美がわざわざ使ってきたのかと。でも波が検索したらあのスタンプのフォロワーが4万人も居たので、普通に好きだからでセーフ。
校内で悪い噂が立っている満田。歩いていると女子からもヒソヒソされる。明らかにこんな生活嫌だなと思っている風だった。そしていつもどおりに化学室に入ったら藍美と波が居た。まだ両思いになるおまじないを教えて貰っていない。それまではここに来ない訳にはいかない。つまりそれがあると来るのか。ともあれ満田はおまじないを教えた。
消しゴムに望んだ事を書いて誰にも知られずに使い切ればかなう。小学生のおまじないかよと言う藍美だけど波はせっせと書き出した。負けじと藍美も書く。これが無くなるまでっていつかなと思った藍美だけど波は凄い勢いで使い出した。おのれ波と、藍美はアルコールランプに火をつけて石綿金網(あれ?石綿ってアスベスト問題でもう使えないのではと調べたら、今ってセラミックなんだ)の上に消しゴムを乗せた。これって消しゴムがちゃんと消えるの?焦げるかドロドロになるだけでは?
そんなのでは駄目だと気づいた藍美がアルコールランプを消そうとするが、アルコールランプの消し方は小学校で習ったろうが。吹き消すんじゃなくてキャップを重ねて空気を遮断するんだよ。そんなに近寄ったからやけどしちゃったじゃないか。
藍美が保健室に駆け出して残った波に満田が呟く。そうやって霧尾が好きとか能天気に暮らせるのが羨ましい。そんな事も出来ない人間がいるのだと。でも波は確かに霧尾のおかげでこんな笑って暮らせているけど、でもそれはきっかけに過ぎなくて自分達が楽しいと思える事をやっているからだと言うのだ。そんな波のおまじないの内容って。
じきに藍美が戻って来て三人は帰り道につくのだが、藍美曰くさっき霧尾とすれちがって沢山話が出来た、あのおまじないのおかげだ、また頼む(また来る)と言う。ひっそりと友達が欲しいと消しゴムに書いた満田、話せる相手が出来たのでは。
図書室で勉強してる藍美と波だが、藍美の変な顔の写真を霧尾に送ろうとか図書室で騒いでると消しゴムを落としてしまう。それを拾おうとして机に頭をぶつける藍美。それって霧尾を好きになったきっかけじゃないかと。そうだったっけ。そんな話もあった様な。
でもそれを指摘された藍美の反応が微妙。一応そうだったとは言ったが、先に帰った公園のベンチであの消しゴムを取り出し。そんな程度で好きになるかよと。そして消しゴムに書いてあったのは
「霧尾くんの笑顔とり取り戻したい。」
え?あれ?
話は高校入学前に遡る。藍美は祖父が入院してる病院に見舞いに来ていた。その時にとある病室から笑い声が聞こえた。それが霧尾だったのだ。入院患者に学校であった事を色々と話して笑っていた。これって患者を励ます話し方だよね。でも藍美はその姿に惚れたのだ。
でもあの消しゴムの事を思うとこの患者の先には良からぬ事が待ってる気がしてならない。果たして高校に入学したらあの霧尾が居るではないか。クラス分けを見て同じクラスだと霧尾に話しかけている子が居た。何かそう言う共通項があれば話が出来る。
そして藍美は学校の制服を来て病院へ行った。同じ学校の制服だったら話を切り出せる。そう思っていたのに、あの病室は空っぽになっていて、そしてその廊下では泣き崩れている霧尾と、そして「望美の為にありがとう」と言っている、恐らく亡くなった子の両親が居たのだ。こんな場面で当然話しかけるなんて事は出来ない。そしてそれからだ。霧尾が今みたいに全然言葉を発せなくなったのは。霧尾って寡黙(良い表現)なヤツだなと思っていたが、そんな事があって今のとっつけない霧尾になっていたのか。
そしてだからこそだ。藍美が消しゴムに書いたのはそう言う意味なのだ。
それにしても望美の母が能登さんだったな。あんな僅かな場面で。どうなんだろうこの先。でも僅かな場面と言うと藍美の祖父も立木さんなんだよね。
今回色々あったなあ。ただの馬鹿話だけしてる内容じゃなかったんだ。
霧尾はああだし、藍美は髪をのばしたし、一方で波は切ったみたいだし。

