しゃばけ・第8話
一太郎が会って話したいと思った腹違いの兄の松之助。今回はその松之助の話。
夢の中で山盛りの白いごはん(あの時代、身分が低いと銀シャリを食べるのは難しい)を見る程に奉公人の身の上は辛い。白いご飯に襲われる夢で目が覚めたが、その原因にもなったのがおかねの悲鳴だった。何事かと行ってみたら、また猫が殺されていた。しかしそこには松葉ちらしの手ぬぐいが括られていた。松之助がいつも使ってるヤツだ。
このせいで猫殺しは松之助だろうと東屋のおかみお染から嫌疑がかけられる。安直すぎるだろう。しかしこれを東屋の娘のおみちが庇う。うちのおたまが殺されたあの日、店が大忙しで松之助もかかりっきりだった。それは左平も証言してくれる。だから松之助がやれる筈がない。
この辺を皮切りにおみちが松之助に優しい。左平達がおみちは松之助に気があるんじゃないかと言う程に。当然松之助はそれを否定する。
これをこころよく思わない者が居た。おみちの弟、即ち東屋の息子の与吉だった。この与吉は出来が悪くて、姉が松之助に優しいので松之助の様子を見張るのだ。でも、やるにしたって気づかない様にこっそりやれば良いものを、それが出来ない。
辟易としていた松之助だが、或日その与吉の悲鳴が聞こえる。何事かと行ってみたら番頭が血だらけの包丁を持っていたのだ。え?番頭?別に薬をきめていたみたいじゃないのに何でまた。逃げる番頭を追いかけて何とか捕まえる。
当然今度は番頭の糾弾会議。お染はおたまを殺され、しかも世間体が悪いからと番頭に東屋を出て行く事を命じた。番頭は不安にかられてやったのだ。与吉があのざまで姉はしっかり者となると、おみちが婿養子をとって東屋を継ぐだろう。その時、自分はどうなると。
松之助は思った。これは番所に突き出すのはしないが、やはり身一つで出て行けと言う事だ。やった事は酷いが長年東屋に尽くした番頭なのだから、少し位の金子は与えても良いのではないか。
今回もおみちが松之助の気持ちを組んでくれた様に番頭を庇った。番頭、何の心配をしてるのか。自分は婿養子などとらない。嫁に行くつもりなのだと。店の主たる半右衛門も今番頭に出て行かれたら困ると言う事で、番頭の今回の件は不問に付された。
番頭はどうやら心を落ち着かせた様だった。そして松之助に明かすのだ。最初の頃は猫を毒殺していた。これはその時の薬で、これをおまえに渡すから処分してくれと。いや、自分で処分しろよ。松之助は薬種屋長崎屋の妾の子だからと言う理由だから毒薬の処理を安全に出来るだろうと言う意味か?松之助はこれを受け取ってしまった。後でこんなものを持ってるのを知られたらまずい事になるのでは?とこの時は思った。
松之助、湯に行ってこようと行李を開けたら、松葉の手ぬぐいの上にあのビードロがある。いや、待って。松葉ちらしの手ぬぐいがここにあるなら、あの時の嫌疑は益々根拠が無かったのでは。
ともかくこれで松之助は湯に行こうとしたら、お染とおみちの会話を聞いてしまう。
おみち、松之助の事を聞かれて、あんな使用人とどうにかなる訳が無いだろうと言う。まあここまでなら主人筋と使用人との身分差でやはりなで済むのだが、この後が酷い。二ヶ月前に芝居を見に行ったら日本橋に居並ぶ大店と言うのは凄いものだと思った。そして長崎屋、あそこには松之助の腹違いの弟が居ると言うではないか。松之助に良い所を見せておいてツテを作り、首尾よくそこの嫁に収まればよい。松之助はその為の駒だと言う。ついでに番頭はいつだって追い出せるとも。
こんな奴らが主人家。おみちはこんな悪女だったとは。絶望感にかられた松之助がふと井戸を見る。おい、やめろ。それは駄目だ。松之助が毒薬を取り出した時、あのビードロが落ちた。自分の心と違ってこのビードロのなんて綺麗な事。自分は一体何をしようとしていたのか。あー、何とか思いとどまったね。

