笑顔のたえない職場です。・第3話
5話も入稿して単行本の目途が大分ついて来た。これでデビューして連載して大きな関門をクリア出来そう。あとは描き下ろし漫画とかがちょっと残っている。あー、漫画編集の現場ってこう言う編成表使うんだ。
そしてカレンダーにはスケジュールも。
一応双見先生の現場はしっかり管理はされている。
でも猫の手も借りたい。
間からもう一人アシスタントを増やしたら?と言われるが、いや、この現場の律速段階って双見なのでは。それにしてもここでアシスタント増やそうとか、まさかOPに出てる人達ってみんなアシスタントなの?あんな大規模になるの?
取り敢えず佐藤に相談したらちょっとお試しで入って貰おうかと言う事になった。ここで佐藤から双見もアシスタントやったろうと言われて間は初耳だった模様。
佐藤の心当たりは遠方に住んでるからオンラインだけでやり取りする相手。まあ今時それって普通にあるよね。私の今の仕事もフルリモートなので職場の人とはオンライン会議で画面をONにする時(普段はSOUND ONLY)しか顔合わせしてない。
と言う事で、佐藤から紹介された人「ねこのて」のSNSを見たら沢山草生えるメッセージを書いていて、これ大丈夫なんだろうかと心配になった。取り敢えずメッセージは送ってみる。でも返事はちゃんとしていた。
間は佐藤が言っていた双見のアシスタント経験を聞いてみた。そこは滝沢先生と言うとどうやら有名作家らしい。が、行ってみた時の開口一番が酷い。うーん、こう言う人とはまりお付き合いしたくないなあ。あとで双見はいい人なんだよと言うし、双見の連載が決まったら速攻でアシスタントやめさせられた(専念しろ!と言う意味)と言うちゃんと相手の人生見てる人だろうけど。あとヘビースモーカーなのは凄い嫌だ。
一点だけ。滝沢の言う言葉でここだけは社会では確か。人がいいと都合よく使われるだけ。相手に悪気がなくてもその先を考えてくれない人に使われるとただの使われ人になる。
そんな話をしていたらねこのてからもう依頼したカットが届いた。ああそう言うファイルボックス使ってやり取りするんだ。
見てみたらあんな短時間なのに完璧なカットが出来てる。え?今ってこれだけのカットをこんな短時間で仕上げられるの?トレースとかして描く技術が確立されてるの?だって対局室の絵は一時間もかけないで描けるものじゃないでしょう、アナログ時代だったら。
さて、アシスタントさんの作業は順調に進んでいる。
そして気がついた。最初に言ったじゃんか、律速段階は双見だって。やっと気がついたか。
Bパート、新幹線に乗ってる誰かの場面から始まった。隣に座ったおばさんからあなたの所作綺麗ねと言われている人。
そして双見が誰かと会おうとしていた。Aパートの流れからまさかねこのてが上京して顔合わせ?とちょっと思ったが、ちょっと流れが違ってそう。あ?所作?さては将棋漫画の監修をしてくれている棋士の人なのかと思ったらそうだった。あとから荻窪の将棋道場が協力に入っていたのでそこに行った模様。
と言う事で将棋道場で女流棋士の角館塔子に取材。まあ棋士様がソファーなのは分かるけど、漫画家双見と編集佐藤の椅子はちょっと酷いのでは。佐藤は丸椅子だよ。
取材の中で角館が多面指しで20人相手すると聞いて双見が天才なんですねと驚くが、ここでの角館の反応が微妙だった。自分程度を天才と言われるのがちょっと嫌みたいだ。
今回の献本は、先日間が最後のカットで登場した新キャラの背中で終わっていて、角館もどんなキャラなのか気になった。でもこの段階でも双見は未だそのキャラの性格を決めかねていたのだ。
そこで双見は聞いてみた。奨励会員の会員間でもやはり恋愛沙汰とかあるのだろうかと。あるよー、と言うか狭い世界だからやはりある。そして相手は人間性がどうこうよりも強い棋士である事が重要。それで自分が強くなれる。
これを聞いた双見が新キャラの性格を決めた。少年棋士昴を恋愛の食い物にして自分を強くするヒールキャラにしようと。そしてガっとラフを描きあげるのだ。20分程度で。今までさっぱり漫画家の素養を描かれて来ていなかった双見先生の才能がここに。
ここまで描いたら双見はこの勢いでネーム描きたいと食事せずに帰ってしまう。やはり双見根っからの創作家じゃないか。

