笑顔のたえない職場です。・第4話
間がまたも理不尽な事を言わされている。それにしてもよくもチアの衣装あったな。やる気の出ない双見の応援なんだけど、愛が足りないと言われてしまった。
前回、勢いで良いネーム(第7話)が出来たと言うのに双見の原稿はそこから一歩も進んでいなかった。しかも今回のネームが良いと言う言葉尻を捉えて、じゃあ普段は駄目なのかとますますやる気を無くす双見。あー、めんどうくせー奴。
仕方ないので佐藤に相談。佐藤によるとそれは単行本発売鬱だと言うのだ。単行本作業はやりきった。あとはそれがどうなるか。
ところで佐藤は編集歴何年なんだっけ。wikipedia見たら29歳とあるので、5年以上はやってるか。ベテランの領域に入って来てるか。と言う事で漫画家をその気にさせる手段を持っていた。取り敢えずは佐藤への罪悪感から描かせ始める。加えて褒める。褒めるって難しいんだよね。で、それで双見のやる気マックス。
単行本が完成しました。でも双見はそれを前にしても未だピンと来ない。ともあれここにサインを入れる。隣に佐藤が座るが、そうなんだよね、サイン本ってサインが裏写りしない様に紙を挟むんだけど、ああやってるのか。
サインをしながら双見はこの漫画を始めた頃を思い出す。前任の編集戸田はいくらネーム出しても全部ボツにして来た地獄状態だったのだ。戸田の好みは王道恋愛漫画だから。
それでまるでメンダコぼっちちゃんみたいになっていた双見だったが、そのタイミングで編集が戸田から佐藤に変更。散々ボツを食らっていたネームに佐藤はコレ良いねと認めてくれてそして連載が始まった。
秋葉原にやって来ました。待っていたのは営業の池波。書店に売り込み営業する子。営業のノリだった。サイン本は書店から返本されないから良いのだと。そうか、そうだよね、書店の求めに応じて書いちゃったら返本されないよね。
と言う事で書店に向かってるが、新幹線のガードをくぐってると言う事は書泉ブックタワーに向かってるな(画面では「望田書店」)。全部で10店舗まわると言っていたので他にも行くな。
でも現場で双見がビビる。これで売れなかったら店に迷惑がかかる。それをコミック担当の塚本が励ます。売るのは店の仕事。何よりこれが売れない筈がない。塚本、第1話の連載が始まった時からのファンなのだ。
200冊サイン終わったけど、ここで改めて双見は売上が気になった。これまで双見はあまり読者の反響を気にしてなかったらしい。ある意味それは良かったのでは。下手にエゴサするとろくな事ないから。特に双見みたいな性格だと。
だったら今から見に行こうと池波が言う。塚本が早速SNSにサイン本を投稿したと言うので売れ行きを見に行こうと。と言う事でまた望田書店にやって来ました。そして双見の眼の前でサイン本が売れるのだ。これは嬉しい。思わず写真一緒に撮らせてと。この人が作者だと知った読者、どう思ったろう。
あれ?この二人、ただの通りすがりの二人じゃない?
今回の事で双見は思った。漫画って一人で描いて完結だと思っていたけど編集が居て営業が居て店員が居る。沢山の人達の手によって読者に読まれている。そうだね、産業化された社会では一人で作って終わりな職業はほとんど無くなったね。
じゃあ今度そんなみんなで打ち上げ兼忘年会やろう。
と言う事で、双見と間と佐藤と角館と池波が集まって飲み会となった。
この時に池波が祝いましょうよ重版かかったからと言って双見が驚いた。いや、聞いてない。佐藤は言ったと言うけど、佐藤のその言い方は明確じゃないから双見は気づいてなかったのだ。これ双見は思った。佐藤にとっては重版なんて普通にある事なので自分の単行本の重版なんてなんともない出来事だったのだ。自分は佐藤から見てその程度なのだと。あー、また自己肯定感低いな。
一次会終わって、その後に佐藤と双見の打ち合わせあると言うのだ。それ順番逆だ。酒が入った状態で打ち合わせとか。
でも入ったバーで佐藤の雰囲気が変。話が要領を得ない。何だろうと思ったら、そうだったのか、佐藤にとってもこの単行本が出て重版もかかったのがとても嬉しいのだ。それをこんな形でしか伝えられなかった。不器用編集だな。

