クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-・第7話
クレバテスとアリシア達が別行動をしたら面倒な事になってしまった。
アリシアの方にはメイナードがやって来てルナを捕獲しようとする。宿屋のある村に大量の虫を引き連れて来た。でかい虫一匹なら剣を持ったアリシアなら大丈夫だろうが、膨大な虫相手は手に負えまい。
さらには部屋の方にはナイエが来て早速ルナに目をつけた。ネルルに関しては磁力を使ってベッドで封じる。ああ、ここに泊まる時に宿屋の女将が木工の礼に鉄製のベッドが貰えた珍しいだろと言っていたのが仇になったな。
ナイエは無理矢理ルナに薬を飲ませようとした。その薬は魔術の適性を持った者なら瞳の色が変化するが、そうでないと単に死ぬだけ。まあルナだと死なないけど、そんなのネルルは知らないからルナが死んじゃうかもしれない。ルナの危機にネルルは怪力を発揮した。怪力設定生きたな。雄牛の突進二頭分の力を跳ね除けて。
ルナとネルルの所へ向かおうとしたアリシアにメイナードが巨大な虫を向けたが、素手でもアリシアは巨大虫一匹なら倒せた。
ともあれアリシアとネルルとルナは宿を脱出。剣だけ持って。宿を囲んだ虫の数ならアリシアの剣戟で切り抜ける。しかもこの虫は単純な命令にだけ従っているので宿の方位しかしていない。でも村の周りには今度は村を囲む命令を受けた虫が居た。こっちは数が多くて除けきれない。どこか虫が来られ無さそうな場所へ。
しかしメイナードは気がついた。あの女剣士は勇者だ。噂で知ってたのかなと思ったら、アリシアの父とドレルの戦いの場にメイナードは居たと言うのだ。それで覚えていた。
勇者が連れている赤子がただの赤子な筈が無い。適性を試さずとも目的の赤子だ。
メイナード、村の人間を広場に集めて告げる。ただこの村の人間はアリシアがやって来た時も心意気を見せたが、自分達の力だけで村を守っている。だからメイナードに怯まない。一体どうするつもりかと聞くと、メイナードは、こいつ結構交渉術も持っていて、そもそもハイデンの王都がああなったのは王と勇者が魔獣王を倒そうと襲ったから逆襲を受けた。そしてハイデンはもう自力でやって行けない、それをボーレートが守ってやろうと来たと言う。侵略軍ではなくて保護に来た軍。
とは言っても最初の場面で一人殺されたのはどうなんだと言うと、あれは不幸な事故。逃げようとしちゃったから虫に襲われた。そうでなければ手出ししない。
もうお分かりだろう。諸悪の根源はもう死んだけど王と、そして勇者達。君たちは自分と一緒に勇者狩りをしようと。まあ一理ある上に、下手に争いたくない相手だし、あのフラっと来た残念勇者がどうなろうと村の人間には関係ない。だから最後の場面を見たら村はメイナードに協力する事にした様だ。でもこう言うのって目的を達成したらやられちゃうんだよね。
さて、ドレル将軍の方。将軍の軍はハイデン王都ハイドラート目指してマレル川を渡河していた。その渡河の途中、例のエスリンの師団長ロッドが襲撃する。ロッドが持つ至宝雪華で川を凍結させた。ああ、凍結して足を動かなくしたのか、と思ったけど流石にそこまでの凍結能力ではなかった。
でもツルツルになった川ではスパイクの無い兵士や魔獣は足が滑って思うように動けない。こうして戦闘能力を失った相手をエスリン軍が襲う。
しかしドレルは只者ではない。下馬してもロッドの雪華を跳ね除ける。ドレルの至宝黒龍は魔術と融合してただの至宝ではなくなっていた。そして味方の兵ともどもエスリン兵をなぎ倒した。
ドレルの目指すもの、勇者伝承の破壊。勇者伝承など実現不可能な話。それを人類がいつまでも引きずっていてはならない。それを破壊するのだと。言いたい事は分かった。しかしそれがハイドラートに向かうのとどうつながるのか。
ロッドを放置して先へ進もうとするドレルの眼の前にクレバテス出現。おまえらは魔術で何をするつもりか。魔獣の子、人間の子を攫って何をするのか。そのクレバテスにドレルはおまえの言う定めを誰が決めたと問うが、質問を質問で返すなとあっさり貫く。
これでドレル終わりじゃんと思ったら、既にドレル自身に魔術が施されていた。黒龍を扱ってる時から目の色が赤くなってるなと思ったけど、ドレル自身の身体に施された魔術はその血によってクレバテスを逃げられない球体に封じ込める。その中で衰弱して死ぬが良いと。
うーん、次回あたりで「こんなもので我を封じられると思ったか」とあっさり出て来そうな気もするが。ともあれクレバテス側もアリシア側も面倒な事になった。

