フードコートで、また明日。・第4話
和田の頭に浮かんだモノを口に出す仕草が凄い。
夏じゃん→歯医者→暑い→熱い→熱いものが歯にしみたらマズイ。
まあ歯医者が嫌なのは分かる。特に子供の頃は大嫌いだった。でも定期的に行って慣れた方が良い。歯石とか取るのに。会社によるかもしれないけど今って生命保険は日頃どれだけ健康に留意してるかで保険のお金が減る仕組みになってその一つに定期的に歯科でメンテしてるかと言うのがある。
そして次になぜ山本は肌が黒いのかと。歯の白さが目立つからだそうだ。
夏、めっちゃ焦げ散らかすじゃん。
何その動詞の連用形。
いや、まあ、焦げ散らかすは次に動詞が来てる連用形だけど、細かいツッコミだな。
弟も焼けてる。あのおっぱい好きと言った弟か。
それにしても窓が大きいからフードコートでも暑い。と言う事で和田は冷たいの買って来ようと。山本はそれ食べると冷えるからコーヒーも買って来ると言う。この瞬間は気づかなかったけど、次にすぐに分かった。
キャラメルのアイス→歯にしみる
温めて治す→歯にしみる
昨日山本が痴漢に遭った。夜の帰り道で後ろから自転車で来た奴が追い抜きざまに胸を掴んだ。そんな痴漢があるのか。でもここで山本が思った。そんな事をされて「お!」と言うドスの効いた声しか出なかった。よくある女子の「きゃー」じゃなかった。女子としてどうなんだ。
和田は大丈夫だと、山本の胸を見ながら言う。自分なんてこうよ。スケベイベントゼロ。でも小学生の時にスケベ男子が居て、女子のスカートをめくりまくっていた。スカートめくりの滝沢。なのに和田だけは記録に入らないからとめくられなかった。そんくらい、男子なのだ、自分はと言う。
と言って水を汲んで来てくれるのだが、その時にうっかり水のカップを落として
「きゃ!」
ここに「きゃ」が繋がるか。
山本はバイトへ。それじゃと和田は大盛りラーメンを食べてから帰ると言う。でも多すぎた。お腹を抱えて夜道を帰ったら、自販機の缶が転がる音が。ここ、名取市立増田中学校前。不審者出没の看板(※ここに本当にある。自販機は無いけど)。指定避難場所の看板は美田中学校になってるけど、その時に下の看板は増田地区ってなってる。そして誰かが近づく足音。
山本でした。怖くて泣いちゃった和田。男子はどうした。
山本が髪をおろしていた。朝時間が無くて結ぶ時間なかったそうだ。朝、弟が面倒な事を言って喧嘩になったから。なんだよそれ、話せよと言う和田だけど、山本は話したくなかったみたいだ。でも話してくれないとなると和田がこじれる。拒否されると自分を傷つけるメンヘラなんだけど大丈夫?何言ってるんだこいつ。
仕方ないから山本は話した。うちは母子家庭。親が離婚したのは三年前。父親の方は綺麗な女と再婚してよろしくやってる。山本からしたら面白くはない。なのに弟は偶に父親の所へ遊びに行って、お父さんちの子だったらもっと美味しい朝ご飯食べられたろうなとか、無神経な事を言ったのだ。あー、中学生だったっけ?いや11歳って未だ小学生か。
和田、何言い出すかと思ったら、自分の大人の魅力でその弟を惑わせてやると言うのだ。貧乳好きに変えてやる。意気込みは凄いな。
山本が髪をおろしたら今日は普段話して来ない子が声をかけて来たと、聞いた和田。山本に自分以上に仲良い友達が出来たら駄目と言い出した。ああ面倒くさいメンヘラ。今すぐ髪をラフレシアみたいにしろと。でもヘアーアイロン無いと言ったら斉藤なら持ってるから借りろと。何気なく来てる斉藤を無条件で受け入れてるな。
このメンヘラ、とうとうここまで。
仕方ない、ゴムでまとめた。
それを見て、やさしいって泣いちゃう和田なのだが、私から見たら面倒くさすぎて関わり合いになりたくないけど、山本はおもしれー女で許しちゃうんだ。
おや、今日は和田が先に来ている。そう思って声をかけた山本だったが、実は和田じゃない。その子、そんなに自分が和田と言う子に似てるのかと言う。
しかし彼女山田(山本と和田の合併かよ)にとって、和田に間違えられるのは深い嘆息モノだった。それには理由がある。深い理由が。山田には彼氏が居るのだが彼の名前は滝沢。あ、滝沢、出てたぞ今回。その滝沢が山田と付き合ってる理由は昔好きだった和田に似てるからだと言ったのだ。ひでーな、滝沢。そして好きな子のスカートはめくれなかったのか。男子扱いじゃなかったじゃん、和田。
清楚っぽいけど話すとバカっぽくてキレどころが和田に似てると。あ、似てる。確かにジェネリック和田だ。
なぜ今日ここに来たかと言うと、フードコートでその和田というのが停学くらってそうな金髪ギャルと一緒に居るのを見かけたとの事で来たのだそうだ。いや、本人に停学くらってそうな金髪ギャルって言っちゃう所もジェネリック和田。
滝沢がいつまでも自分をジェネリック和田として見るなら別れようかと思う。どう思います?山本さん。こんな事を初対面の相手に言われても困る。普通なら知らんがな、別れたらと言う。なのに山本、ちゃんと答えてやるのだ。別れるを武器みたいに使うんじゃなくて、自分をちゃんと見てくれと滝沢に一度言った方が良いと。
すっかり疲れた山本、甘いモノが食べたいと思ったら和田が山盛りの甘いフレンチトーストを買って来てくれたのだ。

