フードコートで、また明日。・第2話
アイスを買ったのに和田が居ない。どうしたんだろうと眺めてみたらキャッチャーの所に居た。和田が必死にエイベル公爵のプライズを取ろうとして、お金を溶かしている。何度やっても駄目。声をかけたらびっくりして100円を残してゴミ捨てへ。
100円残したからきっと山本が取っちゃうんだろうなと思ったら案の定。
前回エイベル公爵嫌いだとか言ってたのにこのザマは何だと追求されたら課金したのにちっとも来なくて可愛さ余って憎さ百倍の状態だった。でも前回SSレア取れたから改めてエイベル公爵推し。
和田、同じクラスの斉藤と言う子の悪口を言う。あいつはゴリラ顔だ。一生懸命メイクしてもゴリラ顔だ。山本も言ってるけど悪口はよした方が良い。ただ、学校のトイレのトイレットペーパーを持ち出して自分で使ってるのは良くない。
最近腹筋を鍛えてるから押してみと言って和田は腹を出す。山本が押すにことかいてヘソを押すから和田がひどく痛がる。でもやけに痛がるフリするので山本はせっかく奢ってやろうと思ったのになーと言うと、うっそーと起き上がるのだが、その時にテーブルにぶつかってジュースをこぼす。
大変大変と慌てていたら和田と声をかける子ありけり。
これで拭いたらいいよとトイレットペーパーを渡す。これが斉藤か。
顔を出さなかったね。
でも少しだけ見えてる顎の輪郭からするとゴリラ顔じゃないよ。
SSレア引いてからエイベル公爵推しに限度が無くなった和田。今度は夢小説を見てエイベル公爵が自分の恋人になった気分に浸ってる。
しかし、フードコートの方に来て、山本が男と親しげに話してるのを見て気分が激変。いや、エプロンしてるからどう見ても店員では。ともあれ和田は山本が自分とは違ってリアルで男と仲良くしてるのにむくれた。むくれて男性一般の悪口を始めて、自分達には恋愛は未だ早いと言うのだ。
山本は気がついたみたいだ。さっき店長とシフトの話してたんだと。え?と思う和田。またぞろ態度を豹変。
和田が激辛担々うどんを食べてる。が、辛くて食べられない。辛いのに弱いけど何となく注文してしまった。山本に残りを食べてくれと渡すが、山本も辛いのは苦手。
辛いので涙が出て来る。和田の思い出ではほとんど泣いた事がない。最後は中学の時だと言う。友達と喧嘩した時。小学校から仲の良かった子が居たが、体育祭の時に敵味方になって、離れてる時にこっちを見て笑ったのが、ニコリでなく笑いものにした笑いだった。なので終わってからそれを責めたらそこから喧嘩。先生がとりなして両方とも謝っておしまいにしようと言って、和田はごめんしたのにその子は「ゼッテー許さねー」と言ったらしい。
爾来絶交状態。
一方の山本はよく泣く。映画とか、そう言う涙を誘うものに弱いのだ。昨日も泣いた。
そう言えば、あの中学の時だった。和田が人間不信になって誰とも話さなくなった時に山本が話しかけてくれたのだ。その時に感じた。こいつなら自分の事を笑うなんて事はないと。
で、その頃、和田も孤立してたけど山本も孤立してたよね。実はその頃、クラスのイケメンに告られたけど山本は誰お前?と言った。そうしたらクラスの女子からハブられたのだそうだ。ひでーな。
そんな話をしていたら山本が見事にうどんを全部食べた。
残った汁なら行ける!なぜそう思ったか知らないが山本が止めるのも聞かずに和田は飲んで吹き出す。
あー笑ったな!
ごめんごめん。
ゼッテー許さねー
ここに繋がるか。

