クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-・第5話
鴉を片付けてクレバテス一行は新たな旅立ち。アリシアが決死の思いで手に入れた至宝「滝割り」は、そんなものを持ち歩くと目立ってしまうのでクレバテスがしまっておく。ネルルがブロコの部屋に剣を見たと言うのでアリシアはそちらへ突進した。こいつは剣が無いと役に立たない。確かに勇者の立ち位置にないときのアリシアかなりポンコツ。ネルルは身体を再生された結果、以前より全然立派な身体になっていた。
ところがアリシアがブロコに部屋に突進した後でクレバテスを襲って来る奴がいた。目の雰囲気から普通じゃない。
ブロコの部屋に入ったアリシアは剣の前に女性向け防具を発見。なんでブロコの所にこんなものが。まああの身体で自分の身につけていたと言う事はあるまい。しかもアリシアはサイズが合わない訳でもなさそうだ。そしてそれなりの剣も手に入れた。
と思ったら、クレバテスがふっ飛ばされて部屋に飛び込んで来た。相変わらず少年の身体では強敵に簡単にやられる。そして入って来たのがあのやって来た何者か。
ここから男とアリシアの勝負。腐っても勇者のアリシアが苦戦した挙げ句に飛ばされる。やはり普通じゃないなこいつ。勇者アリシア秘剣を繰り出すがここでクレバテスから停止命令。アリシアが男を斬りそうな態勢だったけど一方で蹴られて切り裂かれそうでもあった。
クレバテス曰く、どうも思い違いが起きてる。
男は説明を求めた。先ずネルルからトロールの匂いがする。まああんな目に遭ったからね。この男はトロールを操る小男が居ると聞いてやって来た。しかしトロールは無惨な状態。おまえがトロールを操る小男ではないのかとクレバテスを指した。まあ「小男」って表現は大きな間違いではないが、普通は少年を指して小男とは言わぬ。
これはそう言う事かと少し察知したクレバテスはネルルを砦の出口に離して男と話をつける事にした。こいつは魔獣で、幻術を使っている。これだけ強力な幻術を使えるのは西方の魔獣王ザフティエ。そしてザフティエは月光のクレバテスとは仲が悪い。と、クレバテス(クレン)は他人事の様に言う。不在を知られたくないと言っていたのがあるのか。
これで男は正体を現した。彼はガルト。ザフティエの臣下。そしてザフティエは人族を滅ぼそうとしている。クレバテスは人族の都をひとつ潰した。どうも同じ目的がありそうだと攻撃心は抑えた。
アリシアは驚いた。クレバテスだけでもこれだけの者なのに、他の魔獣王の臣下でもこんなのが居るのか。だとしたら勇者は人族は全く考え違いをしていた。「クレバテスを討ち滅ぼそう」なんてそんな気安い考えを持つのではなかった。
ガルト、相手がクレバテスの臣下のクレンと思って聞く。なぜクレバテスは臣下のおまえに勇者やあの女達を従えさせているのか。一応、クレバテスが人族の状況を調べる為に、手足として都合が良いからと言う事にした。それで納得するのか。普通は見下していて相手にもしないのではなかったか。
今度はクレンから逆質問。何故ザフティエは人族を滅ぼそうとしてるのか。ガルトは魔獣が子をなくして探してるのを見つける。そして近くにあのブロコが使っていた様な薬が落ちている。これまでに何度か魔獣の子が行方不明になっている。魔獣の子を攫っているのは人族ではないか。それを調べろとガルトに命じた。場合によっては人族を滅ぼす。
これでクレバテスには思いつく事があった。あのカルメを問い詰めた時にここの娼婦は子供を産まない様にしてる。何故なら生まれた子供は得体の知れない連中、ブロコですら恐れる連中に買われて行く。なのにネルは馬鹿だから何度も子供を生んだ。死産というのは嘘で生まれた子を手にかけていたのだ。おお、これはネル、可哀想に。でもネルはこの鴉の砦生まれで、死に物狂いなら子供を隠す事も出来たろうに、そう責められるカルメ。
魔獣の子を攫う者、人族の子を買う連中、何か接点があるかもしれない。
アリシアは魔術に関してはよく知らないが、そう言う連中がやりそうな事かもしれない。と言うのは最近魔術を使う者が頭角を現した。戦場において戦いを有利にするのが魔術師。今や魔術を使える者が必要不可欠になっていた。
魔術師を最初に戦場に持ち込んだのが竜殺しの異名を持つボーレート軍のドレル将軍。
うん、日本列島が邪魔してよく見えぬ。
このドレルがアリシアの父の仇だと言うが、あの場面で何故アリシアは見逃されたのか。
ボーレートとエスリンは戦闘状態にあった。エスリンはハイデンと組んでボーレートの侵攻を止めようとしていたが、その防御となるハイゲートでハイデンと強力したい所だったが、ハイデンは王都陥落で混乱したのかハイゲートに入れない。
ドレルにハイデンに侵攻して王都炉を奪われては非常にまずい。至宝を生み出す炉がボーレートの手に入ると困る。それ以上にハイデンの魔道具の炉の秘密を奪われては大変だ。
なのにハイゲートはドレルの方の門が開いた。ドレルが門を開けた男メイナードに首尾を聞く。噂どおりにハイデン王は死亡。王族では唯一幼子だけが少年に抱えられて脱出した模様と。ああ、ルナとクレンか。このメイナードにドレルが命じる。その少年と幼子を確保しろと。

