Turkey!・第3話
戦国時代に来たら姫がボウリングをしていた。
寿桃と言う名で、傑里の姉らしい。希が傑里の嫁なのかと一瞬焦っていたが。寿桃、良いところに気がついた。現代日本の合成繊維と縫製を見たらただの旅芸人ではないと言う事に気づいても不思議ではない。と言うかポリエステルだと絹と勘違いしてもおかしくない。
寿桃は七瀬のメガネにも気がついた。七瀬はこれは顔を面白く見せる道具だと言うのだ。メガネなら昔にもあったのではと思ったけど、この時代は戦国時代だから未だかもしれない。そしてこんなに巨大なレンズ。七瀬、歴史改変には非常に敏感になっている。
寿桃がメガネを面白がって手に取るからそれをどうにかしようと集まったところを妹の庵珠に見られ曲者めと刃物を向けられた。傑里が客人だと言うが、旅芸人と聞いて益々攻撃的な視線を向けて来た。傑里曰く、昔旅芸人に大切な人をとられたからそれ以来旅芸人を憎んでいると言うのだ。誰だ、大切な人って。
利奈は嫌がられてまでここに居たくないと言って出て行こうとするが、まあちょっと落ち着け。現代日本でこんな所に居られるかと言うのとは全く事情が違う。安全は全く担保されていないし食料を得るアテはゼロだ。
この言い争いの時に寿桃がグミを食べてしまった。これと同じ物が庭にあると言うのだ。うーん、きっと何かの樹の実では。
取り敢えず落ち着いて考えてみよう。七瀬は提案する。タイムスリップしてここに来てしまった。どうやって元に戻るか。タイムスリップあるあるだと同じ状況で同じ事をしたら戻れるかもしれない。あの時は麻衣と利奈がボウリングの勝負をしていた。でもそれだけでは足りないだろう。あの時に起きたのは落雷。だから落雷がある時にボウリング対決をしたらまた出来るかもしれない。
でもどこでやるのか。レーンもピンも無い。寿桃がやっていたのは遊び道具だった。じゃあボウリング場作るしかないね。あと、条件と言うのならまたターキーを取らねば。ターキー、ここで拘ってるな。
戸倉家での夕餉の提供。あー、これ、私なら全然食べられないけど希とかだと違うんだな。ヘルシー!とか言って喜んで食べてる。だから給仕してくれた二人もびっくりしていた。ただ、ヘルシーが褒め言葉なのか貶し言葉なのかは分からなかった筈だけど、声色から褒め言葉だと捉えたか。
ここから戸倉家の事情が語られた。普通の客人だと粗末な食事だとか粗末な家だとか粗末な寝具だとか言う。確かに戸倉家はお金が無い。しかしそれは先代が領民から年貢を少ししか取らないでくれたから。半年前に先代が亡くなってそれを継いだ傑里が父親の様になりたいと頑張っている。陣触れがあったら出陣して褒美をみんな分けてくれる。
でも家来が居ないと隣国から攻め込まれないのかと聞かれたが、小麦がそれは寿桃様がと言った所で口を噤んだ。
夜に麻衣やさゆりが圏外と思いつつも連絡取れないか試していた。無理なんだが。まあ一回はやってみたいだろうが、いくらモバイルバッテリーがあると言っても電源を入手できないこの世界だから普段は電源を切っておいた良い。
そこに七瀬達が厠から帰って来た。あ、うん、現代の子には辛かろう、色々。私は昔田舎の家で離れた場所にあるポットンとなる厠を何度も経験したから、あの怖さも分かるが、この時代だと昭和中期のトイレットペーパーが無い時代のチリ紙すら無いのだからさらに辛かろう。まあテイッシュ捨てても生態系には影響無いだろうが。
トイレの試練が終わって、七瀬から改めて歴史の改変に注意。歴史を大きく変えたら自分達が消滅する。
朝早くに麻衣は目が覚めて、そして廊下で音が聞こえて行ってみたら寿桃がまたボウリングしていた。やってみてと言われて麻衣もやった。コツを掴んでるから一発でストライク(大当たり)を出せる。そして寿桃はボウリングって何?と聞いて来て、そして分かってると言う。麻衣達が未来から来たの知ってると言うのだ。
寿桃、小麦が言いかけたのもあるけど、巫女とか何か特別な力がありそう。

