クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-・第4話
アリシアは落下の前に肺の空気を吐き出して酸欠状態で水の中に落下する。アルベンシスに察知されない為に。クレバテスの血があると呼吸ができなくとも死なないと信じて。頭では理解しても身体は反射的に空気を求める。
ここで突き詰めるとよく分からない事になる。そもそもクレバテスの血があれば死なないと言う生物学的な根拠が何も無いので突き詰めると変な事になるが、でもアリシアが言うので言及しておく。身体がうまく動かない。そりゃそうで、哺乳類は有気呼吸をする事でグルコースを分解してATPを作る。この解糖系の最初の段階のエムデンマイヤーホフ経路の時に酸素は要らないがその先のTCAサイクルで酸素を使いここで大量のATPを生成する。それが来ないのだから筋肉はうまく動かない。まあその辺で妥協して理解したら良いと思う。
ただ単に落下しても至宝の場所にはすぐに辿り着けるのか?と思ったが、至宝は勇者に反応したのだろうか暗い水中でキラリと光って場所を示した。あれだとばかりにうまく動かない筋肉を酷使して向かったが、そこはアルベンシスどころか遥かに巨大な古来種の上だった。
これで至宝を回収出来るのかと思ったら、至宝もろとも古来種に飲み込まれた。逆にそのおかげで至宝を手にする事が出来て古来種の中から出る事が出来た。至宝は勇者の力を高めるし、そして勇者の適正で武器を有効に使える。アリシアは父からおまえは腕力こそ他の勇者に敵わなくとも武器を使う力は並外れているとの言葉を思い出し、この至宝を使って水中を高速に移動する事が出来る様になった。とは言っても到底古来種と戦う程ではない。今は逃げるだけ。
酸欠状態から脱出する為にアリシアは一目散に地上へ。地上に出たら酸素呼吸で身体が動く。それでも古来種からは逃げるだけ。鴉の連中なんぞ助ける余裕はないし、義理もない。
ここでやっとクレバテスからの通信。かなり苦戦した様だな。察知してたのなら手伝えよと言うアリシアに、クレバテスはこっちはこっちで手こずったと言うのだ。クレバテスが手こずるのは勿論弱い人間の身体になったのもあるが、魔術と言う知らない物に惑わされたから。おまえは魔術を自分に教えなかったな、叱り飛ばすからすぐに来い。
クレバテスがベティに苦戦してる隙にブロコは魔術の粉を振りまきながら逃げていた。逃げた先にルナとネルを発見。何を見てこれはと思ったのかブロコは喜んだ。
クレバテスに命令されて否応なく急行したアリシア。至宝を見られてこれだけは絶対に手放さないぞと抱える。
クレバテスはあの煙が何か、魔術とは何かとアリシアに問う。魔術は人間の中でも適正のある者だけが魔鉱石で使える様になる。アリシアにはその適正は無い。
アリシアが使えないとなると手当たり次第にルナを探すしかない。だが生きてるかどうか。ここでアリシアは不安になった。もしルナが死んでいたらクレバテスはどうするのか。クレバテスはその時点で人間に興味が無くなる。つまり消し去ってしまうだろう。
地面を見たら血の跡がある。これは何かに引きずられたのか。まさかブロコがネルをわざわざ?と思ったら瀕死の状態でネルはルナを助けようとブロコにしがみついていたのだ。ブロコはルナに魔術の適正を見てこれはハイデン王族の子か、ならば使える価値がと連れ出そうとしたのだ。それを止めようとしたネル。
ここでアリシアとクレバテスが追いついた。ルナを人質にしたブロコとアリシアが取引をしようとしたが、アリシアが至宝と交換だと言った時点でルナの価値がはっきりした。そして至宝一つごときより聞き出したこれ以外の至宝の場所へと、別の魔術で姿を消して逃亡....
まあ見えなくなったんだけど、それだけ。ブロコ、自分の魔術におぼれて音迄は消せていないと気づいてなかった。なのでアリシアによって一刀両断。
ルナを助けられたのはネルのおかげで、アリシアはクレバテスにネルを助けられないのかと聞いたが、魔血を操れるのは一体だけ。ネルを助ける間、おまえは死ぬぞと言う。それを聞いたアリシア、自分は勇者だ、人を助けるのが使命だ、喜んで捧げようと言う。
これでネルは生き返る。身体も修復されて。歯も治ったから普通に喋られる。そして一度死んで腐敗しそうになったアリシアも生き返った。これでルナの乳母が出来た。ネルからネルルに生まれ変わって乳母に。

