勘違いの工房主~英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話~・第9話
とうとう工房主がやって来た。リーゼロッテ、どこから連れて来たのかと思ったら、クルトやシーナが居なくなったところで正体を暴いた。あのクルトがくれた剣で幻影を作ったのだ。リーゼロッテが抱くクルトの大人バージョン。
さて、ミミコに頼んであったアクリの正体の分析。その結果は人間だが微かに空間魔法の成分が検出された。過去に失われた空間魔法の痕跡。これで何だか分からないと言う結果。こんな怖い子がここに居るのが恐ろしい。だからここはミミコが引き取って管理する必要があると言うが、クルトが猛反対。アクリはそんな子じゃない。これにはユーリシアもリーゼロッテも賛成した。理由まで言われたら仕方ない、ミミコは現状で納得した。
それじゃ捕まえたと言うドラゴンハンターはどこに?地下に捕らえている。クルトはドラゴンハンターも酷い事をしないでと言うけど、流石にそれは出来ない。だってあの人は魔物。
ミミコの質問に頑なに答えない魔物。自分はクルトに負けた。敗者は勝者の言う事を聞く。と言う事でクルトと話す事になったが、魔物はヒルデガルドの名前を出した。嘗てクルトが子供の頃に遊んだ子。
クルトが知ってると言うので、その子はグリフォンの紋章を身に着けていたかと聞くと、このクルトも完全記憶能力を持っていて、確かに持っていたと言う。それを聞いて自分はタイコーン辺境伯に捕らわれているヒルデガルドを助けに来たと言うのだ。
この魔族はその為に探っていたところ、クルトの近くに居るアクリに目をつけた。何故ならアクリは転移魔法を使える。タイコーン辺境伯の屋敷内に捕らわれていて手が出せないヒルデガルドだが、その転移魔法を使えば助けに行ける。ミミコもアクリには空間魔法の痕跡があるって言ってたね。
嘘を言ってない証拠として、胸に埋もれているペンダントを見せる。
それは確かにヒルデガルドが持っていた物。流石、完全記憶能力のクルトにはそれが分かる。そしてクルトが持っていた短剣はヒルデガルドから貰った物。それを見て炎の魔法を消した。
ミミコもここに来て納得した。ただ、お前はここにいろ。自決も許さない。そうでないとヒルデガルドを救出しないと。それをクルトから伝えさせたら魔物は初めてクルトに自分の名前を明かした。ソルフレア。それを聞いたクルト、絶対ヒルデガルドは助けると誓った。
とは言ってもどうしたら良いのか案を持っていない。そこはミミコが考える。既にタイコーン辺境伯の屋敷の見取り図は作ってある。kitchenの裏側に一つしかない入口の隠し部屋がある。多分そこ。タイコーン辺境伯が時折食事を持ってそこに入って行く。だが、精巧な鍵がかかっていて開けられない。ソルフレアも開けられなかったし、ミミコのファントムが試したが無理であれは鍵職人がやっても時間がかかる代物だ。
と言う事でリーゼロッテの案。賊の幻影を作って扉をすり抜けて部屋の中へ入る。それを見たタイコーン辺境伯が慌てて自分で鍵を開けて入る筈だ。
工房主の挨拶と言う形で領主町へ行こう。丁度祭も開催される。クルトには祭で色々な物を見て貰って今後の工房のアイディアを掴んで貰おう。つまり祭にクルトと誰かが行ける。当然リーゼロッテとユーリシアが火花を散らした。
ジャンケンの結果、祭の一日目はリーゼロッテがクルトを案内する事になった。
祭の出店を見ながら実地調査。トゲナシサボテンの甘い汁をアクリとリーゼロッテに渡したが、アクリがクルトに飲んでみてと渡して飲んでみる。これを見たリーゼロッテ、この機会とばかりに自分のもクルトに飲んで貰い、これは間接キスと思い切り飲み干した。トゲナシサボテン迄記念に保存して。
でもこれまでクルトは祭に来た事が無かった。あのパーティに居たから。だから今回はアクリに楽しんで貰いたいと言うので、それを聞いたリーゼロッテは邪な計画は置いておいて今日は目一杯楽しんで貰おうとあちらこちらへ。赤豆を分銅と丁度釣り合う重さを掴んだら赤豆10kgプレゼントと言う店では見事に釣り合わせて大量の赤豆も手に入れた。
そして夕方。リーゼロッテの本来の目的が動き出す。
この夕暮れ時のここで雰囲気が盛り上がったところでクルトに告白するのだ。サブタイ来たな。
しかし場所が悪かった。城のほとりの公園に来てしまったからクルトは城を見て囚われのヒルデガルドを気にしていた。救出作戦だってミミコに任せて自分は何も出来ない人間なのだと。リーゼロッテはそんな事はないと言っても、そんな言葉ではクルトに響かない。だからここで言うのだ。自分はクルトを慕っている。告白でなく、慕ってるのは自分だけではなくて工房のみんながそうなのだと。ああ、告白、変わっちゃった。でもそれで良かった。