完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる・第5話
家庭教師をして下さい、って何かと思ったらボルメルン王国の聖女グレイス・マーティラスへの家庭教師で、この子がまたフィリアの大ファンなのだった。
グレイスに古代術式の破邪魔法陣を教える事になる。破邪魔法陣は知識と知覚があれば誰でも使える。そしてマーティラス家では古代語の教育がされているとの事なので、グレイスはあとは知覚を養えれば古代術式も使えるだろう。
マナを知覚出来る様になりましょう。マナ、よくあるよくある。
まあそうは言ってもそう言う漠然としたモノはなかなか知覚出来るものではない。
このグレイス、ここまでフィリアに心酔してるのには理由があった。ジルトニアに居た頃にフィクサーから聖女に関する本を出しましょうと唆されて断ったけど根負けして書いて出した事があったが、あの両親とユリウス王子からまたもこんな余計な事をしてと言われ、あまつさえジルトニア王国ではその本は焚書されてしまったのだ。これは酷い。
でも他国では流通して、グレイスのボルメルン王国でもそれが読めて、その頃のグレイスは聖女の家系の四女として特に才能も無く取り残された気持ちになっていたのを、その聖女論を読んだおかげで心の支えになったと言うのだ。これはファンになるのも分かる。
グレイスから教え方がうまいと言われたフィリアだが、それは自分が教わったとおりにしてるだけだと言うのだ。フィリアを教育したのは叔母のヒルデガルト・アデナウアー。それはそれはとても厳しい方でした(遠い目)。
それだけ厳しいのは何か理由があったのではとグレイスに言われて、そう言えばと思い出すフィリア。あの時叔母は、フィリアの両親とは反りが合わないところで、フィリアが叔母に似ているからこの先疎まれるだろう。でもそれを全部跳ね返す程の修行をおさめなさいとの事だった。
リーナに勧められて読んでいた恋愛小説だが、フィリアには登場人物の行動原理が分からない。ダメと分かって何故駆け落ちしたのか。非常に非論理的です(スポックだな)。
翌日、グレイスの望みでエリザベス(先代のパルナコルタの聖女)の墓参りへ。パルナコルタの亡くなった先代聖女はグレイスの従姉妹だったのだ。パルナコルタ王国は先代も他国から聖女を迎え入れていたんだな。魔物との戦いの為に一国に一人は聖女が必要と言う情勢なんだけど。そしてエリザベスはライハルト第一王子の婚約者だった。
ライハルト、エリザベスを喪って大変な嘆きだった様だ。オスヴァルトから見てエリザベスを救えなかった自分を責めて公務に没頭してるのが痛々しい程に。
そのオスヴァルト、兄のライハルトと王位継承を争いたくなくて、菜園とかの道楽王子になっていると言う。まあ争いたくないから周囲からそう見える様にしてるのだろうけど、こう言う科学レベルだといつ死ぬか分からないから王族は基本的に王位継承が出来る様にしておかないといけないんだけど。
パルナコルタに来て、オスヴァルトやリーナやグレイス達に感謝され受け入れられてこれまでとすっかり環境が変わったフィリアだが。ここに来てとんでもない事が起きた。
ジルトニアがぬけぬけと聖女を返せと言って来たのだ。
え?どの面下げて?