サラリーマンが異世界に行ったら四天王になった話・第5話
ウルマンダー、ウチムラにデートに誘われました。二人で街に行こうと。
デートに誘われたからには勝負服と、魔人としての勝負服は肉体を見せる事にこそあると言う服を選ぼうとしてオルルに止められて人間のデートに相応しい服を用意して貰った。
ところがデートではない。市場調査。
魔王軍に何が不足してるのか。何が必要なのか。
立ち寄った店ではウチムラの名前が既に知られていた。流石商人。情報が早い。ウルマンダーと一緒に来てるとあってはこちらは如何でしょうと純金製の食器を見せてくれる。そして勧められたのはペアグラス、夫婦グラス。ウチムラは速攻で売ってくれと言うので喜ぶウルマンダー。でもウチムラはその代わりに情報が欲しいと言うのだ。ここ、ウルマンダーがメインになったので何を聞いたか分からないけど。
休んで市場調査の整理。魔王軍は近隣の部族を併合したがその結果人口が増えて主食となるギムの値段が高騰してる。それはウルマンダーも感じて商人にもっと安く売れと責めたものの、商人もこれがギリギリだと言うのだ。となると卸しで値段が上がっている。
でも卸しが不当に釣り上げてるかどうかは現時点では分からない。
この話をしてる所にゲーノームがやって来た。これから調査も終わって愈々デートだと思っていた所で水をさされたウルマンダーが怒る。
でもそこにさらにゲーノームを頼って来るネズミみたいな獣人が居た。先を見ても分からなかったけど、どうしてゲーノームを頼ったんだろう。てっきり普段から市民の面倒を見てやってるのかと思ったのだが。
ネズミ獣人が言うには、二人の店は長年チモズと言うモチみたいな食べ物を扱っていた。ただ、年々売上が落ちて来ている。そんな長年の傾向だけなら今切羽詰まって助けてと言う事にはならなそう。
何があったかと言うとブタガリアンと言う商人がやって来て、最近のギム高騰の中で腹持ちの良いチモズなら売れると大量発注したのだ。
ところが納品の日にチモズは賞味期限が一日しかないのは知らなかったから取引をやめると一方的に言ってきた。これ、現代社会だとあちらに瑕疵があるのでお金払わないとだめだけどね。この世界では未だそう言う事になってないのだろう。ともあれこれで大量のチモズを抱えてしまって、しかも賞味期限が一日しかないので途方に暮れていた。
そこでゲーノームはウチムラを頼った。ウチムラ、ゴールを明確化した。300人分のチモズを今日中に売らねばならない。
チモズはモチ同様にそれだけでは味にインパクトが無い。だからモチの様に焼いて味をつけたりしたら良いだろう。そしてこのチモズの購入層はどうなっているのか。伝統的な食べ物で高齢者にしか売れていない。若者には名前すら知らない者も多い。
そこでウチムラは味付けの工夫を、ウルマンダーには協力してくれる店へ依頼を頼んだ。ウチムラは鐘と太鼓を叩いて宣伝に出た。ゲーノームが言っていた今日はルーヤデー。大切な人に贈り物をする日。祭も行われている。祭を盛り上げるのがウルマンダー。
とは言ってもルーヤデーはあまり知られていない。なのでウチムラは紙芝居でルーヤデーの内容を語った。この中でしっかりチモズも宣伝。面白い話の中で登場した品物は買ってみたくなる。そこに改良された七色チモズを披露。
若者にはチモズに馴染みが無かったのでこの七色チモズは新鮮だった。新しい購買層が開拓されてどんどん売れた。こうして無事チモズは完売。
やっと良い雰囲気になれるかと思ったウルマンダーだけどウチムラは相変わらず仕事の事しか考えてなかった。
さて、今回の市場調査で得られたのはウルマンダーでカットされたけど、金を産出する国ランページ王国の話。豊かな国との交易は国を富ますのに必要。ただ、取引の商材を何にするか。魔王様、商材ならあると言う。それはあのローズマリン。あれを売っても模倣品をそう簡単に作れるものではない、技術はこちらにあると言うのだ。それを生んだ人材はこちらだけにある。