天久鷹央の推理カルテ・第6話
蘆屋炎蔵の呪いなのか室田教授までもが炎上してしまった、と言うのが前回迄。
多分通った事がある田無警察署の建物。そこで雄太は成瀬の徴収を受けていた。でも確か前回室田教授に関しては否認してると言っていた。小鳥遊を襲撃したのはほぼ現行犯逮捕だったけど。
小鳥遊に桜井から電話があって最初は桜井ぃとか言っていた鷹央がいきなり電話かせと言って桜井に質問した。室田教授の司法解剖は未だ結論が出ていない。そしてさらに追加の質問で室田教授の妻と娘の春香の通院歴は分かってるかと聞いたらそっちは警察は掴んでいた。場面ではそれが聞こえないけど。
もう一つ情報が欲しい鷹央。室田教授の血液があれば。でも焼死しちゃった。なんだが、鴻ノ池が担ぎ込まれた時にしっかり血液を取っていた。カルテに検査結果が出ていないのは死亡してしまったから来てなかったのだろう。すぐに血液検査室からデータを貰ったらナンダコレの値だった。どこがどうか指摘が無いと分からないけど。
これはすぐに現地に行かなくては。小鳥遊、車を出せ!いや、つい先日爆破炎上されちゃったし。そんなすぐに次の車が来る訳が無い。これは鴻ノ池さんの出番ですねと思ったのに、何故か鴻ノ池はバイクのキーを小鳥遊に貸すのだ。そりゃ普通免許持ってたら運転は可能だけど普段乗ってないと乗れないよ。ましてや二人乗り。
行った先は室田家の蔵。そして描かれているのがポリタンク。いや、これって物騒な前触れじゃない。かと言って誰がそんなものを持ち込んだのか。雄太は警察で取り調べを受けてるし。
ここで描かれたのが室田教授の助手の加賀谷。まあ残された登場人物と言うと彼になる訳だけど。動機は?
ここで事件の整理。そう、整理しないとこれ以降の鷹央の解説が追いきれない。
第一の事件:Cryptococusが原因の呼吸器や髄膜炎
第二の事件:倉本の炎上事件
第三の事件:碇教授の葬儀での爆破炎上事件
第四の事件:室田教授の炎上事件
第五の事件:小鳥遊の車の爆破炎上事件(おまけ)
第一のCryptococcusは誰が犯人と言う訳でもない。
第五は雄太が小鳥遊に私怨があって炎蔵の呪いを利用しただけ。
となると、一連の死亡事件と直接関係していない。
第二と第三は前回から言われている様に原因も真犯人も分かっていない。しかしあの血液検査結果から鷹央は黄燐が原因と推定した。では黄燐はどこから出てきて、どうして人体発火に繋がったのか。
黄燐は嘗てマッチに使われていたが発火温度が低いので赤燐に取って代わられた。これはチラと何かで見た様な記憶が。そしてこの蔵には黄燐のマッチがある。あの金庫の中。ああ、金庫から室田教授が巻物を取り出していたが、それが事件の調査と何の関係があるんだと前回書いたけど、そのタイミングで鷹央は金庫の中を見たのだ。黄燐マッチを。
倉本は室田教授から貰ったマッチでタバコを吸っていた。それが黄燐マッチだった。あの電気ストーブが強調して描かれたのは胸ポケットに入れていた黄燐マッチが自然発火させた原因。それで倉本の身体だけが燃えた。焼け跡からマッチの痕跡が出ても警察は疑わないだろう。まさか一世紀も前に販売されなくなった黄燐マッチなど考えもすまい。
室田教授の炎上は、黄燐中毒による悪寒の訴えで救急車で電気毛布が巻かれた。救急隊員もまさか黄燐マッチが胸ポケットにあるとは思わなかったろう。でもその加熱で炎上。
倉本も室田教授も炎上したのは誰かの故意ではなくて悪い条件が重なった為。
そこまで話したら桜井と成瀬がある人物と一緒に来た。残りの人物ったら一人しかいない。
でも黄燐中毒は違う。違うが、加賀谷は全部自分がやったと言う。ただ、何故蔵を燃やすのか。それは証拠を消すため。蔵まるごと燃やすのはあの金庫を加賀谷では開けられないから。開けられたら中の黄燐マッチだけ捨てれば良い。
鷹央が言うには加賀谷が手を下したのは碇教授の棺の爆破炎上だけ。あれで時限発火装置を残し、真犯人への疑いを逸らす為。出たな真犯人を守ると言う話。碇教授棺爆破炎上事件でその場に居なかった者にアリバイを作る。
では碇教授の葬儀に居なかった者、室田教授の常用のマッチの中身を黄燐マッチにすり替えられる者、室田教授の食事に黄燐を仕込める者。室田教授以外に金庫が開けられる者(ご丁寧にこの金庫の番号は室田家相伝って言ってたから)、このAND条件を満たすのは室田春香だけだ。
その動機は?
確かにここまでの描かれ方はおかしかった。登場してると言うのはチラとは描かれるが、本当にチラだけであまり前に出て来ない。登場させる意味あるの?と言う感じで。
鷹央が動機として挙げるのは、春香の通院歴。桜井から聞いていたよね。春香と室田教授の妻は打撲や骨折で「複数の」総合病院を受診していた。この直後に鷹央が言うけど普通は総合病院をいくつも受診しない。いつも病気になってる私にはすぐ分かる。
総合病院を掛け持ちするのは、DVを疑われるから。
その辺はここまで一度も描かれなかったけど、どうも室田教授の妻も春香も教授からDVを受けていたらしい。
春香は母が死んだのは教授に殺されたとの考えで戻って来た。ただ、復讐するにしてもそう簡単には出来ない。そこで思いついたのが黄燐マッチ。教授常用のマッチの中身を黄燐マッチとすり替える。
ただ、そうそう事故は起きない。そうこうするうちにCryptococusの感染事故が起き、何故か碇教授の棺は爆破炎上され、春香は何が起きてるか分からないままに強硬手段に出る。黄燐を直接食事に混ぜると言う。
プレヤーが各々別々の意志で各々の行為をし、それらが積み重なったせいでワケワカラン状態になっていた。真犯人が一人ではない上に個別の意志でやっていたから。
覚悟した春香が蔵の中に入って行く。うん、これはヤバイね。どう見てもガソリンに火を点ける流れ。案の定、ガソリンに引火。中には小鳥遊と春香が取り残される。中で小鳥遊が説得するのだが、京都アニメーション事件を知ってるとガソリンに引火してそんな悠長な事やってられるのか。
どーすんのよと思ったら、崩れた入口を鴻ノ池のバイクで鷹央が突入して来て血路を開く。開くのは良いのですがまた説得か。ここまで小鳥遊も鷹央も有無を言わさず春香を気絶させて運び出すのかと思っていた。ただ、物語的にはこのあとの鷹央のセリフが重要だった。鷹央は春香の気持ちなど分かるかと言って続けた言葉は、お前の母親はどうして家を出させたか理解してるのかと言う。おまえを助けたい生きて欲しいと思ったからだろう。それをここで死んで良いのかと。これでやっと説得出来たよ。
さて、一つだけ問題が解決していません。
鴻ノ池のバイクも炎上してしまいました。いや、これどう見ても小鳥遊が弁償する物じゃないだろ。