花は咲く、修羅の如く・第3話
吉祥寺先生「演技【だけ】やりたいなら君らの場所はここちゃうよ」
意味深な事を言ったな、放送部副顧問。
家に帰ってから母と学校の話をした時、母からうまくやれそう?と聞かれた花奈、やれるといいんだけどと自信無い。
さて、翌日本格的に吉祥寺先生からの指導。瑞希はやる気のないヤツだけど実力は確かだと言う。前の学校で放送部をNコンに連れて行ってるし、何より本人が出た時は優勝してる。え?凄いじゃん。
早速基礎の勉強。文章には正しい読みと言うのがある。Nコンの要項を見たらちゃんと審査基準が書かれている。具体的な例を出して見よう。
「私は学校に行った。だが、その日は休校だった。」
これを品詞分解して、アクセントを考える。日本語アクセント辞典を参考にしろ。で、プロミネンスだ。っていつプロミネンスの話した?ともかくどこを立てるか。
と言う事を吉祥寺先生が例を示した。
おお、納得だな。
次に他者紹介の時の動画を見ての講評。
冬賀:論外。読みにやる気が感じられない。まあ効果音したいって言ってたし。
夏江:アナウンス向きの声はしてる。自分の読みに酔ってるのが伝わってイラっと来る。
秋山:単調で眠くなる。君は頭が良いからアナウンサー部門が良いのでは。
春山:声質が素晴らしい。ただ今の読みは声質でゴリ押ししてるだけ。これでは大会で勝てない。技術が無いと。
今回も来ました。「勝てない」。花奈の講評は「技術が無い」のが問題だと言われたのでそこれは技術を磨いたら勝てる様になれると言う意味でもある。しかし花奈は誰かに勝つ為に朗読してるのではないのだ。
聞いてみた花奈に吉祥寺先生はそれが本心ならそれで良い。本心ならね。
じゃあ吉祥寺先生から見て「良い読み」とは何かと問われて吉祥寺先生が取り出したのは昨年のNコン優勝者西園寺修羅の朗読ビデオ。朗読内容は「こころ」。花奈が子役の修羅を見て自分も朗読したいと思ったあの修羅だ。
しかし夏江は修羅の事を評価していない。と言うのも、Nコンで名前を売っておいてそして商業で朗読で儲けてる。みんな嫌儲だな。
ただ吉祥寺先生曰く、君たちがどう思うかは別にして読みは凄いのだからまあ聞いてみたまえ。
と言う事で日笠さん(修羅)の「こころ」読みが始まった。引き込まれた花奈。
Nコンに出ると言うのはこう言う子達と戦うと言う事だ。夏江はやる気を見せるが、やる気は良いが先ずは全国大会で上位10名にならないとNコンには出られないよと。
この煽りに瑞希が今年こそすももが丘は全国に行ってやると言うのだ。
整井曰く、簡単に挑発に乗るんだから。
全国に向けて戦うとは。花奈はどう言う物か分からなかった。その花奈に瑞希は今日うちに泊まりに来いと言う。
と言う事で行ってみた瑞希の家だけど、小さいアパートなのでは?と思ったら今は訳あって一人暮らしだと言う。訳が気になるな。行く途中の歩きながら瑞希が花奈に名字で呼ぶんだなと言う。いや、私は学校生活通して名字呼び以外した事ないぞ。そんな人間普通に居るだろう。
机に乗っていたのが今年の課題図書。
夏目漱石の「夢十夜」
小川洋子の「とにかく散歩しいたしましょう」
カフカの「変身」
武田綾乃の「青い春を数えて」
池田利夫訳注の「更級日記」
日本の現代文芸二冊、知らんがな。
「とにかく散歩いたしましょう」平成24年発行の随筆だそうだ。
「青い春を数えて」平成30年発行。あ、これこの花修羅の作者のか。
瑞希としては好きな夢十夜を読みたいところだが、吉祥寺先生は向き不向きがあると言うのだ。その吉祥寺先生の昨年の指導風景を見てみるかと再生して見せてくれた。
瑞希の読みに対しての吉祥寺先生の講評「えらい立派な耳しとるな」。京都っぽい。
で吉祥寺先生が冒頭を言ってみせると、ああこれアナウンスでよく聞く抑揚だ。ちゃんと考えられてるんだ。ぼーっと聞いていたけど。
瑞希は最初は読みはどうでもいい、整井と箱山に協力してやるか程度だったと言う。え?箱山君、自分で放送部に入ったの?しかも瑞希の前に。放送機器弄りたかったのかな。
そして改めて花奈の悩み。放送部は楽しくやれればそれで良いと思っていたのに、みんな勝つとか負けるとか言ってる。みんなと同じになれない。
瑞希はと言うと、瑞希も最初はどうしても勝ちたいとか思っていなかったが、吉祥寺先生の夢十夜を聞いた瞬間に変わる。こんな事が出来るのか?この吉祥寺先生に勝ちたい。もともと瑞希は負けん気が強そうだからあっさりそれに嵌まったのだろう。
花奈にも勝ちたいと言う気持ちが潜んでいたんだな。修羅のビデオを見た時に目の色が変わったのを瑞希は見た。勝ちたい気持ちが無いなんて嘘だろう。花奈が勝負を忌避していたのは自分には朗読しかないと思っていたから。それしかない自分の物でそれを砕かれたらもう自分が存立出来ない。そこか。
何も無いなんて言うなよ、花奈の才能を認めて放送部に勧誘したのにと言う瑞希。
これで花奈の勝ち負けの忌避が解けただろうか。