夏目友人帳 漆・第12話・最終回
取り敢えず「さよなら夏目」がこの単話の中の事なのでホッとした。
綺麗な夕日の帰り道、夏目は何かにこんな景色は見慣れてるんだろうと思ってたのに、西村と来たらすれ違った女子高生の話に盛り上がっていた。
夕日を見せていたのは折り紙の人形。ニャンコ先生曰く希少な妖だそうだ。発端は数日前。友人帳から名前を返して貰えると聞いてやって来た妖が居た。普段は旅から旅へ。行く宛も無いその妖は、だが旅を共にする相手が居るから寂しくはないと言う。そう言ってその妖は旅立った。
その晩、夏目は夢を見た。草むらで何かが泣いている夢を。あれはうちの庭だろう。それで夏目は庭を探してみると果たせるかな折り紙の人形が居る。これがそうだったのか。
夏目が話しかけてもこの妖は言葉を返さない。いや、実は聞こえてなかったのだ。
その時、凧が飛んで来る。折り紙人形が落ちてなかったか?それが自分の旅仲間。夏目が拾ったよと言うとそれは良かったと言うが、今動けないので凧で伝言をしたと言う。あれは気難しくて普段は人形の中に籠もっている。そしてあれは珍しい妖力を持つ希少な妖。小者が面白がって奪いに来るかもしれない(これ固定観念を持たせる言い方だった)。頼みましたぞー!
夏目はあの妖には大切な仲間なのだろうと大事に置いてやる。するとその日、綺麗な夜空の夢を見た。ニャンコ先生も同じ夢を見たらしい。
多分あの折り紙人形が見せたのではと思うが、捨ててしまえと言うニャンコ先生も見る事が出来たのか。ただ、この時点ではニャンコ先生も折り紙人形の中には何も感じる物が無くてただの紙切れではないのかと言う。
次の夜は満開の桜の夢だったり、渓谷の夢だったり、紅葉の夢だったり。
ここまで来たら流石に偶然ではあるまい。よし、とニャンコ先生は語りかける事にした。しかし夏目には折り紙人形の反応が分からない。一方でニャンコ先生は理解出来たらしい。
あの夢は折り紙人形が旅で見た美しい景色を預かってくれているお礼として見せてくれている。名前は気安く教えるなと言われているので名乗らないが、じゃあと夏目は「オリガミ」と呼ぶ事にした。
シリーズ中に夏目が作った庭に花の蕾がついてるのが見える。花が咲くのを楽しみにした夏目。花を。
オリガミがお礼に以前見た綺麗な景色を見せてくれるのなら、じゃあ夏目としてはオリガミにここの色々な景色を見て貰おうとオリガミを連れて街中を歩く。どれだけ生きてきたか分からないがオリガミにとって人の生活の営みの景色は珍しいらしい。郵便ポストも知らないし、花屋を知らない。花を買う理由は何だ?花は死者に手向ける物ではないのか?夏目は好意や感謝を伝えるのに贈る事もあると教えてやる。
しかし或日夕焼けの道を歩いていたら後ろから何かが迫った気配。噂の小者が奪いに来たのか?そしてもう一つ気になる事があった。オリガミの周りがちょっと汚れている時があるのだ。この時点では何者かが迫ってるのかな、部屋の中に迄来られてるのか?と少し心配に。
夏目が学校の階段で一人になった時にも何者かが出現した。これは夏目でも驚く。
そんな事もあったが、オリガミによると翌日には迎えが来るだろうと言う事だ。今晩ちゃんと守れたら大丈夫か。でも中級達が夏目が狙われていると聞きつけてやって来た。ニャンコ先生が変な物が居ないか聞き回ったせいだ。
そしてその夜、綺麗な夕日の風景の夢を見る。これは夏目が見せた夕日の風景では。そしてそこに立つ黒い妖。学校の階段で見たやつか。でもこれは襲って来るヤツではない。これがオリガミなのか。ちゃんと分かったら夏目はちゃんと話せる。
「さよなら夏目、綺麗な夕日をありがとう」
そう言われて起きてみたら部屋の中に花の絵。オリガミは花を贈る話を聞いて花を描いたのだ。オリガミの周りが汚れていたのはその練習をした跡。それは良いのだがこれどうするんだ、塔子さんに何て言うのかと思ったら妖の墨で描いた絵は塔子には見えないし直に消えるらしい。しばし感謝の絵を噛みしめる。
七期も安定の夏目友人帳だった。
最後に「またいつか」とあったので、無理のないスケジュールでまたいつか。
でも六期から七期が7年で、この間隔で八期が来られたら私はもう古稀を越えてますがな。