パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき・第10話
これまで裏で何かを企んでいたらしいギルド支部長のミストはラルマの師匠だった。でもラルマの印象があまり良さそうでもない。何しろいきなり攻撃をかけるのだから。
話が長くなると言って椅子とテーブルを出すミスト。でもそんなに長い話でもなかったな。今回回想だけで半分以上使うかと思ったのに。
ここまで来たらもう予想されていた迷宮暴走はミスト達には予想されていた事だった。予想はしていた、だが、それが起きるのがいつなのかまでは確たる時期は予想出来ない。まるで南海トラフ地震だ。
この世界ではそれじゃあどうするかと言うと、マータットに素行の悪い冒険者を集めてその時に備えていた。どうせ素行の悪い連中なら良いだろうと。一方でまともそうな人間には立ち去れと言う方針だった。いや、じゃあ町の善良な人々はどうなるの。と言うか、素行が悪いからと言って犠牲にして良い話でもあるまい。
迷宮暴走はどれだけ続くかは分からないとは言っても永久に続く訳でもない。迷宮の魔力が尽きたらそれは止まる。王都の連中としてはマータットが犠牲になればそれで良しと言う方針だったのだ。
それを命じられたミストだが、かと言ってただ単にマータットを見殺しにするつもりではなかった。犠牲を減らして使命を遂げる。その為に冒険者も集めたし、そしてあの白い塔の建設をしていた。あれが魔物の侵入に対する防御となる。
そこでミストがラルマに依頼する。ラルマの魔力は膨大だからあの塔を発動させる力がある。ラルマからしたらその代わりにミストは何をするのかと言うと、迷宮の最下層迄行ってボスを倒すと言うのだ。それを倒したら迷宮暴走は止まる。これ、つい最近のぼっち異世界攻略でも同じ事を行ってたな。
ラルマはその条件を飲んだ。そしてあの塔の発動の鍵となる中心の建物の中へ。ただ、ラルマは分かっていた。自分がその中に入ると言う事は自分の魔力を吸い付くされると言う事だと。だから別れ際にラウストに対していつものバカ弟子とは言わない。ラウストと言って別れを告げる。ここでやっとラウストはその意味に気がついた。
こうなった以上は各々がその使命を果たすしかない。ロナウド達の所へ戻ってそれを話すとラウスト一人の責任ではないと言われるが、いやあどうなんでしょう、ロナウドが言うのは分からないでもないが、アーミアは事情を全然知らないのだから自分も責任があるとは言えないのでは。ともあれ、ラルマが発動した壁の中の魔物を全員で倒さねば。
壁が発動した時にラウストがマータットにも壁はあったのだと言うが、この言い草だとマータットは壁の無い町だと言う話が以前出ていたんだっけ。忘れちゃったけど。
壁のおかげで外からこれ以上の魔物の侵入は無い。それであらかた町に入っていた魔物は倒せたが、大物がそれで収まらなかった。グリフォンが突破しようとして何度もぶつかって来る。そのたびにダメージを修復する魔力がラルマから搾り取られる。これは放置出来ないとラウスト達は壁の外に出て魔物と戦う事にした。
ところがグリフォンどころか、そこにフェンリルまでも出現。グリフォンの方はロナウドに任せてフェンリルにはラウスト達で相手する事になった。ロナウドみたいな強さがないので各々が戦う事になるが、もうちょっと連携を工夫して戦えないものか。そのうちに各個撃破されとうとうラウストがやられてしまった。これを見てナルセーナが逆上。フェンリル相手に大善戦。それでも一人でフェンリルを倒す程の力は無い。フェンリルにやられてしまうが、これが実はやっと出来た連携プレー。フェンリルがそちらに気を取られていた間にラウストが回復して一撃を加える。これでフェンリルを倒す。同じ頃にロナウドが平然とグリフォンを倒して来た。こいつはやはり強いな。
一区切りつけて疲労回復の為に一度町の中に戻ったが、そこにハンザムが出現。ナルセーナが無事で良かったと言ってナルセーナを拘束して扉の向こうに消えてしまう。
まあやはり青い目の生贄の少女は必要だった訳だが、だったら何故最初に拘束しなかったのか。フェンリルとの戦いで死んでしまったらどうするつもりだったのか。