株式会社マジルミエ・第7話
桜木を助けようとした葵が負傷。怪異と戦っている魔法少女の一人がやられた事で野次馬達に激しい動揺が広がる。
事態に困惑した桜木に葵が声をかけた。これ位は大丈夫。それよりも我々魔法少女はいつも笑顔で怪異に立ち向かう姿を見せるのが大事なのだと。
そこに協力会社のASTからの援護が来た。あの土刃メイだった。出勤途上で桜木と越谷が対応しようとしていた怪異を片付けて越谷から文句を言われたが、ASTでは高評価の魔法少女。
土刃は早速攻撃の準備を始めた。ASTで開発中で未発表の魔法を使うと基盤みたいなステッキを取り出した。これから強力な魔法を使うので桜木と葵には近くに居る一般人の避難をお願いしたい。
え?現場から離れて土刃一人にしちゃって良いの?と逡巡する桜木だが、葵は一般人の誘導に頷いた。そこで桜木はこれから強い魔法を使うから避難してくれと野次馬に向かうのだが、野次馬の不安は解けない。魔法少女一人で大丈夫なのか。
葵がそれを見て動揺する野次馬をどうしようと思ったが、桜木は間髪入れずに本件対応中のミヤコ堂はお客様の安心を守る会社であり、今攻撃しよとしているASTは業界でも最高レベルの技術力を誇る会社だと力説した。
桜木が笑顔で力説したら野次馬も納得しだした。葵は気がついた。そう言えば桜木は会った時にミヤコ堂についても調べて来てると言っていた。ミヤコ堂の理念が分かっているのだ。出たな、桜木の事前に調べてある力が。
しかしこの場面、桜木からしたらあの越谷が言っていた飯チラシに書いてあった煽り文句でその気にさせるテクニックが役に立ったと思っていた。前回のアレ、こんな所で生きるのか。
土刃は怪異の攻撃を楽々と避けては居たものの、攻撃魔法を構築する場面になると防御は薄くなる。だから怪異の攻撃を受けて傷を負い始めた。そこに誘導が終わって葵から自分は避難誘導を頼まれたから自分は離れられないが、桜木が見に行ってくれと頼まれて桜木が現場到着。
土刃からは手伝うなと言われてしまった。傷を少し位負っても問題ではない。この怪異は当初は2人Hと見込まれたが変異で必要人Hが変わったものの、今から使う魔法は効率化で8倍になっていて10人相当の威力があるから大丈夫だし、実行データの採取の為には他の魔法が介入して来てはノイズになるのでやめてくれと言うのだ。
「この人は計算機なんだ」と感じた桜木。
だが、防御魔法ならノイズではない。美しく笑ってみせるのこそ魔法少女ではないかと。
しかし土刃はそれを否定する。そんな美学で業務をするな。結果だけが全てだ。
そう言って怪異を潰した。
土刃からしたらマジルミエの美学は成果を生むか生まないかに関係ない。それで結果を出せなかったら顧客に対する詐欺ではないか。
ここにホテルの総支配人が到着した。こんな事態が起きるとは思っていなかった(何しろ当初の依頼は異常が無いかのチェックだけだったから)、それを片付けて貰って本当にありがとう。ホテルの人は土刃にも桜木にも同じ様に感謝する。
立ち去った土刃を見送って桜木は迷っていた。あれだけの力を持ってる相手に対して自分は何が出来るんだろう。そうしょんぼりしてる桜木にタオルを持って来た葵が自分の今日の朝の失敗を明かして、そんな程度の人間だけどみんなに背伸びの手伝いになるならとやってると言うのだ。笑顔で。色々な魔法少女が居て良いんだと思う桜木。そう言う色々を主張出来る程仕事が出来る様になろうと思う桜木。
一週間で色々学んだ桜木であった。
業務終わって重本社長はミヤコ堂の麻生社長から怪異に変異が起き出してる件で古賀と一度話した方が良いと言われたけど重本はちょっと嫌そうな顔をしてたし、新しい技術の検証結果を貰った古賀は協力相手がミヤコ堂の筈なのにそこにマジルミエも居たのかと苦い顔をしてたし、二人は現時点では反りがあってない。