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夏目友人帳 漆・第5話

してやられた。そう言う話だったとは。

夏目がふと見上げたら東洋の伝統的な竜が空を飛んでいる。キラキラと何かを振りまきながら。その時はきれいだなあと思っただけだった。では今回は竜の話なんだなと思ったけど、サブタイはちょびの宝物。そもそもちょびって誰だっけと思ったものの、何故竜と関係するのかが分からなかった。
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ニャンコ先生に聞いてみたが、ニャンコ先生でも竜は実際には見た事が無いと言うのだ。珍しい事象だったか。

ところがその後も夏目は竜を見かける。今回もまたキラキラした物を散らばせながら。一方ニャンコ先生が一緒の時は見かけない。折角見かけた時もニャンコ先生は酔い潰れているし。

七辻屋で買い物をした帰り道、眼の前をふらふらと歩くちょびが居た。あ、ちょびってこいつか。ちょび髭のちょびだったか。そのちょび、バタっと倒れる。これは大変と近寄ったが、ちょびは身体の状態が悪い訳ではなく、気持ちが暗くなっていた。何故なら大切にしていたオオガイで作った櫛が折れてしまったからだ。

修理しようかと言っても継ぎ目があると自分の繊細なヒゲが引っ掛かるから駄目だと言うのだ。繊細なヒゲ?オオガイの様な綺麗な物があったら良かったのに。これで繋がった。実は一部なんだけど。綺麗な物と言えば最近飛翔しているあの竜がばら撒いている光る物だ。多分鱗だとは思うけど。

外を見上げていたら田沼がどうしたと話しかけて来た。ちょびの件を話したら、田沼も自分も小さい頃に螺鈿の小物入れを持っていたのだが、引っ越しの時に無くしたと言う。そんな話を聞いて帰る途中、また竜を見た。あの光る物は鱗か?あれならどうだ。そう思って竜の飛んだ後を追ってみたが鱗は見つからない。

それ以来、夏目は竜を見かけては追ってみた。しかし見つからない。

その後も山の中を探しても見つからない。その様子を中級が見かけてやって来る。中級だけでなくヒノエやカッパも。後から三篠まで。夏目が何かしてるから追跡して来たと言うのだ。

聞かれて夏目はちょびの話をした。なるほどとみんなも力になってくれる。中級達も未だ直接見かけてないんだ。でも聞き回ったら見てる妖も居る。

これだけ探してもニャンコ先生や中級達の前には出現しない。くたびれたところにちょびがやって来てどうしたと聞くが、うっかり口を滑らしたらまずいのではと思ったものの、中級、そこは結構しっかりしてる。内緒。

またも夏目が一人の時に竜が見える。思わず竜待ってくれと呼ぶとチラとこちらを見る。ただ今日の飛翔では鱗が散っていない。竜を見送った夏目の背後から翁面の妖怪が出現。人の子にもあれが見えるのかと言う。この妖、竜の事情を知っていた。滅多に飛ぶ竜ではないが、鱗が生え変わる時に飛んで古い鱗を落とすのだ。だが、もう落とし尽くしたのではないか。あれを見られただけでも運が良かったなと言ってくれる。言ってくれるが、それでは夏目の目的は達せられない。

その後、手遅れになると慌てて追ったが竜は呼びかけにチラと向いてくれただけで飛び去った。

諦めかけたところで、鱗の情報。崖の上の大松の上に光る物があると言うのだ。ヤバい場所にある松だな。確かに光る物はある。三篠は飛べるから乗るかと言うが、夏目は自力で登るのを選ぶ。見ちゃおれんと言うニャンコ先生の導きに従って夏目は登る。かなり危ない枝だったが、夏目は何とか鱗を手に入れた。竜の鱗だけあってでかいな。
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これをちょびに渡したのだが、ちょびはこれが美しいとでも思うのかとちょびは言う。ちょびには駄目なのかと思ったが、ちょびが撫でると鱗は櫛になった。早速とちょびがヒゲを櫛といたら、まさかのちょびがあの竜。ちょび竜、みんなで拾ってくれたこの櫛、永く大切にすると言って飛び去った。

ちょび、竜だったんかい!

ああ、自分から落ちた鱗なら「美しいのかい?」と言うセリフも分かる。前半で自分の繊細なヒゲにはちゃんとした櫛であらねばならぬと言うのも分かる。そして今までちょびが偉そうな雰囲気を醸し出していたのは竜だったからか。てっきりお公家さんの妖かと思っていた。
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