夏目友人帳 漆・第3話
中級に連れられて少し離れた街の饅頭屋へ向かう。新作饅頭の中の黄金色の餡が栗なのかさつま芋なのか知りたいと。そりゃ妖だと饅頭買えないからね。饅頭と聞いてニャンコ先生が釣られる。でも歩いてる先から何だか妙な集団がやって来たぞ。
何だあの案山子の集団は。
当然中級やニャンコ先生には見える。安易に扱われるが、夏目は気になった。そして夜に夢を見るのだ。あの案山子がどこかの屋敷に入って行くのを。しかも鎌を持って。これは危ない夢かもしれない。
そんな訳で夏目はあの街にもう一回行く。渋るニャンコ先生には饅頭を二個買ってやろうと言って連れて行く。街を歩いてみたら夢で見た屋敷があった。杞憂かと思ったけど当たってしまった。すると門が開いて中から案山子が出て来た。屋敷の中の人は大丈夫だったのだろうか。
そこに柊参上。ちょっと忘れてたけど名取の式なんだっけ。だから名取も参上。名取が来たと言う事はやはりあの案山子案件で呼ばれたのだろう。名取からしたら自分は呼ばれたけど夏目がなんでまたここに居るのかと思ったろう。
ここの屋敷の人間が最近妙な気配がして寝られないと言うから、祓い屋のツテで呼ばれた。夏目からの情報は案山子。さらには案山子はどうも「とうかんや」と呟いていたみたいだと言う。名取にはすぐ分からなかったが、この近くに妖が見える偏屈なヤツが居るから聞きに行こう。君も来るかい?何しろこのまま夏目を一人にした方が心配だ。
その偏屈は森の中に引きこもっている。結界がはられていてニャンコ先生にとっては気持ち悪い空間だった。そんな話をしていたらその偏屈と言われた依島登場。何しに来た。帰れ。名取にはそう言ったものの、隣に居る夏目がちょっと変わった雰囲気で、だるま猫のニャンコ先生にも興味を持ったので家にあげてやる。お菓子とお茶まで出して。
「とおかんや」を聞いてみたら依島は知っていた。「十完夜」と書く。妖がこれぞと言う家の家人に勝負をふっかけて十日間妖の脅しに耐えられなかったら家人はその家を妖に明け渡さねばならない。一方十日耐えたら逆に妖は立ち去りその家に富も残して行く。
夏目は案山子の妖について聞いてみた。依島は多分それは禁術で出来た物だろう。ただ、多分案山子を作った者はそんなつもりではなく、田畑の守りとして案山子を作って、それを作った者にたまたま力があったから妖になったのだろう。意図せず作られてしまったのだ。それはひょっとしたらレイコもそうだったのではないか。
夏目が色々思案してるのを見て依島はこいつ妖に心を引っ張られているな。名取おまえが変な事をしたのではと、ここから名取批判に入る的場と同じではと言うが、それを夏目が止める。夏目の弁護に思わず依島も友人を非難してすまなかったと謝るのだ。偏屈じゃないじゃん。
夏目が気になった依島。名取は夏目レイコって知ってるかと言うが、依島は知らなかった。知らなかったけど、後日夏目レイコを知って、夏目に結びつける日が来るかもしれない。
さて、原因は分かったので改めて雨沢家へ。話を聞いてみたら今日迄九日間妙な気配に悩まされていたらしい。だとしたら今晩無事に越せたら十完夜を乗り越えられる。今晩が勝負と言う事で、名取は勿論、名取が塔子に電話して夏目も泊まる事にした。
一応結界ははったが最後に門をと思ったら、日付が変わるや否や案山子がなだれ込んで来る。案山子は全部で十体。ニャンコ先生とか名取の式も手伝って次々と追い出す。
あと一匹、どこだ?いや、門に妖しげな箒がいますよ。
と思ったら雨沢が門の方へ歩いて行った。雨沢しっかりしていた。行き先が無いのかもしれないがここは大事な家だから譲ってはやれぬと言うと、箒は案山子となって去って行く。
そのまま見過ごしたけど、負けたら当分なにも出来ないし、案山子程度だとここでこれだけ力を使ったら当分動けまいと。
助かった雨沢、これで財が回って来るならそれを渡すからあの案山子達を開放してやってくれと言う。