星降る王国のニナ・第1話
いきなり誰か馬車の転落で死んでいきなりスラム街の子供達の話になった。これでもう決まったな。馬車で死んだ王族の身代わりにされるのだろう。
ニナは孤児で同じ孤児のサジとコリンと盗みをしてはその日の糧としていた。だが、そんなお金の無い暮らしでコリンが病気になってしまったらもう救いようがない。医者に診せる事も出来ずにコリンが死んでしまう。
それでサジは変わってしまった。そしてとうとうニナを人買いに売ってしまう。何しろニナは普通では見られない瑠璃色の瞳をしている女の子だった。高く売れよう。ただ、売られた先が好色ジジイでなかったのは少しはマシだったか。ただ、バレたら処刑される。
冒頭で馬車の転落で死亡したフォルトナ王国の王女アリシャ・セス・フォルトナの身代わりなのだから。普通では見られない瑠璃色の瞳と言う共通点で買われた。
王女と言えども、何らかの事故で死ぬ事も無い訳ではなかろう。なのに身代わりが必要だと言うのは大国のガルガダに嫁ぐ事になっていた。王女は死んでしまった、で済まされないのだ。フォルトナ王国の命運がかかっている。
昨日迄孤児だったニナがそう簡単に王女になれる筈が無い。見栄えだけは王女らしくしたけど行動は孤児の時の知識のままなのだ。それでもニナを王女の身代わりにしたアズール第二王子は根気よくニナの世話をする。
とは言っても三日後には国王への謁見が待っている。未だ未だのニナは懸命に教えられた内容を国王の御前で話す。バレたら当然処刑されるのでびくびくもの。
アリシャ王女は星の巫女の跡継ぎだった為に、極めて側近しか会った事が無い。だから国王とて瞳の色だけでニナをアリシャ王女だと思っている。言葉がたどたどしいのは国王の前だから恐れ多いと言う解釈が出来る。
だが王妃が余計な事を言いだした。あれ?この王妃、アリシャ王女とかに何か含む所があるのか?ムフルム王子の為に舞をせよと言うのだ。そんなの聞いてないよ。
ここでアズールが助け舟を出す。この場にムフルムが居ないのだから居る時に舞をお見せしましょう。そりゃ居ない人の為に踊るのもおかしいしね。
しかしその後も王妃の嫌がらせが起きる。アズールと話している時に扇子を池に放り投げて取って来いと言うのだ。この一部始終を見ていたニナがカチンと来た。影から飛び出して池にドボンと飛び込んで扇子を取り上げる。王妃様の言うとおりの事をしました。ただ、そのドボンで王妃がずぶ濡れに。
嫌がらせを受けたアズール、ニナの思わぬ行動でそれをやり返した形になって、おもしれー女と言う感触を得たか。