パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき・第4話
稲妻の剣がシークが加入したからこれで勝てるとヒュドラ退治にまた向かったその頃、ラウストとナルセーナはいつもの迷宮で魔物狩りをしていた。ナルセーナ強いよね、この階層なら大丈夫なのだろう。
稲妻の剣がヒュドラ退治に行ったのは二人共知っていて、そしてラウストの評価だとマルグルスはあんな奴ではあるが「ちゃんと」戦えばそれなりの腕利きなのだと言う。あの日は前夜にサーベリアと励みすぎたのが悪かった。だがラウストがあの二人を評価するのはナルセーナからしたらあまり楽しくない。楽しくはないのだが、この時に意を汲んだんだな。ここは飽きたから湿地帯に行きたいと言うのだ。
湿地帯、そこで稲妻の剣はヒュドラと戦い始める。期待通りにシークは強くヒュドラの首を狩るのも造作無さそうではあったがあの獲物はお前の物だろうとマルグルスに譲る。
ここまでは連携が取れていて良い感じでヒュドラを押していたが、たまたまなのか、ヒュドラは分かってやったのか、岩を弾いてアーミアに大打撃を与えた所で状況が変わる。
倒れたアーミアから何か禍々しい物が?
って、思うでしょ、この場面。
どうも違うらしい。この後の展開を見てると。アーミアの周りからも出ているが、周囲からも沢山出ている。この時点ではまさかアーミアってここまで周囲に影響を及ぼす子だったの?と思ったものの、どうも違う。偶々この一帯がマナに溢れている場所で、それを吸ってヒュドラが強化してしまう。
アーミアが倒れてヒュドラが強化して、状況が悪化したのだから一旦撤退するのは道理なのに頭のおかしいマルグルスはここまで来たのだからやってしまおうとか言って状況を悪化させる。
これは愈々危ないと言う場面でサブタイどおりにラウストが救援に来た。ナルセーナも強いからあの強化したヒュドラに打撃を与える事も出来る。その様子を見ていたシークだが、どうもヒュドラはラウストとの戦いをお望みの様だと手を引く。いや、そこで忖度しちゃ駄目だろ。
流石に強いとは言っても治癒師のラウスト。健闘はするもののナルセーナが倒されラウスト自身も倒され、シーク、どうすんのよと思ったところで老人の場面。そのまま眠っておれば良いものを。
近くに居ないのに気配を理解する程にラウストが変化。鬼の角みたいなのが出たぞ。そう思ったら、あっと言う間にヒュドラを切り刻んで倒れてしまった。そして目覚めたらその間の事を覚えていないと言うパターン。
ともあれ気付いたラウストはアーミアの治癒へ。解毒は出来ないけどヒールの重ねかけは出来る。そんなの聞いた事も無いと言うライラを置いて。そしてその重ねがけが効くのだ。容態が安定してアーミアは眠る事が出来た。
ヒュドラを倒した事になってギルドではその対価を貰うのだが、ここでマルグルスとサーベリアが特級愚物らしさを発揮した。ラウストがあれだけ強いとあって戻って来い、そして今回の報酬は三人で山分けだ。
三人!
ライラとシークはあまり役に立たなかった、ナルセーナはおまえのおまけだろ?そして最後が酷い。アーミアはもう役立たずで起きないからあのままどこかに売っぱらってしまおう。流石にラウストも驚くが、ナルセーナが我慢出来ずに手を出す。
冒険者同士の争いは厳罰だろう、シークやライラも見ていただろうと言うマルグルスにシークはそれは見ていない、だが別の話なら見た。確か人身売買をすると言っていた奴が居た。人身売買は極めて重罪。
さてここでシークの種明かし。実はジーク。うん、そこまでは知ってた。その素性は王都ギルド直属冒険者。この身分になると警察権と司法権まで持っていて未だ人身売買を実行していなかったがマルグルスとサーベリアは無期の強制労働とする。
実は地方の治安悪化を知った本部が問題ある冒険者の摘発にジークを送り出したのだ。
そんなジークにラウストはちょっと話があると言ってギルドの外に誘う。外に。そしてあんなマルグルスとサーベリアだが、元は冒険者になる事に熱意を注いでいた。それがやがて金と地位を得る方向になってしまった。何とか赦してやれないだろうか。いや、駄目だろ、普通。犯した罪に対する処罰なんだから。
しかしこの言葉を聞いたマルグルスがハッとする。
マルグルスが!
おまえ、ギルドの中で縛り上げられていたんじゃないのか?
マルグルスがこれを聞いて改心する展開ならギルドの中に居たまま話せよ。
ラウストの口添えによってマルグルスとサーベリアは追放だけで済んだ。
一方でジークはこの地にとどまる事にする。そりゃヒュドラ退治の時にラウストの異様な強さを見たから。それこそ治安の為には見張らねば。