異世界失格・第9話
トネリコ村で世界樹の精を救って今度は砂漠地帯。砂漠と土の神の地ザムスターク地方だそうだ。実はニアはこの砂漠地帯の出身なのだ。だから砂漠の性質はよく知っている。暑い日中は魔物も盗賊も夜間に出現するから日中は安全。
と思ったら何か出ました。
ヒャッハー俺達異世界麗心愚チームだぜ。日本語なのでこれも転移者。雑魚っぽい風情があるが。
雑魚っぽくてアネットとタマであっさりやられる。それを見たチームの総長トオルはセンセーが弱そうなのを狙った。ニアがそれに立ち向かおうとするが、脚が震えて剣を抜けない。それを見てトオルは嘲笑った。剣を抜けるなら抜いてみろ、このサソリの毒で苦しみ抜いて死ぬがよい。
いやあ毒で苦しみ死ぬと聞いたらセンセーは黙っていられませんよ。さあ私を刺すがよい。脅しじゃねえぞグサリ。猛毒注入。うん、やっぱり逆にサソリやられた。逆上したトオルが自分でセンセーとニアを倒そうとしたが、ここで謎の咆哮。どうもヤバいオオカミが居るらしい。慌ててトオル達は逃げた。
ニアは動けなくて全く役に立てなくて落ち込んでいたが、センセーは最初から英雄だった者など居ないと言ってくれた。センセーが言うと単なる慰めの言葉ではなくなるのが凄いな。
ニアの宿のあてに到着。孤児院だった。ニア、ここの孤児院の出身だったのだ。あれ?孤児院でこれだけのご馳走出るの?大丈夫?最近食べ物を寄付してくれる謎の人が居るのだそうだ。
ニアはこの孤児院を出る時に勇敢な戦士になる迄帰って来ないと言ったそうだ。タマとか居る所でそうだとは言えないの勇者パーティーに居るんだと答えると、勇者誰?と聞かれるからセンセーを指す。でもセンセーは作家なんだよ。退廃的な物語聞く?
夜になってまたもオオカミの咆哮。おばさんによると凶暴なオオカミが徘徊してるので夜中は絶対外に出ちゃ駄目だと言うのだ。そう言ってる先からセンセーが外に出てますが。確かに外は殺された魔物の死体が転がっていた。
夜中にニアがふと目覚めると、窓の外を人影が通る。まさか危ない事になってるのではと剣を持ってニアは外に出てみる。すると何だかひとの良さそうな人物と遭遇した。籠一杯に食べ物が入っていて、ははぁ、さては彼がいつも孤児院に食料を寄付してくれる姿を見せない人か。あれ?松葉杖してますね。
暫し外でニアとおじさん(サイトウ)とでお話。ここでニアが勇敢な戦士になりたい理由を語ってくれた。孤児院からそんな人間が出たと言うのを示したいからだ。それらを影で聞いていたセンセー。彼はセンセーの物語に相応しい子か。
夜が明けて二人はオアシスへ行ってまた食料調達。おっさん、どこから食べ物を調達してたのかと思ったが、ここ?
翌日夜になって孤児院の一人の子がトオルにさらわれてショバ代出せと言って来た。お、今度は人数が多い。勿論アネットとタマが戦うが、ニアはまたも動けない。おじさんがニアを避難させるが、大事な人間の危機に脚が動かないと嘆くニアを見ておじさんの頭にフラッシュバックが。あ、やはり転移者か。彼も大事な人間の危機に動けなかった一人か。
そして意を決したおじさんは松葉杖を捨て、そして変身した。オオカミと言うのは噂だけかと思ったら彼がそのオオカミだったか。
凶暴なオオカミと化したおじさんは次々と麗心愚チームの人間を倒していた。既におじさんは暴走状態。だがこのままではただの魔物ではないか。ニアはとうとう剣を抜いてトオルを助けた。それでも襲いかかるおじさんの前でニアは剣を捨てて立ち塞がった。
やっとおじさんは我に返った。あのままだともう優しいおじさんに戻れないと立ち塞がったニアのおかげで。おじさんがこの世界に来たのは、現世日本で脚が動かなかった彼に親しくしてくれた少年が不良共にやられているのを怖くて逃げ出してしまい、そしてあのトラックに轢かれた。
この脚さえ動けば。
いや、当然センセーはここでそんな事を受け入れない。それは心の弱さを隠す体の良い言い訳だったのではないのか。
でもニアはセンセーを止めた。みんながみんな、センセーの様に(心が)強い人間ばかりじゃなんだ。自分も次こそは逃げない様に頑張ってるんだ。だからおじさんを責めないでくれ。
おじさん、ニアは臆病者ではない、さっきオオカミだった自分を止めたじゃないか。臆病者だったのは自分だ。そう語れたおじさん、これでセンセーの物語は完成した。彼は失格者ではない。夜にオオカミになって魔物達から孤児院を救ってくれたのだから。
センセーのストーリーテラーの力が発動。サイトウは現世日本へ戻って行く。
戻ったサイトウ、無事で、そしてあの少年も無事だった。少年は変わらずサイトウに優しい。今度こそサイトウは少年とちゃんとやって行ける。