異世界失格・第8話
グリューン王国とタマの問題が解決して、おまけに七堕天使のカイバラも始末して、センセー一行は先に進む。
進んだ先にはまるで世界樹みたいなものが、と思ったら本当にこのザウバーベルククの世界樹だった。生命力に満ち溢れる世界樹はセンセーには気に食わない。
世界樹の麓の村トネリコは世界樹の恩恵に預かって平和で質素な暮らしを送っていた....筈だったのに、カジノが出来てるぞ。しかもカジノを巡って荒くれ者転移者が争ってる。転移者、マジでゴミ。
と思ったらカルモチンも食べ尽くすし。そもそもそのカルモチン、元の世界から持ち込んで今迄よく残っていたものだ。
この有り様を村長の所へ行って事情を聞いてみる。それによると数ヶ月にやって来た転移者がカジノを作り、それに引き寄せられた荒くれ者の転移者によってこうなってしまった。おまけに今や世界樹の葉が枯れて落ちて来ている。世界樹が弱って来ている。
村長は言う。旅の者達よこの村を元に戻してくれないだろうか。
いや、旅の者にいきなりそんな要望を。
と思ったら「話は聞かせてもらった!」と颯爽と現れる白騎士ありけり。当然こいつも転移者だろうからアネット達は警戒する。ただ、これまで見てきた全ての腐った転移者とはちょっと違う。これは世界樹の危機の一大事だから私がなんとかしよう。はて、こいつ、主役がはれるキャラには見えない、このヤマダ。だとしたらどう駄目な方向に転ぶだろう。
このヤマダが登場した時、センセーはとっくにそこから居なくなっていた。カルモチンが無くなって元気になってしまってなんとかしなくてはと歩き回っていたのだ。すると妙な洞窟が見える。あの穴はすごく、背徳の匂いがする。
行ってみたらまるでアヘン窟。これは不健康で大変良い。私にもその煙を分けてくれないかと目を輝かせた所に一人の女がやって来た。もっと楽しい場所に連れて行ってあげる。
と言ってその女の酒場へ連れて行かれた。その女エッシェは自分は踊り子だと言って自分の踊りを見て行けと言うのだ。ここで伊豆の踊子を思い出すセンセー。あれ?太宰治って川端康成の伊豆の踊子に間に合ったんだっけ?伊豆の踊子連載開始が大正15年、そんなに古かったのか。
見なさいと言われてエッシェの踊りを見たセンセーだが、人間観察眼の優れたセンセー、ここでちゃんと見たものがあるんだなあ。
そしてセンセーは村長の所へ連れて行かれる。寝てしまった様で。アネットさん、それを見てその女は誰!と驚く。
当然村長はエッシェの素性は知っている。ここには来るなと言ってあったらしい。村長曰く、彼女はトネリコの魔女。堕転移者が村にカジノを作り始めた時、村人はそれを阻止する力が無くて傍観するしかなかったが、彼女だけはその女カジノの隣に酒場を開いて以降堕転移者相手に酒を提供していると言う。それを見た村人は彼女は裏切り者の魔女だと言って忌み嫌っているのだ。それを真に受けるヤマダ。しかしセンセーはその頃には目を開いていて、ちょっと違う事を見ていた様だ。
ヤマダ達が堕転移者と戦おうとしていた頃、センセーはそんな事に加担はしないと言ってエッシェの所へ行く。そこで村の言い伝えを聞いた。世界樹の精の加護。世界樹の精が舞い降りた時、弱気者達に救いが与えられる。でも救いが欲しいのはエッシェ君の方ではないか。昨日の舞を見たら憂いに満ちていた。
そこに堕転移者の胴元が来た。他の転移者から金をかき集めてる。とは言え、最近はそんな連中も減って実入りが悪くなって来た。次は村の連中を巻き込んでやろう。だがエッシェはそれを聞いて村人に手を出さない約束だったでしょうと抗議する。そんな彼女をセンセーは君は魔女なんかじゃない天女だと言う。
その時爆発音がする。ヤマダがカジノの破壊を開始した。ヤマダ、堕転移者を退治して魔女も退治すると宣言。センセー、そのヤマダに向かって大声で立派な事を吐くお前は苦手だと睨む。
勘違い勇者かとも思われたヤマダ、カジノの堕転移者を一撃で倒した。
ヤマダはエッシェも心を入れ替えたかと言ったのに、村人はそうではない。エッシェは魔女だ、裏切り者だ。ヤマダが止めても村人によるエッシェへの攻撃は止まらない。呆然とするヤマダだが、センセーは黙っていない。エッシェが何をしていたのか知らないのだろう。彼女は毎晩酒場で堕転移者を抑えていた。それを言っても村人は信じない。村人の罵声を浴びてエッシェは立ち去る。だが、ヤマダもこれには気づいていた。こんな事になってしまうとは、自分が何をしたのか。
センセー曰く、この村は自分達で守り神を手放した。
村長はセンセー達が去った後にヤマダに申し出る。今後も村を守ってほしい。ついては堕転移者は世界樹の葉を使って薬にして儲けていた。今度は我々が世界樹の葉を使って儲けようと思う。その売上の10%を差し上げましょう。なんてこったい。これが自分が村を救ったと思った結果なのか。ヤマダはそれに気づけるだけはマシだった。
攻撃力はゼロのセンセーに、いつかどこかで助力してくれたらいいね。
センセー一行がトネリコ村を立ち去る時、世界樹は枯れてしまう。そしてエッシェが出現。
ああやはりエッシェが世界樹の精だったか。そしてセンセーに祝福を与えた。祝福....カルモチンエターナル。やったねこれでもうカルモチンに困る事はないよ。