ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで・第2話
ゲス女神ヴィシスからレベルの低い奴はレベルの高い者の足を引っ張る邪魔者負け組と罵られて生き残れたらこの世界に居る事を許してやろうと廃棄遺跡に飛ばされた三森灯河。
早速魔物に襲われ、なけなしの状態異常スキルを使って魔物の動きを封じるものの、レベルが低いせいでMPがほとんど無く、枯渇状態。ステータス画面でMPがゼロって出てるんだけど、あれってゼロでも未だ何とか動けるの?自動車のFUELが赤くなって未だちょっと走れるみたいな?
魔物が一体や二体なら何とかなるかもしれないが、次から次へと湧いて出て来る。同じ個体に同じ攻撃も効かず、ポイズンで相手が倒れるのを待つしか無いが、これではそのうちにMPが完全に尽きて死ぬしか無い。
そう思っていたら、動けなくなった魔物の一体が死ぬとレベルが上昇する。これでMPが回復してまた魔物への攻撃に使える様になった。するとまた魔物が死ぬ→またレベルが上がる、これを繰り返しているうちに灯河のMPの貯金が相当溜まって来た。やっと先が見えて来た。今や押し寄せる魔物は自分の糧となる相手にしか見えない。そう思っていたが、流石に一方的にやられるだけになった魔物は引き上げて行った。
先ずは生き残れた灯河は、この先の生存の為の物色を始める。先ずは飲食の問題だが、思い切って食べてみた魔物の眼球は酸が多くて食べられたものではなかった。うーん、この作品は相手を食べる事で力を獲得する系じゃないのか。だが、何のはずみかあの魔法の袋にコーラとジャーキーみたいなのが出現した。これで食べつなぐ灯河。
遺跡には部屋がいくつもあって、魔力を注ぐと扉が開く仕組みだった。ただ、中に入ってもこの遺跡で死んだ人間の白骨化した遺体があるだけだった。それでもその亡くなった人達が持っていた荷物には役に立ちそうな物がある。灯河は亡骸に手を合わせて使えるかもしれない物を貰う。遺跡で亡くなった人達が部屋に居るのは魔物から何とか逃れて力尽きたからではなかろうか。
魔力を大量に注がないと開かない扉の先にはいかにも大魔導師みたいな亡骸があった。そこに本人のメモと思われる物がある。自分は嘗て大賢者アングリンと呼ばれし者、だが、それよりも暗黒の勇者アングリンの方が通りが良いかもしれない。暗黒の勇者、あの魔力測定の場で安智弘が言われていたのと同じだ。
このアングリンもヴィシスによってこの廃棄遺跡に飛ばされた。大いなる恨みがある。だからもしこの遺跡から抜け出そうとする者には自分が確保した物を譲りたい。それは譲ってヴィシスに目に物を言わせて欲しいと言う意味でもあろう。
アングリンの持ち物の中にはいかにも使えそうな禁術大全、そして禁呪の呪文書があった。これは遺跡を抜け出すのとヴィシスと戦う時に使えるかもしれない。灯河はありがたくアングリンから受領する事にした。マントと服をせめてもの交換品として。
禁呪大全には大事な事が書かれていた。と言うか、あの分厚い本からよくもまあこの直後に必要になるページを開けたものだ。ともかくそこには「魂喰いに気をつけろ」と書かれている。これで灯河はこの遺跡最強の相手には慎重に戦わねばならないと言う事を肝に銘じる。
そうして歩いて行くと出口らしき場所に何かをはめ込む穴を見つけ、そしてその近くに居た魔物にはその穴に嵌りそうな魔石がついていた。これぞおそらく魂喰い。影からパラライズを撃とうとしたが、その瞬間に攻撃を受けた。一体どうしたら。
魂喰いは迫って来た。だが撃って来ない。魂喰いが口から吐き出した物が人間の形になる。それが迫って来る。それにたじろぐ灯河をニヤニヤしながら眺めているのだ。この状態こそが「魂喰い」。灯河はパラライズ迄は出来ても毒性付与迄は出来ない。俺は人間として人間相手に殺しは出来ないと叫ぶ。うーん、いやあ、ここまで形が違ったら人間に思えないと思うのですが。
ところがこれが灯河の戦術。灯河が苦しんでいるのをすっかり楽しむ魂喰い。その瞬間を狙ってパラライズを放った。これで魂喰いは動けなくなる。魂喰いはすっかり勝ったと思っていたのだ。これはこれまでずっと無害な人間になろうと演技して来た灯河の見せかけに魂喰いは騙された。しかも灯河は最弱レベルだから益々魂喰いは侮った。そこへポイズンを打ち込んで魂喰いは滅びる。
魂喰いが滅びると奴に倒された廃棄者の魂が復活した。よくぞやってくれた。我々が残した物を使って遺跡を出てあのヴィシスを倒してくれ。
ヴィシスに廃棄された人達の思いを背負って愈々灯河は外の世界へ歩みだす。