声優ラジオのウラオモテ・第9話
ファントムの収録で全く駄目だった由美子。前回の最後を見た時、ここからどうやって立ち直るんだと思った。
しかし由美子は自分でまず立ち上がる。そう、立ち上がらないと話にならない。その日のうちに由美子は加賀崎の所へ行って、自分の演技を見せ杉下から言われた内容を伝えて意見を求める。最初は加賀崎はそれで駄目なのかと驚いて考え込む。加賀崎は音響のプロではない。だから演技を逐一どうこうとは指摘出来ない。状況から判断する。
ファントムのオーディションを受けた時の演技を杉下は求めている。あのオーディション、翌日にもう受けなくてはならなかったのでその後の由美子が読み込んだ時の演技とは違う。由美子としてはオーディションの時の演技を昇華したつもりだったけど。
加賀崎の予想では、オーディション後に由美子がキャラクターの性格などを読み込んだものの、その影響でそのキャラを「演じよう」としたのが杉下の望む方向ではなかったのだ。
キャラが自分の側に居るタイプの声優と、キャラが憑依するタイプの声優があると言うけど、え?違いがよく分からん。憑依はまあ何となく分かるが。なりきるタイプだよね、もうそのキャラそのものに。
じゃあどうしたら。演じようとするな、下ろせ。
そして加賀崎は言葉を続けたが、途中でやめた。演技で気に掛ける事があったら....あ、千佳に相談しろと言いたかったんだな。
加賀崎は付け加えた。年明けの収録まで猛練習したいのだろうが、それは駄目だ。視野が狭くなったら視野の狭い演技しか出来ない。適当に羽根を伸ばせ。
と言う事で、年末(多分会話の内容からクリスマス)に若菜からカラオケに行かないかと誘われ、最初は練習とか思っていたけど加賀崎の言葉を思い出して行く事にする。それを聞いたクラスメイト達が由美子が仕事でなくて行けるなんて珍しいとどんどん集まって来る。
男子も来て良いよ。
この場面、あのクラスの声優オタクな木村が耳をそばだたせるし、千佳は何か紙袋をどうこうしようとしていた。
若菜はさらに千佳も行かないかなと言う。一緒に行って欲しい。由美子、若菜のお願いに弱い。そこで千佳の所に行って今日このあと何かあるのか聞いて、何も無いと言う答えを一緒に行くと言う方向に引っ張って連れて行く事にした。
カラオケ店、あんな大きな部屋もあるんだな。カラオケでは他の人が歌っても食べ物を盛んに食べて聞いてないのが基本(おなじ晩のとと神より)。若菜は千佳があまり楽しそうでないのを気にしていたが、由美子から言わせるとあれでも機嫌が良いのだそうだ。あれで。でもここで一押し。何と由美子は夕暮夕陽の歌を入れた。そしてそれを歌う。
これは千佳が反応しない訳には行かない。千佳、意地っ張りだからなあ。
睨んでる睨んでる。
そして逆襲の歌種やすみの曲を千佳が歌う。これでみんなが盛り上がって、二人の曲を歌って貰う事にした。
これ、木村はもう思い残す事はないだろ。
カラオケ終わってから千佳は由美子を誘った。千佳、由美子があの日の収録でうまく行かず落ち込んでいるのを見て、神代監督(父)に相談出来る様にしようかと言い出したが、由美子さん、しっかり既に神代監督の所へは行っていた。折角切り出したのにそう言われると立場ない千佳が怒った。そう言うところだ!
そして紙袋を取り出す。中身は神代アニメの別の作品。ファントムに近い作品。参考になるからじっくり見てみろ。直接演技の仕方どうこう言うより、参考資料なのが良かった。
そしてどうやら年明けの収録の日。
千佳が入って来ても気づかない程に台本に集中してる由美子。千佳に失望されたままではいられないと言う気合。
果たして収録はうまく行った。他のベテラン声優からずいぶん変わった良くなったと言われ、杉下もいい演技になったと言われる。「ただ」が続く。この「ただ」は、あそこが悪いと言う「ただ」ではなく、歌種やすみならもっとずっと上に行ける筈だからもっと頑張れと言う意味だった。