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転生貴族、鑑定スキルで成り上がる・第9話

五日後にファムの所へ行ったら上々の首尾を持っていた。それはペレーナ郡の郡長の所で手に入れたと言うバサマーク側の盟約の書類。そこで見つけたのはマサ郡の署名。マサ郡の郡長はクランを評価してクラン側に参加している筈なのに実はバサマーク側に寝返っていた?
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マサ郡は州内でも巨大な郡で、どちら側につくかで大きく帰趨が変わる。そのマサ郡が密かにバサマーク側になっていたとしたら、ペレーナに攻め込んでもマサ郡の軍に攻められて我々は包囲され大損害をうけかねない。リーツはこれは本物なのかとファムに確認したが、ファムは本物かどうかの保証はしない、ペレーナ郡長の所から持って来たと言う事だけは確かだと言う。

重大な情報なので急ぎルメイルの所へ持ち帰った。ルメイルは驚き、メナスに対してこれを他に見せる様にと命じた。メナスはそれを受け取ったが気付いた点がある。マサ郡の署名と印に違和感がある。そこで以前マサ郡から貰った書状と見比べてみた。あ、確かに少し違う。メナスの鑑定眼は鋭い。アルスの鑑定スキルではそう言う特殊能力は測る事が出来なかった。

ペレーナはマサがバサマーク側についたと思ったので、こちらの調略に乗らなかった。とは言ってもマサ郡がバサマーク側に居ないと言うのはいづれバレる事だ。では何故こんな偽造をしたのか。それは恐らく時間稼ぎ。

その時間稼ぎとは何か。爆発の魔力石だろう。あれはミーシアン州ではペレーナでしか産出しない。そしてそれが手に入ったら戦闘での攻撃力が増して有利に戦える。時間稼ぎをして魔力石をペレーナから輸入していたのだろう。

その状況を理解してロセルが戦略を分析した。そうであるならばペレーナは攻められない。騙されたが本来はクラン側の郡だ。だからこちらがペレーナを攻めたら単にクラン側での内輪揉めになる。

だからペレーナには真実を話して理解して貰わねばならない。とは言っても現在ペレーナは聞く耳を持たない状態だった。

と言う事で一計を案じる。アルスはペレーナ城に向かう。手紙でペレーナ郡で手に入れた盟約状がこちらにある、ついてはこうなったらランベルクもバサマーク側に入れて貰えいないかと言う建前でペレーナ郡長に会う。

ペレーナ郡長、なるほど、ランベルクも寝返るかと喜んだ。ただ、アルスはその前に確認したい事があると言う。その盟約状は本物なのか。ペレーナ郡長が言うにはバサマークから直接貰ったと言う。なるほど、盟約状としては本物だった。でもマサ郡がバサマーク側に参加するのは理解出来ない。それを信じて良いのかと。

ペレーナ郡長、さてはバサマーク側に参加したいと言うのは口実で自分に会いに来たのだなと言って周囲の兵にアルスの拘束を命令する。でも多分フードを被っていた一人はリーツ。案の定リーツ。その辺の兵では全く太刀打ち出来ない。

問題はもう一人のフードの人物。マサ郡長だった。マサ郡長に盟約状のマサ郡の印と署名が偽物であると一筆書いて貰いに行ったが、自分の署名を偽造されて敵方の一員にされたマサ郡長が激怒。こうなったら自分も行くと言って一緒に来たのだ。そして直接ペレーナ郡長に宣言する。これは偽物。その上でペレーナ郡長に問う。これでもバサマーク側につくのか。
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騙されたと知ったペレーナ郡長、改めてクラン側になりたいが、一度裏切った自分が赦されるだろうか。その判断をマサ郡長は今回の事を暴いたアルスに任せようと言うのだ。

驚いたアルスだが、そもそもペレーナ郡長は騙された側。一度の過ちで切り捨てたくはない。今回はこれで平和裏に収まるのならペレーナ郡長も参加してくれと言う。今回の件でマサ郡長もペレーナ郡長もアルスを認めただろう。

そしてそれはクランの耳にも達した。なのでクランがアルスに会いたいと言って来たのだ。しかも今すぐにと。
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