ダンジョン飯・第21話
シュロー一行とカブルー一行が地上に帰還。シュローは明日島主に今回の件を話すとカブルーに言って、証言の口添えをして欲しいと頼んだ。ライオス一行の件は特には言わず、ファリンがキメラになった件だけを話す。ファリンがこれ以上冒険者を殺めてほしくないので。
などと言っていたが、状況が一変。ミックベルが窓から大きな白い船が停泊してると言った事でカブルーが血相を変えて窓を開ける。あれは西方エルフの船だ。まずい。
迷宮の危険性が一定程度を超えた時に直接制圧に来る。一応その土地の支配者の同意文書は取るが、あとから見たらただ単に強圧的に取ろうとしてるみたいだ。
エルフが迷宮制圧に出る前に島主に会ってエルフの要求を飲まない様に説得しようと向かったが、船がもう停泊してる程なので先にエルフが島主の所に乗り込んで来ていた。だがカブルーはそれにお構いなしに行こうと言う。
それはカブルーの故郷も迷宮で栄えた町だったが、ある時迷宮から魔物が溢れエルフが制圧に来て、町の人間は多く死んだ。カブルーの母も。それが繰り返されるのは嫌だ。
部屋に入ると島主とタンスがエルフ達に囲まれていた。
当然お前たちに用は無い目で見られたが、カブルーが迷宮から帰って来た所で迷宮の現状を報告したいと言うと、それは知りたい内容なので話させる。
ファリンの件を話すとエルフ達も流石に驚く。キメラが出現する程に進行していたのか。ただ、これでは逆にエルフは侵攻を急ぐ方に傾く。
カブルー、嘗ての迷宮の惨事を繰り返すまいと迷宮の制圧を望んでいたが、カブルー一行は何度も全滅の憂き目に遭ってる程なので自力は難しい。だから有能な冒険者を求めたものの、冒険者は大抵がならず者。そんな時にトーデン兄妹の噂を聞く。育ちは良さそうで無欲。人格に問題は無さそう。ただ、そのパーティーの構成がよく分からない。
ライオスは魔物に対抗する能力は高そうだったが、よくよく見てみたらこいつはただの魔物マニア。あいつに島の未来は託せない。が、今迷宮をどうにか出来るのは彼しかいない。
島主が同意しかけたところをカブルーは止める。今迷宮は成長過程にある。成長過程の迷宮は栄養を盛んに求める。自分は15年前にウタヤに居て、そんな迷宮によって滅ぼされた。エルフ達、たった15年前の出来事なのでよく覚えていた。あの時の一人だけ生き残った子供か。
ウタヤの時はエルフ軍によって制圧が出来たが、ただエルフにも損害は大きかった。それと言うのも死者が魔物化して襲って来たから。それと同じ事が置きかねない。だから今は一旦迷宮を封鎖すべきだ。制圧は迷宮が落ち着いてから。
エルフの部隊(カナリア隊と言うらしい)の隊長ミスルンはカブルーの提案を飲んだ。今迷宮に居る人間は全員避難させろと。
地上ではそんな事になっているとは露知らず、ライオス達はまた食事中。今回はセンシが卵の料理をしていた。え?卵ってお湯の中に落とすとそのまま固まるの?卵を食べないから知らなかった。
料理をしながらセンシはライオスにパンを取らせたが、その時にライオスがいきなり顔をしかめる。この時はまさかパンが変なガスを出してるのかな、それは卵で中和されるのかなと思ったけど、後のライオスの話で亡霊が見えたのか。
イヅツミは相変わらずそれは食べないが、しかし急に中空を見たりする。チルチャックに何か見えるのかと問われるが、イヅツミからすると気配だけすると言う。しかし、ここでライオスが反応。今見えてるのは幻覚じゃないのか!
その亡霊がライオスに言う。やっぱおまえ見えてたんじゃないか。ただ、それに答えて良いのか分からない。
この亡霊、あの狂乱の魔術師によってマルシル達が壁に挟まれかけていた時に壁の中に引き込んで助けた奴だった。そう言えば謎の手が出て何だったのか分からないままだったね。
亡霊曰く、紹介したい人が居る。他にアテがないので仕方ないかと同意したらまたあの手で引き込まれた。まるでウルトラQみたいな空間に。
行き着いた先は農村風景。そこにユニコーンを馬車馬として操ってる人が通りかかる。あの人を嫌うユニコーンを。彼はライオス達が外から来た人間と知ると、村の装備をつけないとまずいと服みたいなのをありあわせで分けてくれた。魔物が村では大人しく飼われていて、でもそれは村人でないと駄目だから村人の布を分けてくれたのだ。
しかし亡霊が会わせたかった村の主人は不在。戻って来る迄、何してようかと思ったら、ライオスは魔物の様子を見たいし、センシは農地を見たい。案内されて喜んで見に行った。そうだなあ、私ならこんな別世界に行ったら先ずは社会構造を知りたいかな。見た所、生物は魔物以外は現世とほとんど違いが無いので。
時間を持て余していたマルシルは村の少女達が作ったドレスの着せ替え人形にされた。
なんじゃこりゃー。
イヅツミがおかしいのは魔物の攻撃性を奪う結界の影響の様に見える。ただ、その魔術を構成してる文字が分からない。マルシルをしてもすぐには理解出来ない。これが分かったら魔物の攻撃を防げるのにね。
村の主人が戻って来た。彼はヤアド。デルガルの孫だそうだ。あの、デルガル王のか。食事をしながらヤアドの話を聞くが、ここの住民は狂乱の魔術師がかけた不老不死の呪縛によって食べ物が要らない。一応作るけど、味覚もほぼ失われてしまった。でもさっきチルチャックがエールはうまいって言ってたよね。あれは輸出するから?
デルガルが塵になって消えた話を聞くと、でもそれは苦痛から解放されたのだなと理解した。他の村人も脱出しようとしたが、身体が滅んで亡霊となった筈。え?聖水をぶつけてシャーベットにしたのがそれ?
ヤアドがライオス達を呼んだのは予言によるもの。そのもの翼をつけた剣を持つ。そしてその剣にて狂乱の魔術師を倒し、ここの王となるだろう。王?マルシルとチルチャックが全力で否定。
でもヤアドはこれは必然、ライオスに是非とも狂乱の魔術師を倒して欲しいと頼む。
ライオス、今の計画だとデルガルが塵になった件で狂乱の魔術師を説得してファリンだけ助けるつもりだったのに。