転生貴族、鑑定スキルで成り上がる・第8話
レイヴンの後を継いで領主となったアルス、郡長のルメイルにカナレ城に招集されて、改めて他の領主にこのたびレイヴンの後を継いだと紹介される。
そして本題。州の総督が暗殺されてから愈々跡目争いが本格的に勃発した。ミーシアン州はクランの方につく。州都はバサマーク側が抑えているが、クラン側は貿易都市を抑えていて現時点では五分五分。だから周囲の郡の去就に関わってくる。クラン側は周辺の郡の調略を図っているものの、ペレーナ郡は応じていない。ここを通行出来ないと州都に攻め込むのに大きく迂回せねばならず不利となる。
と言う事で、どうしてもこちらに応じなければ攻め込んで落とすと言うのがルメイルの考えだった。
しかしこれにアルスが意見する。自分達がペレーナを調略出来ないか試させて欲しいと。今まで応じなかったのに、アルスのアプローチでペレーナが応じるだろうか。
実は事前の話し合いで戦略家ロセルが何かおかしいと感じていたのだ。ペレーナはそんなに軍備が無い。攻め込まれたらすぐに陥落するだろう。なのにどうしてこうも頑なに応じないのか。何かがあるのではないか。迂闊に攻め込んだら痛い目に遭うのではないか。
アルスの説明を聞いて、無益な争いをせずともこちら側につくのならとルメイルは少しの猶予を与えてアルスにやらせてみた。
その後、アルス達はカナレにアルスが設置した孤児院に立ち寄る。シャーロットが孤児達から慕われている。孤児院は順調に運営されていそう。こんな話が挟まって来たのでひょっとして孤児の誰かが何かを見たとか言う話に繋がるのかなと思ったが、そっちではなかった。
ここにリシアがやって来るのだ。アルスが来ていると聞いて駆け付けて来た。リシアは孤児に泥のついた手で抱きつかれても全く問題にせず一緒に遊ぶ。あ、リシアと会うのがここに来たポイントか。リシアはリーツの紹介で傭兵団シャドウに会うと言うのを聞いて自分も行くと言い出した。うん、交渉力ならリシアだからね。
シャドウは裏方仕事をする影の傭兵団。そして最近そこの団長が代替わりして仕事がさらに優秀になったのは良いのだが、団長が気に入った相手でなければ依頼を受けないと言うのだ。そうそう、そう言う時こそリシアだよ。
シャドウと会う約束の酒場に到着。女性給仕からいらっしゃいませーされるアルスと、それを目は笑ってるけど表情が笑ってないリシアが見ている。
満席だから帰れと言われたが、リーツが合言葉を言うと席へ通してくれた。座ったけれども団長の素性は分からない。なのでアルスが鑑定眼でその辺の男を見ていた。そこに注文を早くしろと言われたので給仕の人の方に目を向けて、アルスが驚愕する。露骨に驚愕する。
その後アルスがトイレに立つので、ひょっとしたら自力でその給仕と何か話をするのかと思ったら、全然迂闊なアルスで、その給仕に剣を向けられた。
おまえ、何故俺がシャドウの団長だと分かった。すかさずリーツが入って来る。アルス様に剣を向けるとは何事か。警戒していたとは流石だと言うけど、アルスはそんな器量はなく、気付いたのはリシアだ。
そこからリシアの舞台。これだけの無礼を働いたのなら依頼を受けて貰わないといけない。受けないと言ったらどうすると言う団長に、リシアは容赦無い。リーツの腕を見たのなら分かるだろう、逃げられるとしてもあなただけで、そしてどこへ逃げようとも追いかけて始末する。
これには団長も参って無礼は謝る。だが何故自分の正体が分かったのか。それにアルスが答える。自分は鑑定眼がある。それは俄に信じられないと言う団長に、アルスが団長の本名と言うか、過去の名前で呼びかける。マザークさん(今はファム)。これで流石に信じるしかない。よし、依頼を引き受けよう。おまえの周囲の人間は凄い。
団長はペレーナ郡の調査だと聞いて、その程度ならすぐに分かる。五日後にはここに来いと言う。