花野井くんと恋の病・第1話
恋人が出来たら家族よりも友人よりもそちらを優先しなくちゃいけない、そんなのはピンと来ない、恋愛感情って特に感じない、そんな日生ほたる。友達の浅海響(きょーちゃん)とカフェに来ていたら、少し離れた席で別れ話の会話が聞こえて来た。
「あんたまともな恋愛なんか一生できない」
何だろう、そんなクソ野郎と付き合っていたのか?いや、ちょっと違うかもしれない。きょーちゃんはあの男の方は学校でも有名な顔も頭も偏差値の高い花野井颯生だった。でもほたるはそれを聞いてもふーんと思っただけだった。
ところがその帰り道、雪の降るその日、公園でひとり佇む彼を発見して思わず傘を差し出したらどうもそれが花野井くんには響いたらしい。
翌日花野井は教室に来てほたるに告白した。好きです、付き合って下さい。校内で顔も偏差値も高いと噂の花野井の教室告白だから当然学校中の噂にはなった。でもほたるはお断りした様だ。そうだろう。
でも花野井から見たらあの傘のほたるが運命の人だったのだ。だからお試しで一年だけでも付き合わないと言うが、ほたるはそれじゃ花野井を傷つけるからダメだと言う。優しいほたる。
そんな訳で付き合ってはいないけどさり気なく(と言うか結構しつこい)話しかける花野井はほたるにどんな髪型が好きと聞いてほたるはシャンプーする時楽だから短いのと答えたつもりだったのに花野井は自分の髪の毛を切ってくるし、ピアスは外してくるし。
でもほたるからしたら花野井にはもっと自分を大切にして欲しかった。そんな時に事件が起きる。ほたるが星型のヘアピンをクラスメイトに貸したら体育の時間に校庭に落としてしまった。でも雪が降り出して今からではとても見つかりそうになり。だからその日は諦めて帰ったのに夜に花野井から電話が入る。
「どんな形のヘアピン?」
ほたるはまさかと思った。まさかと思ったが夜の学校へ行く。すると豈図らんや花野井が雪の降る中をほたるのヘアピンを探していたのだ。ダメだ、そんな事をしちゃ。だってそれだと片方しか幸せになれない。そんなのダメだ。バカヤロー!
翌日から花野井はつきまとわなくなったが、帰りの昇降口で花野井はあのヘアピンを見つけてくれてほたるに渡す。なんて人だろう、嫌いと言う気持ちじゃない分かる様になるか。お試しからでも付き合いましょう。