転生貴族、鑑定スキルで成り上がる・第2話
ルーツを拾って家臣にしたアルス君。ルーツは武勇のスキルがあったが、それ以外の才能もそれなりにあったので屋敷のみんなもルーツを認めてくれて、勉強もさせてくれる。
そんな訳でルーツもちゃんとした知識を持ったのだが、さあ勉強しましょうってアルスに教えるのはおかしいのではないか。アルスは現代日本から転生者。身体はリセットされたけど記憶はそのまま保持してる。ブラック企業での過労死だったのでもう社会人だった訳で、受験勉強の洗礼も受けている。だとするとここ何年かのサマフォース帝国に関する勉強はとっくの昔に終わっている筈で、つい先日まで奴隷身分同様だったルーツに知識で抜かれているのはおかしい。
そこは置いておいて、ルーツの知識によるとサマフォース帝国の中でもこのランベルク領が属するミーシアン州が一番戦乱が最初に起こりやすいだろうと言う。と言うのもミーシアン州の総督(ちゃんとした説明が無いが、元のミーシアン王国の王族ではないか)がもう高齢で先が長くなさそうだが、問題は息子が二人居て嫡出長男に対して次男の方が能力がありそうで現総督は後継を決めかねているらしい。
だからそのまま現総督が亡くなったら必然的に後継争いになるだろうし、例え後継を決めてもやはり後継争いは起きるだろうとの事だ。じゃあ父レイヴンはどちらにつくのかと言うと、レイヴンの考えは正嫡が後継になるべきだと思ってはいるが、何分弱小の領主で、その上のカナレ郡の郡長がどうするかで決まるだろうと言う。
これは大変だ。ランベルク領の領民の為にも早く人材を集めて戦力を充実しておかねばならない。
と言う事で今日もアルスは人材探しに出かける。父レイヴンはレイヴンで戦乱が近づいていると考えて鍛錬に余念が無い。出かけるアルスに我軍は魔法使いの戦力が足り無いのだと言うレイヴン。
レイヴンが出かけた先は郡都でランベルク領とは比較にならない人口4万人の町だった。ランベルク領の40倍の人口ですよ。普通ならここで現代日本の都市人口と比較する場面があっても良いのだがアルスは単に驚くだけだな。
歩いているとみな裕福そうで、ランベルクもこんな感じにしたいと思うアルスだった。いやさ、だから転生設定が全然活かされてない。現代日本の人間なら表の反映の裏があるのではと思うだろう。しかもこのあとドラゴンの卵売りにあっさり騙されそうになる。ただの子供になってるじゃないか。
ただ、ここで偽物売りだと見破ったルーツが店主を殺す勢いで迫る。これでアルスは学習した。自分に何かあったらルーツがヤバい。
色々歩いているうちにやっとアルスは路地裏に貧しい人々がいる事に気がついた。気付いたけど今は地方の小領主の息子のアルスには何も出来ない。
そんな時、アルスは財布をすられる。すぐに気がついたルーツがアルスを抱えてそいつを追う。だがそいつは路地裏で別の連中からからまれていた。逃げ出しやがってこっちに来いとか言っている。それをアルスが止めようとしたのを連中がアルスに向かって来るから、ここはルーツが一網打尽。
その子をよく見たら驚くべき魔法戦力の能力があるのが判明。安易に見つかったな。そしてすぐさまアルスは自分の家臣になってくれと言うが、こんな子供がいきなり言ってもそりゃうんとは言うまい。アルスが貧しい民が居る世の中をいつか何とかする為の人材が欲しいのだと言っても、その言い方はダメだった。いつか、っていつだ。貴族の坊っちゃんのお遊びなのだろうが、我々は今日食べて行く物も無い。いつかじゃ話にならない。それにこの子は慕って来るもっと小さい子供達が居るのだ。それを置いてきぼりにして行ける訳がない。
単なる言葉の説得では無理だろうなとは思った。
仕方ないのでその場は自分の財布を渡して分かれるアルス。
でも機会はあちらからやって来る。その後あの子達からあの子がまた人買いの男達に連れて行かれたと言うのだ。