ダンジョン飯・第12話
ファリンは骨になっていた。センシのみならず私もそう思う。私は無理だと思った。チルチャック曰く前例が無い訳ではないとの事。まだ望みはある。
望みがあるのなら、ライオスは骨を拾い出した。ワーグの骨も混じっているから全部。そして骨を蘇生所に持って行く。それをマルシルは止めた。それはダメだ。狂乱の魔術師による呪いは確かにダンジョンで死んだ場合身体が残っていればそれに霊魂が縛られて蘇生出来るが、残っていなければ霊魂は離れてしまう。では残っていな状態とは?そう、肉体の状態が不完全になればなる程呪縛が離れる。ここで蘇生所に持って帰るのはそれを話してしまう事になりかねない。蘇生が失敗する大きな理由の一つはそれだ。
だから蘇生はここで行わねばならない。蘇生術師をこの場に連れて来る。そして蘇生には損傷の倍以上のカロリー(供物)が必要。その二つをここに持って来る?
だから蘇生術は自分がやるとマルシルは言う。そして供物はここに大量にある。赤龍の死体だ。
マルシルが蘇生魔法を出来るなんて聞いてないとチルチャックが言うと、マルシルはそれに答えた。怖がらせるかもしれから言ってなかったが、自分は本当の専門は現代では禁忌とされた古代魔術だ。ああ、ファリンの魔法は天性の才能だろうけど、じゃあ学園一の才能と言われたマルシルがなぜ普通の魔法使い程度なのかと思ったら、研究の主力をそちらに注いでいたのか。
センシは黒魔術かやめておけと言うが、ライオスはファリンが生き返るならやってくれと頼んだ。
魔法陣は書いた。ファリンの身体をなるべく完全に元に近づける必要がある。ワーグと混じってしまった骨を綺麗に選別して組み立てるのはこれは大変だろう。ライオスはワーグの骨を修復すると言い出した。チルチャック達は驚くが、でも理由はあるよね。ワーグの骨を組み立てられると言う事は残ったのはファリンの骨なのだから。
かと言って解剖学的知識が無いと難しい。例えば私では全く無理。幸いマルシルはよく知っている。そしてライオスは魔物を倒した経験からワーグはある程度分かる。これで何とか完成した。
ワーグも生き返らないか?それは無い。呪いは人間にだけかかる。
マルシルの黒魔術が始まった。
おお、肉体が戻りだしたぞ。
ひととおり終わってマルシルは倒れた。魔力を使い果たしたか。
赤い肉体にライオスが近づいたらファリンが蘇った。気道に入った血を吐き出したらライオスを認識出来て「おにいさん」とも言える程になった。
気がついたマルシル、ファリンに抱きついた。良かった生き返った。
マルシル、あの学園の時以来のファリンとの親友だからね。
生き返ったらファリンのお腹が空いていた。さあダンジョン飯だ。
ファリンとマルシルは血だらけになった身体をまずは洗おう。マルシルが魔力切れだからとファリンが魔力を送ろうとしたが、そんなに魔力があるのがちょっと気になる。
それは置いておいてファリンは自分を助ける為にみんなが犠牲になっていないか気になった。特にマルシルにあんな魔法陣を書かせたのは大丈夫なのか。
風呂の外のチルチャックはマルシルが黒魔術を使ったのが気になっていた。ライオスは迷宮での黒魔術の研究をしたいからと言うのまでは聞いていた。そうか、金に困ってる風でもないエルフがなぜ迷宮探査などしてるのかと思ったらそうだったのか。まさかダークエルフじゃないだろうなと。
背後から誰がダークエルフだって?と怒った顔のマルシル出現。
でもこの世界、ダークエルフは危険な存在なの?
そう言えばこの場にセンシが居ない。龍の方に料理をしに行った。それはヤバい。だってファリンを探す時に燃料袋をさばいたではないか。あんな場所で火を使ったらどうなるか。走って止めに行ったが、一瞬間に合わなかった。龍の燃料が大爆発。あれ?でもセンシが無事?まさか流石のドワーフ?
と思ったら違う。爆発した跡がみんなが居る場所だけ避けている。ファリンが咄嗟に魔法で防御したのだ。無詠唱で。ほら、なんだかちょっとおかしぞ。
ともあれ龍の身体には着火した。これを利用しよう。センシ、抜け目ない。火が着いた龍の身体をかまどにしたぞ。こうしてドラゴンテールスープ、タマネギのピザパン、ローストレッドドラゴンの料理完成。チルチャックが龍の尻尾を料理する時にもったいないと言っていたが価値がそんなにある物なのか。
これを食べる。普段ならライオスがすぐさま食べるのだが、憚ったのはなぜかと思ったら、ファリンは未だ魔物料理と言うのを知らなかったのだ。普通はマルシルみたいに「食べられるかー!」な反応かもしれないが、ファリンはパクリと言って美味しいと喜んだ。じゃああとはみんなで、龍を味わう。
魔物を食べながら来たのを話してると、あの動く鎧の話にも及ぶ。したがってあのケン助も明かす事に。便利だし他の武器が無かったから今まで使って来たが、あくまでも魔物。最終的には処分するしかない。
マルシルも、そしてライオスも、ファリンとの再会を改めて喜んだ。
今回が最終回ならこれでめでたしめでたし、なんだが、このアニメは2クール。
そしてやはり何かあった。
チルチャックに心配されたまさにダークエルフみたいなのがマルシルが書いた黒魔術の魔法陣を見つける。