ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する・第8話
テオドールが頭を抱えたリーシェのお願いはやはり前回最後に登場した騎士候補生の訓練に自分も入れろと言う物だった。ただ、お願いは訓練に参加させて欲しいと言う物なので騎士候補生になる事自体ではない模様。じゃあ何故リーシェは訓練したいのか。ただ単に武芸を鍛えたいのか。
何故自分がそんな事をと思ったテオドールだったが、まてよ兄上のびっくりした顔が見られるかもしれないのならこれは面白いと思った。
この訓練にはルドガー・ラルス・ローヴァイン辺境伯が指導に参加する事になっていた。北部の重鎮。ただ以前のループでは3年後に反逆者としてアルノルトに惨殺される人物だそうだ。
訓練生から侍女に一度変装してそしてさらに元の姿になる。そうしてからアルノルトと会うと明日の午後に以前の約束を果たして貰うと言われる。そんな訳でリーシェはエルゼに明日の午後はアルノルトと街に外出するので質素な服を用意して欲しいと言いかけたところでエルゼが迫る。お任せ下さい。可愛くして差し上げます。
当日、リーシェはエルゼに可愛くして貰いました。そうして市場へ。リーシェは市場にはしゃぐが、令嬢だから市場が珍しいんだなと思ったけどさらに考えるとループの途中で市場にはいくらでも行ってるのではとも思った。となると単に楽しいのだな。そこでコヨルから着いたばかりの果実を買ってアルノルトに差し出す。不気味な果実にアルノルトがひくが、構わず食べさせる。
歩きながらアルノルトは懐中時計を盛んに気にしていた。そして行った先は城に来ない店主の店だと言って地下の店に入る。そこは老女ミヒャエラがやっている宝石商だった。さっそくですがと言いながら三つの宝石を取り出してどれが偽物だと思うかとリーシェに問う。
リーシェはどれも綺麗ではあるが、自分には分からないと一旦答えた上で鑑定道具を貸して欲しいと頼む。それで眺めた結果全部が偽物。とは言ってもどれも良くできた物なのでこれをそれとして持てる者は幸せだろうとも添える。
リーシェの慧眼にすっかり納得したミヒャエラ。ところでアルノルトがリーシェをここに連れて来たのは指輪を作るから好きな宝石を選べと言うのだ。結婚指輪か。
だったら自分はどの色を選ぶべきだろうかと悩むリーシェだが、自分が好きな色を選ぶと良いと言われリーシェは思わずアルノルトの瞳の色の宝石が欲しいと言ってしまった。
夕暮れ近くなって二人は城門の上に。片方には城が、外の方には街道が見える。ここでリーシェがアルノルトが待ち人は街道をやって来るのだろうと推測した。と言うのもここまでずっと時刻を気にしていたのにここではもう見ない。そしてローヴァイン辺境伯が候補生の訓練だけで呼ばれる訳もない。
そう推理されてアルノルトはリーシェに理由を語る。先日コヨル国から親書が届いた。婚姻の儀には出られないので前もって祝意を表明しに行く、しかもアルノルトの返事も待たずにその相手はもう出発したと連絡を寄越す。これがあの時アルノルトを不愉快にさせていた手紙か。
こうしてコヨル国の使節が到着する。どうやら別のループでリーシェはコヨル国王子カイルと面識があった模様。カイルは皇帝に謁見した後にアルノルトの所に来た。
コヨル国は宝石などを産するので金はある一方で北方である事から農産物は輸入に頼っていた。以前のループではアルノルトに滅ぼされている。
カイルがリーシェに挨拶をしたらその言葉の一つがアルノルトを不愉快にさせたらしい。一方でリーシェが見た所ではカイルの顔色が以前にも増して悪い。これは以前のループで経験したカイルの病気が悪化してるのではなかろうか。
アルノルトはカイルがコヨル国の学者も連れて来ているので会わせても良いと言うので、それは願ったりかなったりでコヨル国の学者が納得してくれるのなら密かに料理に薬を一服盛らずに済むと口走るリーシェ。一服盛るって。
ともあれ明日は歓迎の夜会。ただ、アルノルトの考えでは北方の守りを担うローヴァインを同席させてカイルへの牽制にするつもりだ。でもローヴァインは訓練生に化けた時にリーシェは会ってしまった。いくら化けたと言っても見破られるのでは。