ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する・第5話
アルノルトからの呼び出しの手紙だが、アルノルトがそんな事をする筈が無い。それならば相手はテオドールだろうと認識しつつリーシェは礼拝堂へ。案の定テオドールが待っていてアルノルトは残酷な奴なのだ、何しろ自分の母親を殺したのだからと言うが、リーシェはそんな事は承知の上でアルノルトに嫁ぐと言う。流石にこれにはテオドールも驚いた。
ただリーシェは以前のループでアルノルトが父皇帝を殺して皇位を簒奪したと言うのを聞いて知っている。だから母親を殺したと言われても動じない。
それを懸命に説得しようとするテオドールだが、話がそれだけなら後はご兄弟でお話して下さいと言うリーシェ。するとアルノルトがやって来た。アルノルトを見たら慌てるテオドール。アルノルトはテオドールにも、リーシェにも、関わるなと言ってあっただろうと声を凄ませた。リーシェが一度は反論しようとしたがそれを引っ込めた時にテオドールは何かが期待通りだった様だ。ニヤリとしてその場を立ち去った。
アルノルトがここに来たのはリーシェが告げ口した訳ではなく、でも結果的にはそれに近い形になる「お返事」を書いたからだ。この体裁なら馬鹿正直に返事を書いただけと言う事になる。
リーシェは今回改めてテオドールからアルノルトが残酷な人間だと言われたのに対して、普段の自分への扱いがそうとは思えない。それを聞いたがアルノルトはおまえに構いすぎたみたいだと言って、自分はそう言う人間なのだと言う。でもそう言われてもリーシェは俄にそうとは思わない。そんなリーシェの表情がアルノルトには謎だった。
しかしそんな覚悟のリーシェにアルノルトはとうとう口づけ。
あれ?予想外に早々と肉体関係に(ちょっと違う。
流石にリーシェはあの時にキスは気になったままだった。何のつもりだったのだろう。だから少しぼーっとしていたリーシェにエルゼが気になった。エルゼがリーシェのマニキュアを気にしたのを見て、良い機会だとタリーに用意していた商品であるマニキュアをエルゼに試した。エルゼ、いつも爪が割れるけどマニキュアで割れにくくなるそうだ。そうだったのか。
でもその話の中で改めてエルゼの家庭が貧困にあるのに気づくリーシェ。エルゼはこんなに素敵な物は貰えないと言いつつ涙を流すが、その理由はその貧困さ故に今までずっと何か欲しい物があっても全て諦めなくてはならなかったから。愈々この国の貧困を思い知らされるエルゼ。どうやらその後リーシェは他の侍女にもマニキュアをつけてみた様で、みな貧困で苦しんでいるのを思い知る。
そしてタリーとの約束の話し合い。もう商談ではないのだと思って臨むが。
タリーはマニキュアを見て成程この商品は素晴らしい。タリーの部下はそれを聞いてよっしゃあと思うが、でもタリーはこれを受け取ってそれで終わりとは思っていない。どうもリーシェは貴族向けに用意したのではなさそうだと。だから先を続けてくれと言う。
だからリーシェは続ける。商品の先の事業の話を。帝国では近年アルノルトの施策として最低賃金制度が出来た。但しそれは仕事に就けた者だけ。だからリーシェは考えたのだ。この商品の大量生産には人手が必要だ。その事業を起こしてタリーには貧民街の者を雇用して貰いたい。成程とは思ったもののタリーは慈善事業なら自分が聖職者になってからだ、あんたにはがっかりだよと。
さてここからは現代の経済では常識となっている財の循環がなければ商売は利益を産まない。客を育てろと言う事かタリーはすぐに理解出来た。
でも未だタリーは納得していない。それはリーシェがアリア商会と取引したいのが見え見えでそれならこちらが自由に出来るだろうと。
ここで納得されないのでリーシェは奥の手を出す。次はどんな提案だい?と見透かした様に書類を手にしたタリーの表情が全く変わった。それはタリーの妹の病気の事だった。タリーが一番気にしていた所を突かれたか。リーシェはタリーの妹の病気には東方の大国の薬を使ったら一年で快方に向かうだろうと言うのだ。うーん、どんな病気だ。そしてそれを自分は作れると言うのだ。
そんな話が俄に信じられるか。でも伏線があったんだなあ。あのリーシェがタリーの部下をみんな酔い潰して立ち去る時に二日酔いの薬を置いて行った。確かにあれを飲んだらすっきり治ったと言う実績がある。リーシェが薬を作れると言うのは身を以て体験していたのだ。
やられた。やられたよ。形勢逆転だよと項垂れるタリー。頼むから薬を作ってくれ。でもリーシェはタリーの妹を人質にしたい訳ではない。これで分かって欲しい。貧民街にもタリーの様に身内を気にしてる人達が沢山居るのだ。それはエルゼの様に。その上でリーシェが頭を下げる。これでタリーの目が覚めた。今まで商売相手にならない貧困層は知った事ではなかった自分が恥ずかしい。
そう言ってタリーは立ち上がったかと思ったら、リーシェの側によって跪いた。どうか自分を、そしてアリア商会を使って欲しい。お、タリーが臣従したぞ。
でもこの後リーシェが倒れる。そこから予想外の展開。本当に予想外。
倒れたリーシェをあのエルゼとカミルがテオドールの所へ拐っていく。