悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~・第3話
ブラックホールを出現させてしまっては流石に国王の耳にも達する。あんな驚異的な力を持つ者は誰でどんな考えを持っているのか、と言う事で国王に謁見する事になった。ところでこの世界に「ブラックホール」と言う概念があるのか?
先ずは国王がユミエラに謝る。お、いきなり居丈高に下問するのではなくて、先ずはあれをやらせてしまった事を謝るとは出来た国王だな。ユミエラも流石にこれには恐縮する。ただ、国王もユミエラみたいな華奢な令嬢がレベル99と言うのを見ただけで信じると言うのは難しい。だから騎士団団長のアドルフに試させて貰う事にする。
騎士団長に試させるってどう言うやり方だろうと、ユミエラならずとも疑問に思ったがアドルフは問答無用で全力で斬り掛かって来た。当然ユミエラはどうしたら良いねんと思う。
まさか本気で反撃して良いのか。でもそれをやったら騎士団長死んじゃう。ここはお辞儀をしてかわすしかない。
アドルフの一撃をかわせる者は騎士団には居ない上に、どうかわすかを考える時間まで持ってる。これはレベル99で間違いない。
それを聞いた国王、今度はユミエラに魔法を使って見せて欲しいと頼むのでユミエラは闇魔法をチラと開陳。闇魔法は見た目が禍々しいので皆が恐れるが、ここは国王が実はフォローした。宮廷魔導師長に闇魔法とは魔物が使うものではないのかと聞くと、宮廷魔導師長は見た目が禍々しいが、他の魔法と同じ物で恐れる必要は無いと答える。このやり取りは周囲に「ユミエラの魔法は魔物のものではない、黒髪も恐れるものではない」と知らしめる為だったのだ。
国王はなおも問う。そこに至る迄どうやったのか。ユミエラ、ただひたすらレベル上げしただけなのだが、そこがもう常人ではない。魔物呼びの笛など一人で使うものではない。
当然国王からはその力を王国の為に使って欲しいと言う。それに対して当然ユミエラも是と答える。そのユミエラに何か望みのままの褒美を取らせると言う。爵位とか言ったところで最近この手の悪役令嬢物が多いので他のと混同してユミエラは既に公爵令嬢なのでは?とちょっと思ったけど、ああそうだった、中央貴族もどきとか言われてたんだ。さらには王子と結婚しても良いとまで大盤振る舞い。
ただ、ユミエラからしたらこうやって王国に縛り付けられるのは嫌だ。元ゲームプレイヤーだから嫌になったらこの王国からさっさと他に逃げ出す事も考えている。ただ、後からの描写で思うが、ここの国王と王妃ほどに出来た理解者は多分他国には居ないと思う。
その後、王妃の部屋に招かれる。二人だけで話をする。ここでの話は誰も聞かない。王妃としては先ずは欲のないふりをして王族に近づく貴族も多いが、ユミエラを見ていたらどうもそうではないと分かった様だ。
ここで本題。二年後に魔王が復活する。魔王討伐に参加して欲しい。王妃(と多分国王も)はエドウィンを中心として魔王討伐するつもりだった。魔王を討伐するのは王族でなくてはならない。それがここの国での正統性を意味していた。ユミエラはそこまで理解した。それをユミエラが倒してしまっては困る。あ、そうだ、聖女としてエドウィンと結婚してはどうかしらと言う王妃の提案にユミエラは即答で「嫌です!」
ただ、目前の問題はそこではない。実は王国内には国王派と反国王派が居て、反国王派がユミエラを取り込もうとするだろう。反国王派はヒルローズ公爵が旗頭らしい。そして中央貴族もどきも反国王派。ユミエラの実家もそうだろう。
ユミエラがレベル99の件で国王との謁見があったと言うのは学園中で既に知れ渡っていて、ただの話が出来ない黒髪ではなくちゃんとした子なのだと知られて話しかけられたりする。相変わらずエドウィン三人衆はそうでもないけど。
そしてエレノーラ・ヒルローズもそうだった。王国で唯一の公爵家の令嬢。新入生にして既に学園の頂点に居るつもりでいる。早速ユミエラをお茶会に招待と言うか強制参加させた。でもそんな場で話す内容など持っていないユミエラは雑談三種の神器を動員。
そのうちに本題。エレノーラはエドウィン殿下の事は諦めろ、そうしたら私のグループに入れてあげても良い。エドウィン殿下には自分よりもっと相応しい方がいます、それはエレノーラ様ですと言うとあっさり納得。
しかし最後に意外な展開。
あれだけユミエラを警戒の目で見ていたアリシアがとうとう切り出した。
「あなたが魔王なんですか?」
あ、サブタイトルどおりの展開か。裏ボスだけど魔王じゃないよって。