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薬屋のひとりごと・第12話

風明の事件は阿多妃は全く預かり知らぬ所として阿多妃には影響は無かったが、この時代この世界の刑罰は一族郎党に罰が及ぶ。取引をしていた商人にもそれが及んで、それが思いもよらず猫猫にも及ぶのだ。

猫猫が拐かされた時、一旦ある商人の所に納められてそこから後宮に出仕させられた形になっている。その商人が風明事件の影響を受けて、他の関連する侍女達と同じ様に後宮から放逐されるのだ。このままだと。

壬氏は悩む。本心では猫猫を手放したくない。だから握り潰す事も可能だった。ただ、猫猫はいつも言っていた。自分は平民なので貴人の言う事ならどんな事でも従うと。そう言う子が壬氏が握り潰した、それによって後宮から出られなくなったと知った時に、表向きは素直に従うだろうが気持ちは離反するだろう。その方が壬氏は嫌だった。
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ところが猫猫の方も猫猫の方で事情があった。小蘭から今回の風明事件で暇を出される侍女が沢山居ると聞く。それってもしかして自分にも累が及ぶのでは?花街に戻る事自体は別に良い。しかし今の自分は遣り手婆に多大な負債がある。それは李白を使って上客を妓楼に流す事で返す算段になっていたが、後宮から戻されたらもうそれが出来ない。そうなると遣り手婆によって自分が売りに出されてしまう。それは絶対避けたい。

だから猫猫は必死になって後宮中を壬氏を探し回った。やっと見つけた壬氏。話がありますと二人だけで話をする。

今回の事件で後宮から暇を出されるリストを見てみたらやはり猫猫が入っていた。これはまずい。かと言って何とか助けて下さいみたいな顔つきでそれを頼む訳には行かない。それは壬氏も認識していたあの猫猫が平民は言われたとおりの事をするだけと言う考えによるものだ。だから自分の目と表情を必死に隠して壬氏に言う。

これまで自分は後宮において毒見や薬の仕事をして来た。そして今後も「命令があれば」それをやると。猫猫は自分の意志を隠した上での「残して下さい」と言う気持ちの言葉だった。

だが壬氏は違う。「命令があれば」の所に引っ掛かった。やはり自分が猫猫の意志とは別に後宮に残そうとするのは「命令する」事によって留め置く事になるのだなと。

分かった、支度金はなるべく多く出そう。
交渉失敗。
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猫猫はいつもと同じ、命令されたら命令されるがままに唯々諾々とそれに従う。そうして花街へ帰って行く。

残された壬氏はすっかり気落ちしてしまっている。高順からは都合の良い手駒だったのではと言われても全然晴れない。玉葉妃などはむくれてしまっていた。

どうしたものかと考えた高順が用意した席が金のある役人による妓楼の面々の借り上げだった。

そんな席とは露知らず、猫猫は緑青館三姫に従う妓女として屋敷へ向かう。金がある所にはあるんだなと思いながら酒を酌して回る猫猫。ふと見ると一人くらーく沈んでいる客が居たので酌の為に隣に座ったらそれが壬氏だった。

ここでやっと二人の意図していた物が完全なすれ違いになって猫猫が花街に戻されたと知る。ホッとして気持ちが盛り上がる壬氏に口の紅を指に取られて壬氏の唇に塗られるとかなんだその痴態はと言う程の様子に緑青館三姫も興味津々だった。

猫猫は、だからと言って自分は花街に居るべきか後宮に居るべきか、それは判断がつかないものだった。

結局、後宮からは多大な金子が緑青館に贈られて猫猫をまた後宮に召し抱えると申し出がある。遣り手婆は金に目がくらんで二つ返事で、猫猫の方には多分冬虫夏草が贈られてこちらも二つ返事。
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と言う事で、一クール目がうまく区切りがついて二クール目も楽しみですね。

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