Helck・第19話
結局ヘルクはアリシアを救えなかった。アリシアの最後の頼みで笑っていてとずっと笑顔を絶やさなかった。
アン「ほら、嘘ついていたじゃないか。その笑顔は偽っていたじゃないか」
おお、おお、このセリフにアンの震える気持ちが込められている。
ヘルクはそれでも抗った。この雪を止めるんだ。しかしその前にゼルジオンが翼の兵士として現れた。覚醒したのだ。容姿は変わっておらず普通にヘルクと会話が出来る。覚醒の度合いが高いと自我を残したままで覚醒戦士になれる。しかしその中身は変わっていた。覚醒のおかげで身体が軽い。自分は選ばれたのだ。覚醒に何の問題がある?とヘルクに斬り掛かって来た。
みんな強制覚醒させられてしまった。しかしアンは問う。ならば王を倒せば王の命令は出なくなるのではないのか。それはヘルクも考えた。だから王が居るあそこに戻ったが、そこにはミカロスが居るだけだった。ミカロスは例の術でヘルクが殴りかかっても瞬時に移動する。そして残酷な結末をヘルクに見せた。勇者の剣で死ななかったクレスを媒介の状態にしてこの雪を降らせた。さらにはもっと深刻な事実を知る。もし王を殺したら命令を出す者が居なくなり、覚醒戦士はただただ破壊をするだけになるのだと。
何もかもがどうにもならない状況で、さらにヘルクは空間を歪める力で飛ばされる。ヘルクの激しい怒りと戦うのは危険だと。そして飛ばされた先が魔界だった。
これを聞いたアンはヘルクのあまりの境遇にただただ同情するだけだった。そんなヘルクが未だ人間と戦うと言う。アンはヘルクにもう安めと言う。でもヘルクにはあんな人間共と戦うのはここまでの話だけが理由ではない。
飛ばされた魔界でケンロスに拾われる。ケンロスはヘルクが人間と聞いても、魔王を倒した勇者の兄だと聞いても、全然問題にせずヘルクを助けてくれた。ケンロスの町の魔族もそうだった。なんだよ、魔族はアズドラが言っていたとおりじゃないか。だからヘルクはこの魔界をそして他の種族を守る為に人間と戦うのだ。
今の人間はアンや魔族が考えている以上に危険だ。死んでも復活して戦士として強くなる。だからこの人間とケリをつけるのは自分だ。自分がどうなろうと命果てようとも。その一方で自分の力はその人間以上に危険な可能性がある。ヘルクが暴走した時には何も区別がつかずに破壊をしかねない。
だからだ。この回想が始まる前にアンに渡そうとした勇者殺しの剣でその時は自分を殺してくれと言う頼みに繋がる。最初は帝国四天王のアズドラに頼もうと思っていた。帝国四天王なら強い。自分に勇者殺しの剣の一撃を与えられるだろう。だが、帝国四天王には簡単に会えまい。一方でこの旅を一緒にした事で分かった。アンはアズドラ並に強いだろう。だからアンに託すのだ。
そう言われたアン、話は分かった。だがその剣を受け取る前に言っておきたい事がある。
自分も素性を隠していた。自分は帝国四天王赤のヴァミリオなのだと。
自分は帝国四天王として、おまえの仲間として、必ずおまえの望みは叶えてやる。
但し言っておく事がある。死ぬつもりで戦うな、生き抜く信念を持って戦え、お前は一人じゃない。全てが終わったら帝国へ来い。おまえなら皆歓迎する。
帝国目指してヴァミリオ達は線路脇で列車を待つ。あの旗を目印に列車は止まるんだな。そして機関士がOPで登場していたおっさんか。誰かと思っていた。快適な列車の旅で帝国に近づく。
ある街に到着してそこからまた徒歩。その先でドラゴンみたいなのをヴァミリオが簡単に倒す。こいつ程なら戦士達も手こずったかもしれないが、自分にかかったらひとたまりもない。雑魚だ(そう言った)。
そしてその先で一人の老人に会う。この先の町の長だと言うが、この先には行かない方が良いと言う。封印が解かれた。最強最悪の生物の封印が解かれた。でもその様子を聞いたらさっきヴァミリオちゃんが簡単に倒した雑魚ではないか。
と言う事でヴァミリオ達は町で歓迎を受けて食事も宿も提供して貰う。そこにアズドラが出した捜索隊のパルフィが到着。捜索隊、あの空を飛ぶ化け物にやられてみんな動けなくなったそうだ。それ、ヴァミリオが片付けたけどね。
パルフィはアズドラからの手紙を持っていた。アズドラ、先読みが凄いから可能性を見通していた。その手紙には直接帝国に向かわずに人間の国の南側を目指せとある。ヘルク、人間を倒すとは言ったが、あの王国の影響を受けてない、例えばこの町の人間とかも未だ残ってるんだよね。
戦略を的確に立てられるアズドラ、ヴァミリオがヘルクと共に戻って来る、ヘルクは当然翼の兵士との戦いのキーとなる。そこまで読んでアズドラが守る城は翼の兵士の攻撃を時間をかけて維持し、キーとなるヘルクとヴァミリオによる相手の王を叩くのを待っていたのだ。