薬屋のひとりごと・第8話
猫猫は里帰りしていた。「おやじ」の羅門は薬草園の方に行っていた。もう年だから無理しないで欲しいと言う猫猫の言い分からやはり見た目どおりに老人なので、猫猫の実父ではなく、何かの理由で父親代わりになっているのだろう。
戸を激しく叩く者ありけり。猫猫がそんなに叩くなと行くとその少女は猫猫の手を引いて妓楼に連れて行く。そこでは妓女が集まって部屋の中では二人、妓女と男が倒れていた。何かあった。猫猫はすぐさま処置を始めた。猫猫と妓女の処置で男と妓女は息を再開するが、猫猫は水は駄目だ炭を持って来いと指示した。
その後何でどう処置したかは分からないが、二人は命を取り留める。現場はそのままにして猫猫の検分開始。部屋には酒とタバコの匂い、酒瓶は二つ、ガラスのカップが割れて落ちている。竹串みたいなのはサブタイにある麦稈なのだろう。タバコの匂いがするとおりにキセルとタバコも落ちている。
猫猫は木簡に何か書いて禿に羅門に告げる様に指示すると、禿は羅門を連れて戻って来た。時間は予想よりもかかったらしい。その間にチラと倒れた妓女の場面が出るが「あの人は?」と言うセリフから気がかりなのかなとは思った。
羅門は猫猫の処置にまあまあだなと言う。まあまあかい。そしてここから羅門の凄さが初めて描かれた。羅門は何の毒だと思う?と猫猫の勉強開始。猫猫はタバコだろうと言う。水を飲ませなかったのは、胃液が毒の吸収を遅らせる筈なのを水で薄めては逆効果。この世界、胃液の概念があるんだな。まあ嘔吐したら出て来るからね。あれで喉を痛めるし。
しかし羅門はもしタバコ毒が最初から水溶液となっていた場合はどうかと言う。その場合は水を飲ませた方が薄まる。確かに嘔吐物にタバコの葉は無い。だから直接入ったのではなくて水溶液の方だったのだろう。よし、ちぃ猫猫覚えた。
二人が助かって、この妓楼の遣り手婆は羅門と猫猫に茶菓子などを慰労にふるまう。本当は花街の医者だから処置までは本来の仕事なのでそんなに凄い慰労はしないが、何かあるのだろう。遣り手婆が麦稈で飲み物を飲むので、ああやって紅が容器に付かない様にしてるのかと分かる。
表向きは花街では珍しくない心中の様に見える。身請け出来ない絶望感からの心中。でも今回の男の身なりは良かった。金に困ってる訳でもなさそうだ。
そんな時に禿が怪しい動き。猫猫が様子を見に行くと禿が短剣を振り上げて男を刺そうとしていた。流石にこれは猫猫が止めて騒ぎに。これを見つけた妓女が事情を話してくれた。
あの男は問題の多い男で妓女を随分弄んだ。恨まれるのも多かったが何しろ親が金を持ってるので護衛も付けたりもみ消しもしたり。禿の姉もこの男に弄ばれ、その恨みで禿は凶行に及ぼうとした。なるほど、事件が起きて最初に医者ではなく薬師の方に来て、羅門を呼びに行った時に遅かったのはその為か。かと言って毒を盛ったのがこの子にはあまり見えない。
では毒を盛ったのは誰か。そんな薬屋のひとりごとを羅門は聞き逃さない。憶測で物を言ってはいけないよ。
ピースを全部集めて猫猫は推測した。男は常に狙われていたから用心深くなっていた。なのに毒を盛られた。そしてあの部屋にあった二つの酒の容器。つまり酒は二種類あった。男に毒入りの酒を飲ませるには毒見を先にして見せればよい。
濃度の違う酒を二種類用意し、濃い方を先にガラスのカップに注ぎ、薄いのをそっと後から注ぐ。すると二層の酒が出来る。そしてまずは妓女があの麦稈で下の層の酒を飲む。妓女が飲んだから安心して男はそのまま上の層の酒を飲む。こちらに毒が入っていて男に毒が回る。そして妓女は怪しまれない様に少量の上澄みを飲む。夜明け頃にやって発見を早めて自分は助かる算段。
実行犯は毒を飲んだ妓女だが、でも禿もその子を撫でていた妓女も遣り手婆も、みんな承知で居た様に見える。この回想の時に禿の姉が犠牲になったと言っていたが、結局死んだのかな。
疲れて湯船に入った猫猫の所に梅梅も一緒に。その時、梅梅が「離れには行ったの?」と言うから、そこに猫猫の誰かが寝てるんだ。母親?意識が戻らない不治の病とか?その為に薬師になったとか?
後宮に戻った猫猫だったが壬氏が凄いむくれている。簪をやったのは李白だけではなくてこの私もだがと聞くが、猫猫は便利に使うには壬氏みたいな高官じゃなくて李白だよねと言う考えで花街に行くのに使ったのだが、他のみんなは簪をそう言う風に見ていない。おまけに猫猫が李白にたっぷり夜のお楽しみをお礼にしたと言うので衝撃を受ける壬氏。外では玉葉妃が全部知ってて笑い転げてるのだが。