おかしな転生・第10話
レーテシュ伯爵に後ろから抱き抱えられているのをリコリスに見られたペイストリー。リコリスは思わず逃げ出してしまった。慌てて追いかけるペイストリー。
あの場面は伯爵が自分を子供扱いしてただけと弁解するが、リコリスが思わず走り出したのはペイストリーがと言うよりも、自分がと言う方だった。
広間に居ても自分とペイストリーに関する評判が気になるし、そのペイストリーに他の人達が好意を寄せたらどうしようとか、姉のペトラと比べたら、そんな事を考えてしまう自分に気がついて逃げたのだ。
ペイストリーは自分が好きなのはリコリスなのだと手を握って語る。本気で好きなのはあなたです、と語ったのはここが初めてかもしれない。明確な気持ちを伝えられて今まで少し不安定だったリコリスも安心出来たろう。これは雨降って地固まるではないか。
でも言葉以外にペイストリーはいつもの得意技でペイストリーへの気持ちを示す。転送魔術を使ってどこかに行ったかと思ったらボンカ飴を持って来てくれた。この間とは一味違うリコリスの為の特別のボンカ飴。
やはり子供には菓子で釣るのが一番だな(をいこら
と言う事で、ペイストリーも改めて気持ちが固まったのだが、あとちょっとの場面でキャエラとニコロに邪魔された。
色々あったものの、レーテシュ伯爵はあまりどうこうした策略しなかったな。単に親善のお茶会みたいになった。
それどころかペイストリーの仕返しの方が酷い。ベッコウ飴を包んだ紙にレーテシュ伯爵がリコリスを抱きかかえている場面を転写して、それでベッコウ飴を配ったのだ。こんな場面を貴族達に配られては伯爵の面目丸つぶれではないか。そりゃ怒る。
南部ではこんなお茶会みたいな呑気な事をやっていたのに、東部ではルトルート辺境伯(隣国エレセ・ヤ・サイリ王国の)がフバーレク辺境伯への侵攻準備を始めた。侵攻軍は三万を号していた。それだけあるとフバーレク辺境伯の軍では足りない。さっそくカドレチェク公爵に援軍の依頼を出した。
呑気な南部のモルテールン家ではペイストリーが今回の利益をちゅうちゅうたこかいなで数えていた。結構な黒字が出たのでペイストリーのお小遣いとして今回はヤギ100頭を商人に発注。ヤギのミルクを楽しみにするペイストリー。
これに合わせてニワトリももっと増やそう。ミルクも卵もお菓子作りには必須。以前から思ってるけどバニラはどうしてるんだ。
砂糖はサトウキビから抽出して量産へ。
で、マルクとルミに何をさせてるのかと思ったら、サトウキビからの抽出する装置の工作。上から絞るタイプだが、ルミの重さに耐えかねてテコの部分が折れてしまった。それを見ていたリコリスは以前自領で見たブドウを絞るネジを回すワインの搾汁機はどうかと言う。
よーし、搾汁機を調達するぞ!とシイツの所へニコニコしながら駆けていくペイストリー。そう言うニコニコ場面は次に何か不穏な話が待っているのだ。
そこにはフバーレク辺境伯の所から帰って来ていたカセロールが居た。真剣な面持ちのカセロールからフバーレク辺境伯とルトルート辺境伯の間で戦争が勃発する。