無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~・第9話
ルーデウスの事が気になるフィッツ。そんなフィッツにアリエルがこんなに気にしてるフィッツの事をルーデウスは気が付かないのかと嘆息するが、フィッツは自分がシルフィだと明かしてないからと言うと、え?と思うアリエル。同時にルークも同じ反応をするので、ああ流石にルークにはフィッツの素性がちゃんと知られているんだ。
ここではっきりするフィッツの気持ち。ずっと素性を明かしてもルーデウスから誰だっけと言われてしまうのを恐れていたのだ。そんな不憫なシルフィにアリエルはフィッツを使っても構いませんと言ってやる。フィッツの立場を利用して構わないとお墨付きか。
ルーデウスは転移事件について継続して調べていた。転移と召喚は似ている。転移は送り出す、召喚は呼び寄せる。時空の移動系の魔術だろうから似てるのだろう。ただ、召喚魔術は人間を召喚出来ない。あの転移事件では人間が沢山転移した。では召喚魔術について詳しい人は誰か居ないだろうか。それをフィッツに相談したら一人知っていると言うのだ。
その名はサイレント・セブンスター。特別生にして、魔法大学に「黒板」「制服」「食堂のメニューの改善」を導入した人物。黒板などルーデウスの前世の知識の物で、だとしたらその人物も転生して来た人間なのか。
セブンスターの居室に向かい、どうぞと招かれて入ってみたらルーデウスが恐怖する。また会ったわね。あれ?誰だっけ?ルーデウスを刺殺した人物にこんなの居たか?と言うかルーデウスがここまで恐怖するのはあの一件しかないか。
気絶してしまったルーデウスを介抱してくれたのはフィッツだった。柔らかくて懐かしい手触り。お、ちょっと思い出しましたか。それはともかく、フィッツがどうも現地語で話してる、と言うか、いつもそうなんだけど視聴者にそのままで話してる。
そうか、彼女はオルステッドの隣に立っていた少女か。オルステッドがルーデウスを一度殺してから生き返らせる様に促した人物だったっけ。でもルーデウスにとっては自分を殺した相手の隣に立っていただけとしか記憶してない。怯えるのも当然だ。
セブンスターはルーデウスに三つ問う。この名前に見覚えがあるか?
日本語の漢字氏名じゃないか。
二つ目の問いから日本語になる。ここで変わる為に現地語で聞かせていたんだ。
この言葉は分かるか?
三つ目、あなたはこの二人のうちのどちらだ?
これでセブンスターはどうやら現世(我々にとって)日本からの転生者か転移者と分かる。ただ、どうなんだ。セブンスターはルーデウスに転生者か転移者を感じ取ったとして日本語で語りかけて終わりか?ルーデウスの見た目の容姿は白人系ではないか。だとしたら日本語と合わせて普通は英語も喋ってみるのでは。日本語を全く知らない欧米人の転移者だとしたら「なにその言葉?」な反応をしちゃうよ。
ルーデウスはどちらでもないと日本語で答える。ただ、日本語は分かると言う事になる。一方でフィッツは二人が何語を話しているのか分からない。セブンスターはルーデウスが自分と同郷の人間だとフィッツに言うが、フィッツからしたらルーデウスが転生者とは知らない(よね?)ので、一緒に生まれ育ったルーデウスがセブンスターと同郷と言われても納得出来ない。
白い仮面を取った少女の顔は、ルーデウスが前世の最後の記憶で見かけた、トラックで惹かれる寸前の少女だった。よく覚えていたな。私なら無理だ。
私の名前はナナホシ・シズカ。
ああだとするとナナホシが見せた名前はあの時ナナホシと一緒に居た男子高校生の二人か?
ナナホシは自分以外にこの世界に転生者が居て良かったと喜ぶ。元の世界に戻る為に協力しようと言うのだ。でもルーデウスは前世に全く未練が無いからな。こんな事を言われても困る。
こんな会話がされているとは知らないフィッツ。分かる言葉で話してよ。
そしてルーデウスが帰るつもりがないと言うのを聞いて失望したセブンスター。彼女はこっちの世界こそ興味が無い。
セブンスターはアスラ王国に転移してオルステッドに拾われた。この世界の者なら全てを知ってる筈のオルステッドから見てしらない彼女を異様に思ったか、オルステッドはその後セブンスターを側に置いて世界を巡る。
その途中で「とある人」からセブンスターは召喚されたのだろうと言われた。ただ、その人からは自分の事を誰にも話すなと言われた。ヒトガミでもなくオルステッドでもない誰かか。
セブンスターは慎重だった。自分はここでは異物。オルステッドすら知らなかった者だから。だとしたらこの世界で前世の物を片端から導入したら世界から異物として排除されるのではないか。それで必要最低限の事だけ伝授してる。
セブンスターに魔力は無い。転移者と転生者とはその点が違う。え?死体にも魔力あるのか。そしてセブンスターは老いない。でも多分不死ではないだろう。
セブンスターからルーデウスに取引を持ちかけられた。セブンスターは魔力が無い。ルーデウスに知識を与える代わりに魔力の提供や防衛を頼む。取引は成立した。
でもずっとフィッツは蚊帳の外だったから、ここで現地語に戻る。そしてあの転移事件は自分が転移した時に起きたから、あれは自分が原因ではないかと話したところでフィッツの顔色が変わった。
おまえの!おまえのせいで!
フィッツの攻撃を防御してるんだけど、それは直前ではめた指輪の力か。ともあれルーデウス、フィッツを止めろ。フィッツは誤解してる。セブンスターはあの転移事件の引き金かあるいはそれに近い物かもしれないが、セブンスターの意志で起こしたものではなく、逆に巻き込まれた被害者なのだ。
フィッツ=シルフィにとって、セブンスターが転移事件を引き起こした張本人ではないと言うのは理解出来たかもしれない。だが、ルーデウスの事はどう思ったか。セブンスターはルーデウスが同郷だと言った。そして確かに二人でしか分からない事を話していた。でもルーデウスは自分と一緒に育ったではないか。ではルーデウスは何者なのか。そんな疑問が残った筈だ。