葬送のフリーレン・第1話
勇者一行が魔王を倒して帰還した。これで平和が訪れる。
勇者一行は勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレン。宴の夜にエーラ流星を見て綺麗だなと感慨にふける4人。そこでフリーレンが言う、じゃあ50年後にまた見よう。ここだ、ここでどうやらこの作品のポイントが示された。
人間のヒンメルとハイターはそれを聞いて苦笑いする。そりゃそうだ、若者でもなければ50年後なんて生きていない。例えば私だと50年後なんぞに未だ生きていたらニュースで「最高齢の」って報道されちゃう。絶対生きてない。
だが50年後に本当に4人はまた会ってエーラ流星を見る。当然だがヒンメルは本当に年老いていた。ハイターも老いていた。
間もなくヒンメルは亡くなった。その葬儀の場でフリーレンは最初は泣けなかったのが、別の意味で泣く。自分はヒンメルの事を何も知らなかった。
だってたった10年しか一緒に居なかった。1000年は軽く生きられるエルフにとってその1/100の10年などほんの一時の出来事。人間に換算したら1000年を20年だとしたらその1/100って、0.2年、つまり季節一つ分にも満たない時間か。
勇者ヒンメルが亡くなってから20年、フリーレンは今度はハイターの所を訪れた。ヒンメルの所には幼い少女が居る。戦災孤児だそうだ。老い先短いハイターはその子フェルンをフリーレンに託そうとしたが、過酷な旅にハイターの大事な子は連れて行けない。
そうかとハイターは今度は魔導書の解読をフリーレンに頼む。ここには長命化の魔術が書いてあるかもしれないから。フリーレンはハイターが長命化してフェルンが成長するのを待つつもりかとそれを引き受けた。だが解読に4年はかかると聞いてハイターの目論見が分かった。その間にフリーレンにフェルンの魔法の教育をさせて育てようと言うものだ。4年の月日の長さを理解出来ないフリーレンは気づかなかったろうが。一方でフェルンは離れた場所の岩を打ち砕く魔法を習得しようとしていた。それが撃ち抜けたら一人前だとハイターに言われていた。フェルンはやけに魔法習得を急ごうとする。こっちも分かった。ハイターが老い先短いから生きてるうちに自分が成長して独り立ち出来る姿を見せたかったのだ。
ハイターの狙いどおり自分の命が尽きる前にフェルンは一人前の魔法使いになり、フリーレンと同行出来る様になる。あとは任せたよ。
こうしてフリーレンとフェルンの旅が始まる。フリーレンは趣味の魔法集めだと言って気長な旅をするが、それはフェルンには気長すぎる。これが人間とエルフの時間の差だ。魔法集めの旅とは言うが、それはヒンメルの痕跡を巡る旅でもあった。あの時、ヒンメルの事を何も知らなかったのを改めて収集するが如く。
ある土地ではヒンメルの銅像を磨いて欲しいと頼まれ、綺麗にするだけではなく、ヒンメルが好きだと言っていた花をまわりに咲かせる事にする。だがその花はもう絶滅してしまったかもしれない。誰も長い間見ていない。そう言われてもフリーレンは探す。それに半年かかろうと、フリーレンには大した時間ではない。でもフェルンには長い時間。それでもフリーレンは見つけ出す。
そんな人間と時間をちゃんと共有出来ないフリーレンだったが、フェルンとの旅の間にそれも変わっていた。街で別れて買い物をすると言って、フェルンが無駄使いするのではとフリーレンの後を追った時、アクセサリーを売ってる所で長い間悩むのを見て、さてはこれはフェルンへの贈り物かと分かった。予想通り、フリーレンは美味しいスイーツの店をならず者の集まる店で聞き出しておいて、そこにフェルンを連れて行き、フェルンの誕生日のプレゼントとしてアクセサリー店で買った髪留めを贈る。一方フェルンの方も今のフリーレンがどんなスイーツを食べたい気持ちなのかを言い当てる。それは嘗てヒンメルがやった様に。ちゃんと相手の事を理解してる。
フリーレンは今度はアイゼンを訪ねる。何かして欲しい事はあるか。ハイターの所に行った時もそうだったが、今度はアイゼンの最後の望みをかなえるのかな。アイゼンが欲したのは大魔法使いフランメの手記を見つける事。時間はいくらでもあるから探すかとフリーレンとアイゼンが言ってる背後でフェルンが顔をふくらませる。
また時間食うのか。でもフリーレンは今度は効率的に探そうと言う。その態度にアイゼンはフリーレンの変化を見た。時間など気にしないエルフだったのに。
そして見つかるフランメの手記。フランメこそフリーレンの師匠。手記には死者との対話の方法が書かれていて、フリーレンを待っていた様にそのページが開かれていた。大魔法使いフランメ、何もかも見通していたのだ。フリーレンが後悔して死者との対話を望んでここに来る事を。ここ、スパイ教室の紅炉さんを思い出しちゃった。
そこには北の地、エンデにて死者との対話を行う事が書かれていたが、そこは嘗ての魔王城。そしてそこは勇者パーティーとしてフリーレンがヒンメル達と向かった所だ。
こうしてフリーレンはさらにヒンメルを求める旅に出る。