好きな子がめがねを忘れた・第5話
高円寺の商店街はバレンタインに染まっていた。それを見て三重さんから貰いたいなあと呟いた小村。しかしその背後に三重は居たのだ。誰かが自分からチョコレート欲しいと言っているみたいだと。
これでは自分が三重の事を好きだと言ってるみたいじゃないかと誤魔化そうとする小村。だって知られた挙げ句にお断りされたら生きていけない。
ただ例によって三重はメガネを忘れていてチョコレートとかバレンタインとかが見えていない。それを幸いにスーパーへ買い物へ向かう。丁度小村はケチャップ、三重はマヨネーズを買いに来ていた。二人でスーパーで買い物なんて夫婦感溢れる。
でもスーパーにも「王の墓」みたいなのがあった。チョコレート山積みの。そして三重はさっき聞いた言葉にこだわっていた。チョコレートを掴んで三重の手を引っ張って離脱した小村。
でも三重はバレンタインの事を認識していた。そして結びつけた。あの王の墓はバレンタインのチョコレートか。そして小村が欲しいと言っていたのはチョコレートなのか。
バレた!
でも三重は友達全員にチョコレートをあげるつもりだったから小村にもあげるよと言ってくれた。まあ友達扱いでも上出来ではないですかね。
バレンタイン当日、友チョコかあと思いつつ、それで良いと思った小村だったが、三重があげようと来たけど、もうチョコレートが残っていなかった。数を間違えた。小村がガッカリするのは分かるが、三重も凄い落ち込んでいた。
今年は貰えなかったけど、来年は貰いたいと思う小村。そして来年は友チョコではなく、ちゃんと告白した結果のチョコレートが欲しいと。でもそこで気がついた。告白なんて出来るのか。
そんな小村に三重が放課後時間あるかと聞いて来た。放課後の教室で二人残って、何かと思ったら三重が代わりの何かをあげたいと言うのだ。放課後迄考えたけど何も思いつかなくて、小村のお願いをひとつ聞いてあげると言うのだ。なんでもいいよ。
今、なんでもいいよと言ったよね。果たして小村は何を求めるのか。よもやちゅーしてとかはそれはあまりに要求が高すぎて言えまい。じゃあせいぜいギュッとしてだろうか。そう見ていたら小村は自分が今から言う事を聞いて欲しいと言うのだ。ああ、そう来たか。告白したい。それを実現したい。
でも声が出ませんでした。今話すのは違う気がする。確かに代償としてじゃないよね、告白は。
そんな事をしてるうちに三重は自分向けのおやつのチョコが残っているのに気づいた。はい、友チョコ。
一ヶ月経ちました。今度はホワイトデーです。でも三重の様子がおかしい。体重計で52.8kgって出ちゃったからね。女子で50kg超えたらそりゃショック。しかも三重は165cmとかの女子としては高身長の子と言う訳じゃないから。
と言う事で三重はダイエットを開始した。朝のココアも抜いて学校に来た。バレンタインで友チョコを沢山貰ってそれを食べたら暫くはお菓子を我慢しなくちゃと言う状態になった。だから小村にも協力して欲しい。自分がお菓子を食べそうになったら止めて。それ、今まさにバウムクーヘンをホワイトデーのお返しとして渡そうとした小村の出鼻を挫く頼み事ではないか。
なのに東がバレンタインの友チョコのお返しだと言ってクッキーをくれちゃう。耐える三重。のど飴で気を紛らわせよう。と言ってカバンから取り出したのは今のクッキー。小村それを止める。メガネ無いから間違えたと弁解する三重。
でもその弁解がこのあと何度も何度も行われる。別のチョコを貰って、チラと小村を見てから食べようとする。止められた三重、メガネないから黒糖ののど飴だと思ったと言う。
とうとう我慢出来なくなった三重、東のクッキーを取り出して食べそうになった。ああ、東のを食べちゃう。それを阻止したい小村はどうせなら自分のを食べてとバウムクーヘンを差し出す。妙な形になったけど、ホワイトデーのバウムクーヘン渡せたね。
涙を流して喜ぶ三重。
良かったのでは。