おかしな転生・第8話
カセロールがアニエスに神妙な面持ちで何かを言おうとしている。何だろう..あ、前回のアレか?と思って聞いているとそうだ。そうなんだけど、言い方。そりゃアニエスも取り乱す。
ペイストリーとリコリス、いや、モルテールン騎士爵家とフバーレク辺境伯家の息子と娘の婚約が決まったとブリオシュ伯爵に急報が入る。そりゃ驚く。ただの騎士爵家と、強力なしかもカドレチェク公爵家と繋がった辺境伯家が婚姻の約束?王国南方諸侯の力関係を揺るがしかねない姻戚関係ではないか。
コアトンは世間の噂話として、あのリコリス拉致事件の時にペイストリーが救出したものの、拉致された娘が潔白なのを証明する為に辺境伯が救出したペイストリーと婚約させ、ほとぼりが冷めた所で婚約破棄ではないかと言うのを説明した。そうだよねー、だってたかが騎士爵と強力な辺境伯の息子と娘の婚約なんて普通は身分差がありすぎて考えられないから。
でもブリオシュはそうは思わない。辺境伯は公爵と婚姻関係を結んだ。だが辺境伯の婚姻政策は力を持つだけのものではないと言うのを騎士爵とも婚姻関係を結んで和らげようとした。さらにはブリオシュはペイストリーの様々な能力を既に知っている。辺境伯はそれを買ったのだろう。
ペイストリーの所に荷物が届いた。なんだか凄く期限が良さそう。公爵に支援の約束をさせたのがこれらしい。なんだろうと思ったら苗木だ。苗木と言うのは分かったが、どうするんだ。ハリエンジュ?相変わらずルミは食べる事しか発想が無いけど。
ハリエンジュは痩せた土地でも育ち、そして蜜源になる。え?そうなんだ。ペイストリー、これで蜂蜜を量産するつもりだ。以前から気になってるのだが、バニラはどうしてるんだろう。お菓子ならバニラが必要な物が多いと思うが。
でもモルテールン領では降水が少ない。だからなかなか木が育たない。だからモルテールン領に貯水池を作る。なるほど、それでサブタイの「お菓子に蜂蜜、村山に貯水池」か(ちょっと違う。
モルテールン領、この頃になってやっと通年黒字になった。20年かけてやっと出来た。ペイストリーが貢献してくれたのが大きい。こうして豊かになって来たモルテールン領に入植希望者がやって来ている。今回は40人。こう言う時代って人口増が凄く大事なんだよね。
ペイストリー、貯水池を作ると言うけど、どう言う地形でどうやって作ろうとしてるのかよく分からない。ともかくあのストルーデルの穴を開ける魔法をコピーして岩に穴を開けている。クサーク(掘削)の魔法で。
こうして貯水池が出来ました。どうしたんだこれ。岩山みたいな所に水平に掘削して、でも完成形が平地にプールみたいな形になってる。私がやるなら村山貯水池みたいになりそうな場所に岩を崩して貯水池にするけど。
こんなものを作って、怒りの形相のカセロール。そりゃ勝手に領地を得たいのしれない形状にしたから。まあ成果を見ていただくしか。
モルテールン領でこんな事が起きてるとはつゆ知らず、ブリオシュはどうしてくれようかと苛ついていた。自分に娘が居たら自分だってペイストリーにあてがっていた。何より王国東部の連中が自分の頭ごなしに勝手に南部の騎士爵と結ぶのが気に入らない。いっそ現在独り身の自分がペイストリーに。この時代ならあるよね、この程度の年の差。
貯水池、もうこんなに水が溜まって、しかもこんなに水が供給されている。いや水が少ない土地とか言ってなかったか。ここまで来るのに一年はかかるんじゃ。一年経った?
ペイストリー宛に手紙が来た。どこからかと思ったらレーテシュ伯爵から新茶試飲会への招待。
あれ?これってラテン語?
伯爵から名指しで自分が招待とは何だろうとペイストリーはカセロールに相談に行く。するとカセロールは承知の事だと言う。それよりもカセロールは大切な客人を連れて来ていた。それはリコリス。暫くこのモルテールン家にご厄介になると言う。何故だ。